【20年3月期】EC支援のEストアー 2社のM&Aを完了し「売上高100億円」に挑む

【20年3月期】EC支援のEストアー 2社のM&Aを完了し「売上高100億円」に挑む

コロナ禍で注目を集めるECサイト。その構築からネット通販まで総合的に支援する業界のパイオニアがEストアーです。ここ数年は事業の構造改革に挑んできましたが、20年3月期に行った2社のM&Aを足がかりに勝算の兆しが見えてきたといいます。財務諸表などを基に会社の現状と課題を整理します。


損益計算書(PL):減収減益だが対計画では「増益」

Eストアーの2020年3月期の決算は、売上高が前期比1.6%減の48億5300万円、営業利益が同7.4%減の4億7800万円の減収減益となりました。

売上原価は前期比2.7%減の33億4900万円と抑制し、売上総利益は同0.9%増の15億400万円と増加。粗利率は同0.8pt増の31.0%と改善しています。

しかし販売費及び一般管理費は前期比5.3%増の10億2600万円と増加し、営業利益を圧迫。営業利益率は同0.7pt減の9.8%と悪化しています。

このほか、2019年3月期に計上されていた500億円の投資有価証券売却益、および同期に発生した社債発行費や自己株式取得費用、暗号資産評価損計208億円がなくなるなどしたため、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比10.2%減の3億6800万円となりました。

なお、Eストアーの当初業績予想は、売上高が50億4700万円(前期比2.3%増)、営業利益が3億4700万円(同32.7%減)、当期純利益が2億9800万円(同27.2%減)と増収減益を見込んでいましたが、20年3月期の実績は対計画で減収増益となりました。

この理由について決算短信は「計画比で減収の要因は、新規大型案件への営業の遅れ、計画比で増収の要因は、人材投資等の投資遅れ」としており、販管費の増加は計画よりも抑制されていると予想されます。なお、2019年3月期の決算短信には、20年3月期の業績予想の根拠について以下のように記されていました。

「この数年間取り組んで来た収益構造の改革(激戦で低利に向かっているカート事業の依存度を下げる事と、対する販促サービスを強化していく事)について、勝算の兆しが見えてきた事から、当連結会計年度よりサービス事業のアクセルを踏み込む事とし、人材資材をそちらに偏重します。ゆえにカート事業で得られる利益の圧迫から減益を計画します。なおこのトレンドは2~3期続く予定ですが、シフトチェンジを完遂する為に続行する計画です」

2021年3月期の業績予想は増収減益としています。2020年1月にヤフーの100%子会社で大型ECサイト構築システムを提供する株式会社コマースニジュウイチを、2月には広告代理事業を手がける株式会社ウェブクルーエージェンシーを買収し連結子会社化しており、売上高は前期比118.5%増の106億円と大幅に増加すると見込んでいます。

一方、のれん償却費、事務所移転に伴う費用を合計3.6億円程度見込んでおり、営業利益は前期比43.9%減の2.7億円、経常利益は同37.7%減の3.3億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同37.5%減の2.3億円を予定しています。

 

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この記事の執筆者

ビジネス会計の知識を生かして執筆活動を行っています。読者にわかりやすい記事を書けるよう日々精進しています。

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