0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期利益を8,200億円へ上方修正する
2026年3月期の上半期実績が順調に推移したことを受け、通期の当期利益予想を期首の7,700億円から8,200億円へ500億円引き上げました。エネルギーや金属資源セグメントにおける基礎収益力の向上が寄与しており、転職者にとっても事業成長の勢いを感じさせるポジティブな修正となっています。
② 2,000億円の自己株式取得を決定する
株主還元をさらに強化するため、新たに2,000億円の自己株式取得を公表しました。2025年11月から2026年3月にかけて実行予定であり、強固なキャッシュ創出力を背景とした機動的な資本政策を推進しています。高い還元姿勢は、企業の財務的安定性と自信の表れとして評価できます。
③ 再生エネ事業の減損を計上する
機械・インフラセグメントにおいて、再生可能エネルギーを展開するMainstream事業の減損損失(約281億円)を計上しました。開発計画の更なる絞り込みに伴うものであり、課題案件への早期対応を進めています。一方で、ITC Antwerpの完全子会社化などポートフォリオの入れ替えが活発化しており、キャリアの流動性も高まっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会資料 P.5
当期利益(親会社帰属)
4,237億円
+2.9%
基礎営業CF
4,485億円
▲16.7%
※基礎営業キャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フローから運転資本の増減を除き、リース負債の返済による支出を控除した指標
2026年3月期上半期の収益は6兆7,591億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は4,237億円となりました。前年同期比では増益を確保しており、特にエネルギー事業におけるLNG価格の寄与や、機械・インフラでの自動車・IPP(独立系発電事業)の好調が下支えしています。基礎収益力が着実に伸長していることが伺えます。
通期予想に対する進捗率は、当期利益および基礎営業キャッシュ・フローともに55%となりました。この進捗状況を踏まえ、通期の利益目標を8,200億円に引き上げています。
中間期終了時点で50%を上回る進捗を見せており、通期目標の達成に向けて業績推移は順調であると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会資料 P.11
金属資源
事業内容:鉄鉱石、原料炭、銅などの資源開発・投資および貿易をグローバルに展開。
業績推移:中間利益は1,143億円。前年同期比で472億円の減益となりましたが、主に価格下落が要因。
注目ポイント:豪州Rhodes Ridge鉄鉱石事業などの大規模プロジェクトが進行しており、長期収益基盤の拡充が進んでいます。資源価格に左右されない安定運営のための操業改善やDX推進が急務となっており、技術系・管理系双方で高度な専門性を持つ人材が求められています。
エネルギー
事業内容:天然ガス、LNGの探鉱・開発・生産から、石油トレーディングまで幅広く従事。
業績推移:中間利益は1,029億円。前年比376億円の増益で、LNG関連の配当増加が大きく貢献。
注目ポイント:サハリンIIやオマーンLNGなどの既存案件に加え、Blue Point低炭素アンモニア事業などのエネルギー移行領域への投資を強化しています。地政学リスクへの対応と脱炭素化という二律背反の課題を解決するため、商社ならではの複雑なプロジェクト組成を担える人材へのニーズが高まっています。
機械・インフラ
事業内容:発電事業、鉄道、船舶、自動車販売、宇宙関連事業など多角的なインフラを提供。
業績推移:中間利益は1,020億円。資産売却益の反動等で前年比減益も、自動車事業は堅調に推移。
注目ポイント:Firefly AerospaceのIPOに伴う評価益計上の一方で、Mainstream事業の減損など迅速な経営判断がなされています。米州での自動車・トラック関連事業は安定した収益柱となっており、デジタルを活用したバリューチェーンの深化を担えるビジネス開発人材が活躍できる環境です。
化学品
事業内容:基礎化学品から機能材料、農薬、肥料、飼料添加物などの広範な製品を扱う。
業績推移:中間利益は435億円。前年比でほぼ倍増となる214億円の増益を達成しました。
注目ポイント:ITC Antwerpの完全子会社化(2025年5月)に伴う評価益が寄与しました。タンクターミナル事業の拡大やアニマルヘルス事業の再編など、資産の最適化が加速しています。グローバルなSCM(サプライチェーン・マネジメント)の知見を持つ人材にとって、活躍のフィールドが急拡大しているセグメントです。
鉄鋼製品
事業内容:インフラ、自動車、エネルギー分野向け鋼材の製造・加工および国内外販売。
業績推移:中間利益は113億円。トレーディングの好調により、前年比で40億円の増益となりました。
注目ポイント:需要先である各産業の動向に合わせた機動的なトレーディングが功を奏しています。地産地消型ビジネスへのシフトが進む中、現地パートナーとの合弁運営や加工・物流機能の高度化が鍵となっており、現場に近い実務経験を持つ人材が重宝されています。
生活産業
事業内容:食料、ウェルネス、小売、ファッション、ヘルスケア等の消費・サービス関連事業。
業績推移:中間利益は208億円。コーヒートレーディングの不調があるものの、資産売却益で補完。
注目ポイント:ビギホールディングスの子会社化や外食向け流通の強化など、リテール・消費領域での攻勢を強めています。ヘルスケア分野ではIHH Healthcareを中心としたアジア展開を推進しており、消費者のライフスタイル変化を捉えた新規事業立案のスキルが強く求められています。
次世代・機能推進
事業内容:ICT、物流、不動産、金融などの全社横断的な機能提供と事業開発を担当。
業績推移:中間利益は253億円。前年同期比73億円の増益と、順調な収益成長を見せています。
注目ポイント:商品デリバティブトレーディングやデータセンター、不動産アセットマネジメントなどが好調です。全社のDXを加速させる「機能」としての役割に加え、自らデジタルプラットフォームを構築・運営する主体性が重視されています。ITと金融を融合させた専門性を持つ人材への期待が高い領域です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会資料 P.4
中期経営計画の最終年度に向け、厳選した成長投資と機動的な株主還元のバランスを重視しています。下半期に向けては、米国関税の影響を「限定的」と見定めつつも、地政学的リスクや金融情勢を考慮した統合的なリスク管理を徹底する方針です。
質疑応答の内容も踏まえると、残る課題案件(コーヒートレーディング等)に対する改善対応や、マネジメント・アロケーションの全額配分など、資本効率の向上を急ぐ姿勢が見て取れます。投資実行済み案件の早期収益化が焦点となっており、PMI(買収後統合)や事業再生に長けたプロフェッショナル人材の登用が加速すると予測されます。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社の強みである「エネルギー・資源」の安定収益を背景に、今まさに注力している「Industrial Business Solutions」や「Energy Transition」といった成長分野への貢献を強調するのが効果的です。特に、中間期で実施された大規模な自己株式取得や利益予想の上方修正は、「収益性と社会貢献の最大化」という経営の安定感を示しており、それを支える一翼を担いたいという意欲を伝えることがポイントになります。
面接での逆質問例
- 「Mainstream事業の減損など、迅速なポートフォリオの入れ替えを行っていますが、配属部門での投資判断基準の変化や、現場に求められるスピード感について教えてください。」
- 「米国事業が『国内完結型』中心で関税影響が限定的との分析ですが、今後のグローバルサプライチェーン再編において、中途採用者に期待する役割は何でしょうか?」
- 「中期経営計画2026の目標達成に向け、既存事業の強化(+750億円の貢献見込み)が鍵となりますが、現場レベルで進めている効率化の具体策を伺いたいです。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
乗り越えることで得られる達成感は大きい
スキルアップを目指す若手にとって、非常に充実した環境が整っています。多様な研修プログラムや自学のためのリソースが豊富で、特に向上心のある人には最適です。udemy businessの利用が可能で、自己成長を促進するためのツールが揃っています。業務においては、国際的なプロジェクトやエネルギー関連の大規模案件に携わる機会があり、社会的意義を感じられる場面が多いです。それでも、優秀な上司や同僚、部下に囲まれ、日々の業務にやりがいを見出すことができています。交渉や調整での苦労はありますが、それを乗り越えることで得られる達成感は大きいです。
(30代後半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]キャリアの方向性に迷うこともある
業務内容が多岐にわたるため、時折自分のキャリアの方向性に迷うこともあります。特に、専門性を深めたいと考える人には、ジェネラリストとしての役割が求められるため、少し物足りなさを感じるかもしれません。さらに、業務に慣れた頃に異動があり、再び新しい知識を身につける必要があるのは大変です。ただし、打ち合わせのためだけに出社を求められることがあるので、リモートワークの利点をもっと活かせるような働き方が望ましいと感じます。
(30代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料:
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2026年3月期第2四半期 決算説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。