三井ホームの採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
1969年、三井不動産の住宅事業を継承してスタートした三井ホーム。三井不動産グループの利を活かして成長してきた同社は、欧米で主流だった木造住宅建築工法(ツーバイフォー工法)を日本に持ち込み、普及させたリーディングカンパニーとしても知られます。現在はツーバイフォー工法を進化させた「プレミアム・モノコック構法」による高機能・高強度の木造注文住宅を主力に事業展開しています。
そんな三井ホームの口コミから浮かび上がるのは、「人の三井」と評される三井グループのカラーを色濃く反映した企業風土です。「福利厚生で不満は全くと言っていいほどなかった」という声も聞かれるように、福利厚生は充実、近年は残業も抑制傾向にあるなど、社員を大切にする姿勢がうかがえます。こうした恵まれた労働環境のためか、「いい人が多い」「優しい人が多い」との口コミも多く見受けられ、社内の雰囲気は良好であると推測されます。
一方、営業職から多く聞かれたのは「ワークライフバランスの両立が難しい」との声。優秀な営業職社員ほど案件を多数抱え、休日出勤が増える傾向があるようです。住宅という高額な商品を扱うだけに、やりがいも大きい反面、「一生に一度の家づくりのパートナーとして自分を選んでもらえることがやりがいだったが、ワークライフバランスを犠牲にしてまでそれを得たいと思えなくなった」という人も。多忙な職種の場合、応募にあたっては自分のライフスタイルにおける仕事の優先順位を勘案することが必須と言えそうです。
また、評価制度については古い面もある様子。「営業で成績を残し、かつ上長へのアピールが必要」といった声や、難関大学出身者が昇進しやすい傾向もあるなど、実力とともに社内政治力や学歴がものを言う現状もあるようです。また、女性総合職採用の歴史がまだ浅いことから女性管理職者も少なく、女性の活躍推進は発展途上にあります。
古い体質やシビアな営業姿勢が見られるものの、社員を大切にする。こうした三井ホームの社風にフィットしつつ、着実な成果をあげられる人物であるかどうかを面接では見極められます。自分のこれまでのキャリアや経験はもちろん、働き方の方向性やワークライフバランスへの考え方なども整理しながら対策をおこなう必要があります。
■選考は何次まで?
コーポレートサイトによると、三井ホームの選考プロセスは以下のとおりとなっています。
1.エントリー情報をもとにした書類選考
2.人事担当者との一次面接および筆記試験・適性検査
3.役員との二次面接および健康診断
4.内定
二次面接後、内定の連絡までには10日程度との記載があり、口コミを見ても選考期間は1週間~1ヶ月程度と、比較的スピーディーに進むことが多いようです。筆記試験と適性検査が課されるため、事前の対策が必要です。
2020年3月現在、三井ホームでは注文住宅営業職、土地活用・賃貸住宅営業職、技術職の3職種で中途採用をおこなっています。採用情報ページには求める人材・人物像について明確な記述があります。しっかりと読み込み、自己PR作成に役立ててください。
■面接内容の傾向は?
三井ホームの面接では、実務に活かせる能力や条件と、人物理解の両方を重視する傾向があります。
「あなたが入社した場合に当社が受けるメリットは?(コンサルティング営業職)」「転勤は可能か?」といった質問をされることがあります。自己PRを通じて営業職としての話術や提案力をはかったり、入社した場合の勤務条件について把握しようとする意図がうかがえます。実際に業務をこなすにあたって必要となるスキルや条件の確認は、中途採用において重要なポイントです。どのような質問をされても慌てないよう心の準備をしておくとともに、就労に際しての条件は明確に伝えられるよう項目ごとに整理しておきましょう。
また、「感動したことを教えてください」と聞かれた人や、雑談のような対話があったという人も見受けられました。質疑応答を通じて人柄や柔軟な対応力を見ていると考えられます。自己分析を徹底し、何を聞かれても回答できる用意を整えておくと、不意の変化球的質問にも応用が利きます。その場の雰囲気に流されず、面接官の質問の核心をとらえた回答と落ち着いた対応を心がけるとよいでしょう。
三井ホームの面接攻略法(面接対策)
■三井ホームの経営方針および経営戦略を理解した上で自己分析をする
面接に臨む前に必ずおさえておきたいのが、三井ホームの経営方針および経営戦略です。
グループステートメントを上図のように掲げ、「暮らし継がれる家」の提供を使命とする三井ホーム。デザイン性の高い外観と高機能・高強度の構造を両立させ、長きにわたって顧客に愛される住宅をつくり続けることを目指します。
こうした経営方針のもと、以下のような経営戦略が策定されています。
2.高所得層向けのオーダーメイド住宅の追求による新築事業の受注拡大
3.土地やターゲット面で他社との差別化を徹底することによる賃貸住宅事業の受注拡大
4.大規模木造建築(施設系建築)の受注拡大
5.リフォーム・リニューアル事業の収益拡大
6.カナダおよび米国向上の活用による海外事業規模の拡大
プレミアム・モノコック構法を用いた高機能性の追求と、富裕層向けの商品展開により新築住宅の受注を拡大するとともに、都心部を中心に賃貸住宅事業や大規模木造建築の獲得数増加を狙う方針です。同時に、リフォーム・リニューアル事業の収益性向上や、海外事業の規模拡大にも注力していくとしています。
こうした三井ホームの経営戦略で重視されているのは、「木」にこだわった永続性ある家づくりです。三井ホームが目指すのは、速いサイクルで消費される廉価な住宅ではなく、高い付加価値を持った「永く愛されるすまい」づくりを通じた持続的成長です。中途採用においても、住宅という大きな商品を扱う者としての高い志を持ち、周囲との協働の中で自身の能力を存分に活かせる人材が求められていると言えます。したがって、面接対策としては経営方針・経営戦略だけでなく、グループミッション(上図)にも目を通し、自分なりに咀嚼して自己分析へと落とし込んでおく必要があります。
■「なぜ三井ホームか」をはっきりさせるためには他社研究が必要
面接では「なぜ三井ホームか」という質問に対する熱意ある回答が求められます。志望動機を問うことで「これまでのキャリアや素養をどのように当社で活かすつもりなのか」といった入社後のビジョンや、「どれだけ正確に当社を理解しているか」「当社の戦略だけでなく、家づくりへの情熱も理解した上で業務を遂行できる人物なのか」を見極めようとしています。
自分の希望する職種や業務内容への理解だけでなく、三井ホームの経営方針および経営戦略についてしっかりと理解した上での自己PRが必須です。その一環として、競合となりやすい企業の研究も必ずおこないましょう。「数多い住宅メーカーの中でもなぜ三井ホームなのか」という視点から志望動機を説明できれば、永続性のある木造住宅づくりへのこだわりに共感していることもアピールできます。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 住友林業株式会社
- 株式会社一条工務店
- ミサワホーム株式会社
- 積水ハウス株式会社
三井ホームの採用面接で実際に聞かれた質問内容
三井ホームが目指している方向性や、どういった人材を欲しがっているのかが企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。経営方針および経営戦略を理解した上で、永続性ある住宅づくりにこだわる三井ホームの姿勢に共感しつつ、業務に取り組む姿勢が重視されます。
「古い体質やシビアな営業姿勢は残るものの、社員を大切にする社風」を意識して、「住宅という大きな商品を扱う者としての高い志を持ち、周囲との協働の中で自身の能力を存分に活かせる人材」と印象づけられるようなエピソードを用意し、質疑応答の中でアピールできる準備をしておくとよいでしょう。
以下に面接経験者が実際に聞かれた質問を掲載します。自分ならこうした質問にどのように答えるか、実際に面接を受けていると想定してシミュレーションしてみてください。
[20代後半・男性/コンサルティング営業] 【結果:二次面接を辞退】
[20代後半・男性/介護・ケア関連職] 【結果:面接中止】
[30代前半・男性/企画営業] 【結果:入社】
三井ホームの採用面接に向けて
三井ホームの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「古い体質やシビアな営業姿勢は残るものの、社員を大切にする社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
- 三井ホームの経営方針および経営戦略を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。
- 競合他社についての理解を深め、「なぜ三井ホームなのか」に対する答えを明確にしておく。
上記についてしっかりと要点を整理し、自分なりの言葉で展開できるよう準備した上で、面接当日は積極的にアピールするよう心がけましょう。
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大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。