【20年3月期】デンソー、大規模リコールで大幅減益 新領域「CASE」の行方もコロナで不透明に

【20年3月期】デンソー、大規模リコールで大幅減益 新領域「CASE」の行方もコロナで不透明に

世界2位の自動車部品メーカーであるデンソー。2020年3月期は燃料ポンプの欠陥で340万台を超える大規模リコールが発生し、品質関連費用2200億円の計上で大幅減益となりました。新領域「CASE」についてもコロナ禍で求められる中身が変わるとの見方が出てきています。財務諸表を基に現状と課題を整理します。


損益計算書(PL):営業利益が前期比8割減

デンソーの2020年3月期決算は、売上高は前期比3.9%減の5兆1535億円、営業利益は同80.7%減の611億円で大幅減益となりました。

売上原価は前期比2.4%減の4兆4239億円と抑えたものの、売上総利益は同12.2%減の7296億円に減少。粗利率も同1.3pt減の14.2%に悪化しています。

販管費は前期比29.9%増の6685億円に増加。新型コロナウイルスの影響による海外の工場の操業度低下で430億円の減益となったことに加え、燃料ポンプの品質関連費用として2200億円を計上したことが減益要因となっています。この結果、営業利益率は同4.7pt減の1.2%まで下がっています。

なお、この燃料ポンプ問題は、デンソーが量産した燃料ポンプに欠陥が発覚し、トヨタ自動車が4月末までに世界で322万台のリコールを発表したもの。デンソーの有馬浩二社長は決算会見で「創業原点に立ち返り、経営の生命線である品質向上に努める」と述べて謝罪しています。

このほか、為替差損益が前期比で101億円増加するなどしたため、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比73.2%減の681億円と大幅減となりました。

2021年3月期の業績については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、合理的な業績見通しの算定が困難であることから未定とのことです。

セグメント分析:リコールにコロナ禍が重なり全地域で減益

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