【20年3月期】カオナビの株価が急上昇 コロナ禍で「遠隔人材マネジメント」のニーズ高まる

【20年3月期】カオナビの株価が急上昇 コロナ禍で「遠隔人材マネジメント」のニーズ高まる

クラウド型人材マネジメントシステムを提供するカオナビ。顔写真を並べて直感的に人材情報を活用できる利便性が受け、採用企業数は右肩上がりに増えています。一方で採用やマーケティングなどの投資も増やし、2019年3月の新規上場以降も最終赤字が続いています。財務諸表などを基に会社の現状と課題を整理します。


損益計算書(PL):増収による事業規模拡大と将来投資での赤字が続く

カオナビの2020年3月期決算は、売上高が前期比55.3%増の26億2500万円となり、期初の会社計画通りの着地となりました。四半期ベースの売上高も右肩上がりの増加が続いています。

営業損益は2億7800万円の赤字で、赤字額は前期の3.8倍に拡大しました。

売上原価は前期比12.2%増の6億5300万円と増えていますが、売上総利益も同78.0%増の19億7200万円と大幅増、粗利率は同9.6pt増の75.1%と改善しました。

一方、販売費及び一般管理費が前期比90.5%増、売上高の85.7%にも達する22億5000万円に増加し、赤字の要因となっています。販管費増の主な要因は、採用・マーケティング活動への投資拡大や、採用費や広告宣伝費の増加などです。

このほか、営業外費用が前期比1759万円減る一方で、特別損失7235万円を計上するなどしたため、親会社株主に帰属する当期純損益は3億5700万円の最終赤字に。前期の3.7倍に赤字額が膨らんでいます。

2021年3月期の業績予想は、新型コロナの影響による商談の延期や従業員の在宅勤務、取引先への訪問禁止などで先行きが不透明のため、通期での業績予想は開示していません。

参考として上半期の業績予想を開示しています。2021年3月期上半期は、売上高が前年同期比で17%〜32%の増となる14億2000万円〜16億円、営業損益が8000万円の営業損失〜1億2000万円の営業黒字を見込んでいます。

事業分析:月額課金型クラウド人材管理システム「カオナビ」を提供

お読み頂きありがとうございます。続きで読めるコンテンツは

この記事の執筆者

金融機関で債券畑を経験後、証券アナリストとして株式の調査に携わる。市場動向や株式を中心としたリサーチやレポート執筆などを業務としている。ファイナンシャルプランナー資格も取得し、現在はライターとしても活動中。株式個別銘柄、市況など個人向けのテーマを中心にわかりやすさを心がけた記事を執筆。

wiget_w300
wiget_w300
wiget_w300