【面接対策】椿本チエインの中途採用面接では何を聞かれるのか

自転車用チェーンのメーカーとして、1917年に創業した椿本チエイン。後に産業用チェーンの製造にシフトチェンジし、今では世界1位のシェアを誇る企業へと成長を遂げました。事業の2本柱をなす産業用チェーンと自動車部品をはじめ、精密機器などの一般産業部品や、搬送・仕分け用に特化したシステムなど、多種多様な製品を製造しています。

さらに、EV（電気自動車）に対応する充放電装置や、IoTを利用した遠隔監視プラットフォームの開発といった、新規ビジネスへの進出にも精力的な姿勢を見せる同社。2017年には創業100年を記念し、社会的使命や行動原則など社の精神を体系化した「TSUBAKI SPIRIT」を策定しました。

そんな椿本チエインで働く社員の口コミを見ると、「産業用チェーンはトップシェアを誇り安定性が高い」「設計技術が優れている」と、会社の価値を高くとらえている人が多いことがわかりました。また、「中途採用社員は工場で3ヵ月程度の研修を受ける」「専門知識のある人による個別研修がある」「半年ごとの目標設定と面談が義務付けられている」など社員の成長をバックアップするシステムが整っているようで、充実した研修制度を評価する声も多いです。さらに「海外勤務を希望すればほぼ確実に叶う」という口コミも。語学力に自信のある人は、大きなアピールポイントとなりそうです。

一方で、「部署によっては裁量労働制によるサービス残業がある」「昇格は年功序列」「上司に気に入られている人が出世する」など、社内でも差がある制度や、保守的な社風に問題意識を呈する口コミも散見されました。しかし徐々に改善の兆しも見えているとのことで、今後に期待したい部分です。

グローバル展開や最新技術を駆使した開発など、同社の持つ可能性にフォーカスし、向上心と高い目標をもって仕事にあたることが、同社で成功する秘訣といえます。面接では、こうした素質を持つ人物であるかどうかを見極められます。

椿本チエインでは2020年5月現在、ソリューション営業や各事業における生産技術、機械設計、また東アジア営業の統括部などで中途採用を募集しています。応募資格として、同業種での数年間の経験や一定以上の知識を必要とする職種が多く、英語や中国語などの語学力はどの部署でも歓迎されるようです。募集職種や応募条件などの詳細はコーポレートサイトの採用ページに記載されていますので、まずは確認してみましょう。

採用フローについてはコーポートサイトに明記されていませんが、口コミによると、書類選考通過後、筆記試験と2回の面接がおこなわれます。1次面接は管理部門の課長や人事担当、2次面接は人事部長や役員との面接となるようです。

応募する際は、履歴書と職務経歴書を同社の人事部人事課宛て（埼玉工場勤務への応募は埼玉工場の総務課宛て）に郵送します。選考にかかる期間は、1週間から1ヵ月程度と考えるとよいでしょう。

椿本チエインの面接では、「他部門との折衝は頻繁にあったか」「壁にぶつかった時にどう対処したか」などの質問により、コミュニケーション力やトラブルへの対処能力を確認されるようです。実務を見越した確認事項として、長期的な出張の可否を問われたという人もいました。

また、関連分野でのある程度の経験を求める職種も多いことから、技術や適性を確かめる質問をされる可能性もあります。同社では、保有技術や開発について報告する年刊の広報誌『Tsubaki Technical Review』を発行しています。コーポレートサイトでも抄録を確認することができるので、面接までに目を通しておくとよいでしょう。

さらに「趣味を聞かれた」という口コミを寄せた人は、バイク好きの面接官と話が盛り上がり、好感を与えられた感触があったそうです。雑談の中からも、何に興味関心があるか、日常生活でどの程度関連製品に接しているかなどが垣間見えるものです。面接ではそのことを意識しながら会話し、好印象を与えられるようにしてください。

椿本チエインは創立100周年を迎えた2017年に、2020年度を最終年度とする4ヵ年のアクションプラン「中期経営計画2020」を開始しました。

この計画において会社のあるべき姿として掲げたのは、「グローバルトップ企業」であることです。2018年度末の中間評価では、グローバルな生産体制の整備による自動車部品生産能力の拡充や、アメリカの子会社買収など、拡大基調の進捗が認められました。しかし同時に、米中の貿易摩擦や英国のEU離脱といった情勢によって、自動車関連市場が見通しよりも低迷し始めた事実を鑑み、数値目標を200億円下方修正しました。修正後の売上目標は、2800億円となっています。

この計画の中で各セグメントが提示した課題の共通点を見てみると、自動化や意識改革による生産性の向上が挙げられます。また、グローバル化という観点で特筆すべき課題としては、精密機器事業におけるインドの二輪向け市場の拡大、自動車部品事業のGOP（世界最適地生産）の推進、マテリアルハンドリング事業のアジア方面へのビジネス拡大などがあるとしています。

各セグメントが「グローバルトップ企業」を意識し、数値目標達成のための体制づくりや課題への取り組みを推し進め、計画のラストスパートに向け邁進している同社。全体として、また各事業領域において、どのような成長をねらって戦略を立てているのか理解した上で面接に臨みたいところです。自身が入社を希望するセグメントの取り組みや進捗・業績については、株主向けの説明会資料や財務データなどで確認することができます。それらを企業研究に役立て、自己分析につなげてください。

椿本チエインの面接にあたっては、「なぜ椿本チエインか」を自分の中で明確にしておくことが重要です。面接官はこれを問うことで「この人はどのような仕事をしたいのか」「その能力は当社でどのように活かせるのか」などに加え、「当社のことをどれくらい理解しているのか」を判断しようとしています。この問いに明確に回答するための準備は、多角的に同社を知ることから始まります。

そこで有効なのが、同業他社の研究です。産業用チェーンや自動車部品の分野で高いシェアを誇る同社では、セグメントごとに技術や利益を追求する姿勢を確立しています。それぞれの分野における競合を知り、各社の製品や業界での地位、特色ある取り組みなどを理解するうちに、おのずと椿本チエインの輪郭もはっきりと見えてくるはずです。具体的には、以下のような企業について研究してみましょう。

• 大同工業株式会社
• 株式会社ダイフク
• 株式会社ミスミ

企業研究を通じて、椿本チエインという会社が少しずつ見えてきたのではないでしょうか。自転車チェーンの製造から始まった同社は、約100年にわたり社会の潮流の変化を読み取りながら製品の改良を重ねるとともに、技術革新にも挑んできました。そのなかで、今後さらにスピードを増して変遷するであろう業界で、高い目標を設定して前進し、需要に的確に応えられる人材が求められています。「グローバルトップ企業」を目指す一員としての自覚も必要となるでしょう。

面接では、これまでのキャリアで培ってきたことを会社や社会のために生かす方法を考え、前向きにアピールすることが大切です。椿本チエインの方向性や求める人物像を冷静に分析し、これまでにあげた成果や解決してきた課題について、エピソードを交えて話すと説得力が増すでしょう。

以下には、実際に経験者が面接で聞かれた質問をご紹介します。自分ならこれらの質問にどう答えるか、シミュレーションしてみてください。

椿本チエインの採用面接に向けて、ぜひ押さえておきたい重要なポイントをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。

• 「グローバルトップ企業」を目指す同社で、高い目標を持ち着実に前進していける人材であるとアピールする。


• 「中期経営計画2020」を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。


• 競合他社について研究し、「なぜ椿本チエインか」に対する答えを明確にしておく。