0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期最終利益予想を3,900億円へ上方修正し堅調な事業運営を継続する
2025年12月期の通期純利益予想を、前回発表から200億円増となる3,900億円へと上方修正しました。第3四半期における生産・コストの最適化が進んだことに加え、イクシスLNGプロジェクトでの利益貢献が当初の想定を上回る見込みとなったことが主因です。外部環境の変動を事業努力でカバーする高い収益基盤を構築しています。
② アバディLNG開発の基本設計を開始し2030年代初頭の生産開始を狙う
インドネシアの巨大ガス田「アバディLNG」が2025年8月よりFEED(基本設計)フェーズへと移行しました。技術力と競争力を担保するため、主要設備において2つの企業連合を競わせる「Dual FEED」方式を採用。2027年中の投資決定(FID)と2030年代初頭の生産開始を目指しており、エンジニアリング領域での大規模なキャリア機会が拡大しています。
③ 200億円の追加自己株取得を決定し株主還元姿勢を一段と強化する
当初計画の800億円に、今回200億円の追加自己株取得を決定し、総額1,000億円規模の還元を実施します。これにより、通期の総還元性向は約56%となる見込みです。将来の大型投資に向けた資金確保と、株主への利益還元を両立させる高度な財務戦略を実行しており、コーポレート部門のガバナンス能力の高さが伺えます。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 第3四半期決算 補足説明資料 P.2
2025年12月期第3四半期の連結累計実績は、売上収益が前年同期比13.0%減の1兆5,206億円となりました。原油・天然ガスの販売単価下落や為替の円高推移(前年比3円36銭の円高)が減収要因となりましたが、販売数量の増加や法人所得税費用の減少により、最終的な四半期利益は2,934億円と前年同期を上回る着地を見せました。 修正後の通期純利益予想3,900億円に対する第3四半期時点の進捗率は75.2%に達しており、業績の進捗は極めて順調であると評価できます。特に、イクシスLNGプロジェクトにおいて一部の子会社で有償減資を実施し、243億円の為替差益を計上するなど、戦略的な資本政策が利益の下支えとなっています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 第3四半期決算 補足説明資料 P.15
国内石油・天然ガス事業(国内O&G)
事業内容:日本国内における天然ガス・原油の探鉱・開発・生産、および天然ガス供給インフラの運営を担います。
業績推移:天然ガスの販売数量は減少したものの、コスト削減や売上原価の低下が寄与し、利益は前年同期比73.7%増の216億円と大幅な増益を達成しました。
注目ポイント:成熟した国内市場において、徹底した操業効率化とコスト管理が成果を出しています。国内の安定的なエネルギー供給を維持するためのプラント管理や、物流網の最適化に強みを持つ人材の貢献が不可欠な領域です。
海外石油・天然ガス事業(イクシス)
事業内容:豪州における世界最大級のLNGプロジェクトを自社オペレーター(操業主体)として運営しています。
業績推移:8月からの大規模定期点検により一時的に生産が停止。利益は前年同期比7.9%減の1,811億円となりましたが、11月初旬には全ラインで生産を再開済みです。
注目ポイント:定期点検という極めて複雑な工程を完了し、現在は安定操業へと回帰しています。グローバルな現場での大規模プロジェクトマネジメントや、海外パートナーとの連携・調整業務において高い専門性が求められています。
海外石油・天然ガス事業(その他)
事業内容:アブダビ、欧州、東南アジア等の地域での権益を保有し、原油・天然ガスの生産を行っています。
業績推移:アブダビ等での販売単価下落の影響を受けたものの、法人税の減少により利益は前年同期比5.1%増の973億円となりました。
注目ポイント:中東や欧州など多角化されたポートフォリオを管理。ノルウェーでの油ガス田取得など、新規案件の獲得も継続しており、投資審査やM&Aの専門スキルを持つ人材が活躍できる場面が増えています。
再エネ・水素・低炭素ソリューション(その他区分)
事業内容:風力、地熱などの再生可能エネルギー開発、およびCCS(二酸化炭素の回収・貯留)、水素事業を推進します。
業績推移:研究開発費や先行投資により47.8億円の損失を計上。依然として成長に向けた投資フェーズにあります。
注目ポイント:オーストラリアの再エネ事業やノルウェーでのCCS事業など、具体案件が次々と動き出しています。エネルギー転換を主導するこの領域では、既存のエネルギー知見に新技術を掛け合わせられる人材が渇望されています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 第3四半期決算 補足説明資料 P.3
同社は、2030年代に向けた圧倒的な成長シナリオとして「アバディLNGプロジェクト」を位置付けています。2025年8月にFEEDへと移行した本案件は、総投資額が数千億円規模に達する巨大事業であり、今後10年以上にわたる技術・エンジニアリング需要を支える柱となります。質疑応答資料によると、アバディ開発に向けた準備資金として6,000〜8,000億円の積み立てを計画しており、財務面でも着実な準備が進んでいます。 また、2025年12月期通期の成長投資額は3,980億円を見込んでおり、その内訳は既存施設の維持に加え、水素・再エネ・CCSといった新領域に約300億円が投じられます。石油・ガス事業で培った強みを活かしつつ、低炭素社会への適応を急ぐ中、「エネルギーの安定供給」と「脱炭素」を両立させる高度な専門職の採用が、今後ますます重要になるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
世界情勢が激変する中で、日本のエネルギー安全保障に直結する「イクシス」の安定操業や、未来の成長エンジンとなる「アバディ」の開発進展は、同社で働く最大の意義と言えます。「日本経済の土台を支える責任感」に加え、基本設計(FEED)から詳細設計(EPC)へ向かう巨大プロジェクトの中長期的なフェーズに参画したいという意欲は、強力なアピールポイントになるはずです。
・「アバディLNGのDual FEEDにおいて、異なる技術背景を持つコントラクターを管理する上で、社内のエンジニアに求められる最も重要な資質は何ですか?」 ・「豪州イクシスでの大規模定期点検を完了し、今後の定常操業期においてDX(デジタルトランスフォーメーション)がどのように現場の生産性向上に寄与する計画ですか?」 ・「ネット・ゼロ社会の実現に向け、CCSと既存のガス生産事業をどのように融合・最適化させていく方針ですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
出費が抑えられます
福利厚生に関しては特に珍しいものがある訳ではなく家賃補助もほぼ無いですが、独身寮が各事業所にあるのでそこに住めば出費が抑えられます。
(10代後半・技術関連職・男性) [キャリコネの口コミを読む]配属される部署によって生活が変わる
完全に配属された部署による。また、上司の考え方もそれぞれで、ほんの5分でも残業をつけられる部署と、全くつけられない部署とある。これも配属された部署と上司による。残念な部署に配属されたらいろいろな意味で生活が変わる。
(30代前半・営業・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社INPEX 2025年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕
- 株式会社INPEX 2025年12月期 第3四半期決算 補足説明資料
- 株式会社INPEX 2025年12月期 第3四半期決算 FAQ



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。