0 編集部が注目した重点ポイント
① 物流子会社の事業分離により事業構成を最適化する
2025年9月30日、連結子会社であった三菱ロジスネクストの非公開化と将来的なグループ分離を決定しました。これにより、今決算より同社は「売却予定の事業(非継続事業)」に分類され、経営資源を成長領域へ集中させる構造的変化が明確になりました。転職者にとっては、より収益性の高いコア事業への投資が加速するポジティブな局面と言えます。
② 受注高の通期予想を8,500億円上方修正する
エナジーセグメントにおける大型ガスタービンの需要増を受け、通期の受注高予想を従来の5兆2,500億円から6兆1,000億円へ大幅に引き上げました。世界的な電力需要の拡大を背景に、基幹インフラ領域での圧倒的な市場競争力が証明されています。プロジェクト規模の拡大に伴い、グローバルな施工管理や設計人材のニーズが急速に高まっています。
③ 防衛・宇宙事業が過去最高水準の受注残を維持する
国の防衛力整備計画に基づき、2025年度第2四半期末の受注残高はグループ全体で11兆4,983億円と過去最高を更新しました。特に防衛航空機・飛昇体(ミサイル等)の増産に向けた体制構築が急務となっており、生産技術や品質保証といったモノづくりの中核を担う人材にとって、社会的意義の大きいキャリア機会が広がっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度第2四半期決算説明資料 P.9
受注高
33,147億円
+8.5%
売上収益
21,137億円
+7.3%
事業利益
1,715億円
+2.1%
※事業利益 = 売上収益 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費 + 持分法投資損益 + その他の収益 - その他の費用(受取配当金や資産売却損益などを含む指標)
2025年度第2四半期は、継続事業において増収増益を確保しました。受注高は、北米やアジアでのガスタービン受注が極めて好調に推移し、前年同期比で2,600億円の増加となっています。事業利益面では、火力事業の一部工事損失や前年の土地売却益の反動があったものの、ガスタービンや防衛・宇宙事業の採算改善が寄与し、全体として増益を維持しました。
通期予想に対する進捗率は、売上収益で44.0%、事業利益で43.9%となっており、第2四半期時点としては概ね順調な進捗です。旺盛な受注状況を踏まえ、売上高および受注高の予想を上方修正しており、下期に向けてさらなる事業拡大が見込まれています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度第2四半期決算説明資料 P.12
エナジー
事業内容: ガスタービン(GTCC)、原子力、スチームパワー、航空エンジン等の基幹インフラ製品の開発・製造・サービスを提供。
業績推移: 売上収益は8,710億円(前年比+388億円)と伸長。特にGTCCが北米・アジアで好調な受注を継続し、収益基盤を強化。
注目ポイント: 脱炭素化の流れの中で、高効率ガスタービンの需要が世界的に急増しています。大型プロジェクトの増加により、アフターサービス事業の比率も向上しており、長期的な顧客関係構築やメンテナンスエンジニアリングの専門性がこれまで以上に重要視されています。
プラント・インフラ
事業内容: 製鉄機械、環境設備、商船、エンジニアリングおよび各種機械システムの開発・施工。
業績推移: 売上収益は4,159億円(前年比+367億円)の増収。製鉄機械を中心に、過去に積み上げた豊富な受注残の工事遂行が順調に寄与。
注目ポイント: 前年の大型受注のリバウンドで受注高自体は減少したものの、増収増益を達成しています。脱炭素製鉄などの次世代プラントへのニーズが強く、環境技術とエンジニアリングを掛け合わせられる人材の需要が極めて高い状態です。
物流・冷熱・ドライブシステム
事業内容: エアコン、エンジン、ターボチャージャ等の量産製品を展開。※物流(フォークリフト)事業は売却予定のため除外。
業績推移: 売上収益は2,824億円。冷熱製品の販売減少や為替影響により減収となったが、サプライチェーンの正常化で増益を確保。
注目ポイント: 物流事業の分離により、今後はデータセンター向け冷却システムや非常用発電機などの成長分野へ注力します。既存の量産技術を成長市場へ適応させるための開発スピードが求められており、R&D人材の活躍の場が広がっています。
航空・防衛・宇宙
事業内容: 防衛航空機、ミサイル、艦艇、宇宙機器、および民間航空機(ボーイング向け機体供給等)を製造。
業績推移: 売上収益は5,388億円と前年比で1,071億円の大幅増。防衛予算の拡大に伴う案件執行が収益を大きく押し上げ。
注目ポイント: 民間機分野でもボーイング787の出荷機数が増加するなど明るい兆しが見えます。防衛・宇宙分野は「防衛力の抜本的強化」に伴い事業規模が急速に拡大しており、増産に向けた大規模な生産体制のアップデートを牽引できるプロフェッショナルが求められています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度第2四半期決算説明資料 P.19
2025年度の通期見通しについて、受注高を前回の5兆2,500億円から6兆1,000億円、売上収益を4兆7,500億円から4兆8,000億円へとそれぞれ上方修正しました。これはガスタービン事業の市場想定を上回る活況を受けたものです。一方で、物流子会社の事業分離(三菱ロジスネクスト)に伴い、営業利益段階ではその貢献分が差し引かれるものの、コア事業の成長で補う構造となっています。
採用面での注目点は、拡大するプロジェクトを完遂するための「実行力」です。11兆円を超える膨大な受注残高を確実に利益へ変えるため、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した生産性向上や、グローバルサプライチェーンの最適化を担える人材への期待がかつてないほど高まっています。また、米国関税措置などの外部リスクに対しては、顧客への価格転嫁を進めるなど、強固な収益構造の構築を推進しています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は現在、三菱ロジスネクストの事業分離に象徴されるように、ポートフォリオの大胆な刷新を行っています。「伝統的な大企業」の安定感だけでなく、エナジーや防衛といった戦略領域への集中投資に魅力を感じていることを伝えると効果的です。特に、膨大な受注残高を背景とした「事業規模の拡大」と「プロジェクトの完遂」に、自身のどの専門スキル(PM、設計、生産技術等)で貢献したいかを具体化しましょう。
面接での逆質問例
「11兆円を超える受注残高の積み上がりを拝見しましたが、これを確実に遂行するために、現場の生産体制や人員配置で現在最も強化されている点はどこでしょうか?」
「物流事業の分離など、ポートフォリオの最適化が進んでいますが、私の所属予定のセグメントでは、今後どのような新規投資や技術開発が優先される方針ですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
社会に貢献している実感がある
大規模なプロジェクトに携わる機会が多く、社会に貢献している実感があります。特に、国内外のインフラ関連の仕事に興味がある方には魅力的な環境です。給与水準は高く、安定した企業です。
(30代前半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]事業所間の連携が希薄
製品ごとに異なる拠点が全国に点在しているため、事業所間の連携が希薄に感じられることがあります。特に、守秘義務が厳しい案件が多いため、情報共有が難しい場面もあります。セキュリティや安全に対する意識が非常に高く、厳格なルールが設けられています。これにより、業務がスムーズに進まないこともあります。会議やレビューが頻繁に行われ、参加者が多忙なため、同じ内容の打ち合わせが繰り返されることもあります。
(30代後半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 三菱重工業株式会社 2025年度第2四半期決算説明資料(2025年11月7日公表)
- 三菱重工業株式会社 2026年3月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕(2025年11月7日公表)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。