0 編集部が注目した重点ポイント
① 市場在庫の適正化が進み売上高が前年を上回る
主力である自転車部品事業において、世界各地で滞留していた市場在庫の調整が着実に進展しました。特に北米や日本市場では在庫が適正水準まで改善しており、需要の底堅さに支えられ、連結売上高は前年同期比4.8%増の3,510億円を確保しています。過剰在庫による停滞期を脱しつつある点は、求職者にとってポジティブな兆候です。
② 次世代製品「Q'AUTO」への高い期待が集まる
当3Q累計期間では、自己発電で動作する自動変速機能を備えた新製品「Q'AUTO」が市場から高い評価を受けました。従来のハードウェア技術に、高度な制御技術を融合させた製品開発が成功しており、エンジニアや製品開発職の志望者にとって、付加価値の高いモノづくりに携われる絶好の機会が広がっています。
③ 株主還元の強化と自己株式消却を実施する
2025年5月に約300億円規模の自己株式を消却し、資本効率の向上を推進しています。業績の波がある中でも、安定した経営基盤を背景に機動的な資本政策を実行できる財務体質は、中長期的なキャリア形成を考える転職者にとって大きな安心材料となります。当3Qでも累計420億円規模の株式取得を行い、企業価値向上への強い意志を示しました。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結) P.1
売上高
351,020百万円
+4.8%
営業利益
36,565百万円
-27.8%
経常利益
30,248百万円
-48.1%
当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期を上回る3,510億円となりました。営業利益は製品構成の変化や販売費の増加により減益となったものの、営業利益率は約10.4%と二桁水準を維持しています。経常利益および純利益の減少は、主に為替相場の変動に伴う為替差損183億円の計上などによるもので、事業そのものの競争力低下を示すものではありません。
通期予想に対する売上高の進捗率は76.3%、営業利益の進捗率は79.5%に達しており、業績の進捗は順調に推移しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:決算短信補足説明資料 P.3
自転車部品
【事業内容】
ロードバイク、マウンテンバイク等、スポーツ自転車向け変速機やブレーキ等の主要コンポーネントを開発・製造・提供する同社のコア事業です。
【業績推移】
売上高は2,662億円(前年同期比4.9%増)。営業利益は301億円(同27.0%減)となりましたが、欧州や北米での在庫調整が進み、売上高は回復基調です。
【注目ポイント】
「XTR」や「DEORE XT」などのハイエンドモデルは引き続き世界的に高く支持されています。自動変速の「Q'AUTO」に代表されるエレクトロニクスとメカニカルの融合領域において、ソフトウェア開発やシステムエンジニアの需要が急拡大しています。世界的な健康意識の高まりを背景に、単なる部品メーカーからサイクリング体験の革新者への転換期にあります。
釣具
【事業内容】
リール、ロッド、釣り用品などの開発・販売。精密加工技術を活かした高性能リールは、世界中のアングラーから信頼を得ています。
【業績推移】
売上高は844億円(前年同期比4.6%増)。日本国内は猛暑の影響で伸び悩んだものの、中国や欧米市場の好調が全体の増収を牽引しました。
【注目ポイント】
高級リール「STELLA SW」や最高級バスロッドなど、プレミアム層に向けた製品が中国・北米を中心に極めて好調です。特に中国市場ではライフスタイルとしての釣りが定着しつつあり、グローバルでのマーケティング戦略を構築できる人材や、極限の環境下でも壊れない品質を支える品質保証職の役割がこれまで以上に重要となっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:決算短信補足説明資料 P.6
2025年12月期の通期連結業績予想について、売上高4,600億円、営業利益460億円の数値を据え置いています。自転車部品市場の在庫調整は概ね適正水準に戻りつつあり、今後は調整局面から需要回復に伴う増産体制への移行が見込まれます。
注目すべきは、設備投資を前年実績の446億円から500億円へ拡大させる計画です。生産設備の高度化やDX(デジタルトランスフォーメーション)への投資を緩めない姿勢は、将来の成長に対する経営陣の自信の表れと言えます。転職市場においては、世界各地の生産・販売拠点と連携できるグローバル人材や、次世代のスマートコンポーネントを開発できるIT人材への採用意欲が今後さらに高まると推測されます。
4 求職者へのアドバイス
「市場在庫の適正化」をチャンスと捉え、再成長フェーズにおけるグローバル供給体制の最適化や、新製品「Q'AUTO」に象徴されるデジタル・メカ融合のイノベーションに貢献したいという視点が有効です。世界シェアトップクラスのブランドを背負い、品質への徹底したこだわりを共感の軸に据えることで、同社の文化に合致したアピールが可能になります。
・「市場在庫が適正化された後の次なる成長ドライバーとして、どのような新技術や新領域に注力していく計画ですか?」
・「500億円の設備投資計画の中で、製造現場のデジタル化や省人化、またそこで働く人材に期待されるスキルセットの変化を教えてください。」
・「スマート製品の普及に伴い、これまでのハード主体の開発体制がどのように変化し、ITエンジニアが活躍できる場面が広がっているのでしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年12月期 第3四半期決算短信補足説明資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。