0 編集部が注目した重点ポイント
①欧州に新R&Dセンターを設立し研究開発を強化する
2025年9月、オランダにYakult European R&D Center B.V.を設立しました。多様化する消費者ニーズや現地の法規制に迅速に対応するためのグローバルな拠点となります。これにより、欧州地域での製品開発や学術活動が加速するため、国際的な研究開発職や専門人材の活躍機会が拡大する可能性があります。
②中国事業の組織再編を完了し経営効率を向上させる
2024年12月より、効率的な事業運営を目的に上海ヤクルトの解散と中国ヤクルトへの統合を開始しました。この構造的変化により、経営資源を集中させ、巨大市場である中国での競争力を高める体制が整いました。転職者にとっては、統合後の最適化された組織内でのキャリア構築や、効率的な販売網の構築に携われるチャンスとなります。
③他社株の売却により純利益予想を上方修正する
本業の利益が物価高や為替影響で圧迫される中、保有する他社株の売却を断行し、親会社株主に帰属する中間純利益は245億円を確保しました。これに伴い、通期の純利益予想を465億円へ引き上げています。資本効率の向上と財務基盤の強化を同時に進める経営判断が行われており、経営の安定性は依然として高い水準を維持しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.1
売上高
2,411億円
(前年同期比 -5.5%)
営業利益
253億円
(前年同期比 -25.0%)
中間純利益
245億円
(前年同期比 -10.8%)
当第2四半期は、国内での節約志向の高まりや競合激化に加え、海外における為替の円高影響が重なり、営業利益は前年同期から84億円の減少となりました。特に、これまで成長を牽引してきた米州地域において、米ドルの減価(円高)が売上高を109億円、営業利益を21億円押し下げるマイナス要因となりました。しかし、保有する他社株の売却による特別利益の計上や、税金費用の抑制により、最終的な純利益の減少幅は最小限に留めています。
通期予想に対する中間期末時点の進捗率は、売上高が49.3%、営業利益が52.2%となっており、業績の進捗は概ね順調と言えます。下方修正後の計画を達成するための基盤は確保されています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.6
飲料および食品製造販売事業(日本)
【事業内容】国内での「ヤクルト1000」等の乳製品および清涼飲料の製造販売。ヤクルトレディによる宅配と店頭販売の両輪で展開。
【業績推移】売上高は1,187億円(前年同期比4.1%減)。物価上昇や競合台頭の影響により、販売実績が計画を下回りました。
【注目ポイント】市場環境は厳しいものの、「Yakult 1000 糖質オフ」の刷新など、健康志向への適応を進めています。顧客の購買行動が変化する中で、伝統的な宅配モデルにデジタルの力を掛け合わせ、新たな価値を届けるマーケティング人材や営業戦略のスペシャリストが求められています。
飲料および食品製造販売事業(米州地域)
【事業内容】ブラジル、メキシコ、米国における乳製品の製造販売。メキシコが販売本数の約3分の2を占める主力市場。
【業績推移】売上高は435億円(前年同期比11.8%減)。為替の円高影響に加え、米国での買い控えが響き減収となりました。
【注目ポイント】ブラジルでの「ヤクルト ピーチ風味」発売など、地域特化型の新商品投入により、販売回復を狙っています。不安定な経済情勢下でサプライチェーンを最適化し、現地の商習慣に合わせた営業展開をリードできるグローバル人材の重要性が高まっています。
飲料および食品製造販売事業(アジア・オセアニア地域)
【事業内容】中国、ベトナム、インドネシア等、広域でのヤクルト製造販売。ベトナムやフィリピンが高い成長率を維持。
【業績推移】売上高は637億円(前年同期比3.3%減)。為替影響で減収も、ベトナムや中国の販売本数は前年を上回る好調な推移です。
【注目ポイント】ベトナムでの宅配組織拡充や、中国での「マスカット風味」のヒットなど、現地需要の開拓に成功しています。急速に変化するアジア市場において、販売網のDX(デジタルトランスフォーメーション)や効率的な組織運営を主導できるマネジメント人材の活躍余地が非常に大きい領域です。
飲料および食品製造販売事業(ヨーロッパ地域)
【事業内容】オランダを拠点とし、イギリス、ドイツ、イタリア等、欧州各国での販売。高価格帯のプレミアム市場。
【業績推移】売上高は62億円(前年同期比0.1%増)。積極的な広告宣伝と量販店での販促が奏功し、安定した実績を維持しました。
【注目ポイント】新設されたR&Dセンターを軸とした学術的裏付けによる価値普及が期待されています。欧州特有の厳しい品質基準や法規制に対応しながら、最先端の乳酸菌研究をビジネスに繋げられる、高度な専門性と国際感覚を兼ね備えた人材にとって魅力的なフィールドです。
その他事業(化粧品・プロ野球等)
【事業内容】乳酸菌由来成分を配合した化粧品の製造販売、および東京ヤクルトスワローズの運営興行。
【業績推移】売上高は149億円(前年同期比4.9%減)。プロ野球興行はファンサービスの強化により入場者数が増大しました。
【注目ポイント】化粧品分野では、7月に新規薬用ハンドウォッシュを発売し「内外美容」を訴求しています。ヤクルトグループの強力な研究基盤を武器に、ヘルスケアの知見を美容領域へ展開する商品開発職や、熱狂的なファンを惹きつけるスポーツビジネスの企画人材の需要が期待されます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.14
2026年3月期の通期連結売上高は4,895億円、営業利益は485億円を見込んでいます。物価高や為替の円高傾向といった外的要因を鑑み下方修正を行いましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は465億円(前期比2.1%増)へと上方修正し、過去の好実績を維持する方針です。これは保有する他社株の売却によるものであり、単なる資産売却に留まらず、中期経営計画(2025-2030)に掲げた「ヘルスケアカンパニー」への転換に向けた投資資金の確保という意味合いも持ちます。特に欧州でのR&D拠点新設は、海外市場での持続的な成長を実現するための重要なマイルストーンとなります。転職者にとっては、既存の販売チャネルの維持だけでなく、サイエンスに基づいたグローバルな新規事業展開に参画できる好機となるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
ヤクルトの強みは、科学的根拠(エビデンス)に基づいた製品開発と、グローバルな販売網です。志望動機では、「世界の人々の健康に貢献する」という企業理念への共感に加え、欧州でのR&D体制強化や中国での組織再編といった最新の戦略を理解していることを示しましょう。自身の専門性を、どのようにヤクルトの「科学に基づく価値普及」へ昇華させられるかを具体的に伝えてください。
「国内市場の節約志向に対し、宅配チャネルと店頭チャネルの連携をどのように深化させ、付加価値向上を狙っていくお考えでしょうか?」「新設された欧州R&Dセンターと、アジアや日本の研究部門が連携することで、今後どのようなグローバル製品開発が加速すると期待されていますか?」など、事業の将来性に踏み込んだ質問が有効です。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
インセンティブの部分はもう少し見直す余地がある
ボーナスは会社の業績によって増減するが、個人的な頑張りに対する報酬は余りに少ない様に感じた。インセンティブの部分はもう少し見直す余地があるのではないかと考える。
(20代後半・営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 第2四半期(中間期) 決算説明資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。