【20年3月期】ロボットスーツのサイバーダイン 赤字続きも豊富なキャッシュで「ポストコロナ」「海外」攻め

【20年3月期】ロボットスーツのサイバーダイン 赤字続きも豊富なキャッシュで「ポストコロナ」「海外」攻め

筑波大発ベンチャーで世界初の装着型サイボーグロボット「HAL」を開発したサイバーダイン。医療・介護分野で安定したレンタル収入をあげているものの、研究開発費が先行し赤字続きです。しかし「ポストコロナ」での事業機会が増え、東南アジアでの医療機器承認も取得し「海外」へも積極展開。財務諸表等を基に会社の現状と課題を整理します。


損益計算書(PL):売上収益は微増、営業赤字は拡大

サイバーダインの2020年3月期決算は、売上収益が前期比4.9%増の17億9200万円と伸びたものの、営業損益は10億3900万円の赤字でした。赤字額は同25.2%増で2期連続拡大しています。

売上原価は前期比2.1%増の4億9200万円とわずかに増加したものの、売上総利益は同5.9%増の13億円と増え、粗利率同0.7pt増の72.5%にわずかに改善しています。医療用HALを中心に利益率の高いレンタルが伸びたため、粗利率が改善しました。

しかし販売費及び一般管理費は、前期比13.7%増の23億3900万円と増加。前年度に続き新製品の自社開発および受託研究事業の実施による研究開発費8億1200万円を計上したほか、アジアや欧州などへの海外展開による費用が増加したためです。

このほか、投資有価証券評価益8億5300万円、受取配当金3億400万円などの計上があり、親会社株主に帰属する当期純損益は1億5200万円の赤字となったものの、赤字額は前期比75.9%減少しています。サイバーダインでは事業連携を目的として複数のスタートアップ企業への出資をしており、投資先の企業価値向上に伴い評価益を計上していることが経営を助けています。

2021年3月期の業績予想は、売上収益が15億~20億円になるとの試算を示しています。新規性の高い事業を展開しているため業績に影響を与える未確定な要素が多く、業績予想を数値で示すことが困難な状況であるとして連結業績予想を公表していません。
 

セグメント分析:世界初の装着型サイボーグロボット「HAL」を中心に事業展開

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この記事の執筆者

金融機関で法人融資に従事した後、ベンチャー企業で財務経理を経験。わかりやすく読みやすい記事になることを心がけます。

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