【面接対策】INPEX（国際石油開発帝石）の中途採用面接では何を聞かれるのか

2008年、国際石油開発と帝国石油が統合して発足した国際石油開発帝石（以下、INPEX）。資源開発最大手として、石油や天然ガスの開発・生産・供給をおこなっています。国策会社として設立された国際石油開発をルーツに持つため、上場企業ではあるものの筆頭株主は経済産業大臣であり、黄金株を発行しているなど、公益性の高い企業形態・事業方針が特徴です。

そんなINPEXの口コミを見てみると、のんびりとした企業風土の中でのびのびと働く社員の姿が浮かび上がります。「社内の雰囲気は非常にゆったりした印象」「とてものんびりしており、おっとりした人が多い」「国がバックについているという安定感があり、社員にも余裕が感じられる」といった声が多く聞かれ、新規参入の障壁が高い事業を担うがゆえの穏やかな雰囲気があるようです。さらに、福利厚生は充実、残業への配慮もあり、女性が長く働き続けるための制度が整備されているなど、労働を取り巻く環境は非常に恵まれたものと言えます。また、大規模なプロジェクトに関われることや、エネルギーの安定供給に貢献できることにやりがいを見出す人が多く、やりがいと安定を両立させた働き方をしたい人には適した環境でしょう。

一方で、「ザ・日系的な風土」「年功序列が色濃く残る」といった、体質の古さを指摘する声も。「プロジェクトの規模が大きいため、ほとんどの業務がチームプレイ」「良くも悪くも個人成績が数値で出るビジネスモデルではなく、チームプレイが重視される」という口コミも見られ、個人の実力よりも調和を重んじる風潮があることがうかがえます。のんびりとした社内の雰囲気について「ぬるま湯」「社員に焦りがない」との声もあり、このような日本的な企業風土が合わない人も一定数いることが分かります。

こうした、調和や協働を重んじる日本的で穏やかな社風に溶けこみ、周囲と連携を取りつつ成果をあげられるかどうかは、採用面接において重要視されるポイントとなります。自分の働き方のスタイルや性格などを含め、さまざまな角度から対策をおこないましょう。

INPEXの選考プロセスは、コーポレートサイトからのエントリー→書類選考→3回の面接、となっています。1次面接は部門マネージャーおよび人事担当者、2次面接は部門責任者および採用担当マネージャー、3次面接は人事および部門管掌の役員と人事担当者が面接官となります。また、1次面接には小論文、2次面接には筆記試験が課されるため、それぞれの対策も必須です。

2020年4月現在、INPEXでは、経理や財務といった事務系職種からデータサイエンティストなどの技術系職種まで、幅広い職種で中途採用をおこなっています。コーポレートサイトのキャリア採用情報ページには、INPEXのキャリア採用スタンスや求める人材像、社員紹介など、企業理解や面接対策に役立つコンテンツが充実しています。これらにしっかりと目を通し、自分のキャリアやスキルをINPEXでどのように活かせるのかを具体的にアピールする策を練ってみましょう。

INPEXの面接では、実際の業務に活かせる実務能力が問われます。「査証手続きなど、海外人事の経験について多く聞かれた」（人事職）、「CH4の分子量を口答で聞かれた」（研究開発職）といった口コミが見受けられ、実務に必要な専門的知識とその運用力を見極めようとする傾向が見られます。これまでのキャリアを棚卸しし、専門とする分野の知識に抜けや漏れがないよう再確認しておきましょう。また、「その知識を活かしてどのようにINPEXに貢献できるか」も併せて伝えられるとよいでしょう。そのためには自己分析を入念におこない、自分のセールスポイントとINPEXの方向性をすり合わせてみることが大切です。

「現地でサブコンと揉めないようにするためにはどうしていくか？」（技術関連職）といった、実務面で重要となる判断力や物事への対応力を探る傾向もあります。「これまでどのようにして難局を切り抜けてきたか」「トラブルを避けるために気をつけていることは何か」などの観点からも自己分析をおこない、業務における自分の強みを洗い出しておくとよいでしょう。

面接に臨む前に必ずおさえておきたいのが、INPEXの中期経営計画です。

エネルギーの安定供給を通じて、より豊かな社会づくりに貢献することを企業理念とするINPEX。2040年に向けた長期ビジョンとして、目指す企業像を上図のように掲げています。石油・天然ガス事業における持続的成長はもちろん、活気ある企業風土の醸成やCSR経営の推進に取り組むことで、社会に不可欠な「リーディングエネルギーカンパニー」の座を獲得することを目指します。

この長期ビジョンの実現に向け、上図のような位置づけで2018年～2022年までの中期経営計画が策定されています。既存の石油・天然ガス上流事業における持続的成長に向けた施策に取り組みつつ、2018年に生産・出荷を開始したイクシスLNGプロジェクトの安定稼働を目指します。2020年代後半の生産開始を目指すアバディLNGプロジェクトにおいても、予定通りの進行を目標として積極的な開発を進めていくとしています。その他の国内外プロジェクトでもエネルギーの安定供給に努めていく方針です。

また、ガバナンス・社会・環境の3つの面からSDGsの実現に対応した施策を実施し、国際的評価の維持・向上を目指します。石油・天然ガス開発企業として環境問題には責任ある姿勢を貫くとともに、労働災害の防止や職場の安全確保を第一に事業を進めていきます。

こうした事業体制を支える組織づくりの一環として、積極的な人材の育成や適正配置にも注力する姿勢のINPEX。役員・社員が団結するための共通基盤として「INPEXバリュー」（上図）を掲げています。中途採用においても、このINPEXバリューを体現できる人材、つまり「安全や環境に配慮しつつ、他者を尊重する誠実な姿勢で業務に取り組み、さらなる成長を追求できる人材」が求められると考えられます。したがって、面接に臨むにあたっては、中期経営計画とともにINPEXバリューも理解しておく必要があります。これまでのキャリアの中で、チームワークにより成果をあげた経験や、異なるバックグラウンドを持つ人々との協働により、プロジェクトを成功させた経験などがあれば有利でしょう。

面接では「なぜINPEXか」という質問に対して、面接官を納得させられる回答が求められます。志望動機を問うことで面接官は「どれだけ企業研究をしてきたか」とともに、「INPEXの戦略の根底にある価値観（INPEXバリュー）を理解した上で、向上心を持って業務に取り組める人物かどうか」を見極めようとしています。

自分の経歴や専門知識・スキルのアピールだけでなく、INPEXバリューおよび中期経営計画についてしっかりと理解した上での自己PRが必要となります。そのためには、競合となりやすい企業の研究も必ずおこないましょう。「INPEXだからこそ自分のやりたい仕事ができる」という観点から志望動機を説明できれば、入社への意気込みや熱意も伝わりやすくなります。具体的には、以下のような企業について調べておくことをおすすめします。

• JXTGホールディングス株式会社
• 出光興産株式会社

INPEXが目指している方向性や、どういった人材を求めているのかが企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。INPEXの場合、中期経営計画およびINPEXバリューを理解した上で、向上心を持って誠実に業務に取り組む姿勢が重視されます。

「調和や協働を重んじる日本的で穏やかな社風」を意識して、「安全や環境に配慮しつつ、他者を尊重する誠実な姿勢で業務に取り組み、さらなる成長を追求できる人材」と印象づけられるようなエピソードを、これまでのキャリアの中から選定してみましょう。

面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。面接の傾向を知るための手段としてぜひ活用してみてください。

INPEXの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。

• 「調和や協働を重んじる日本的で穏やかな社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。


• INPEXの中期経営計画およびINPEXバリューを理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。


• 競合他社についての理解を深め、「なぜINPEXなのか」に対する答えを明確にしておく。