0 編集部が注目した重点ポイント
① 堺工場の取得でペロブスカイト太陽電池の量産体制を確立する
2025年10月にシャープ堺工場の取得を完了しました。これにより、次世代太陽電池である「ペロブスカイト太陽電池」の100MW級生産ラインの構築が本格化します。2026年3月の商用販売開始、2027年4月の稼働を目指しており、新規事業領域でのキャリア機会が飛躍的に拡大する歴史的な転換点といえます。
② 住宅事業が棟単価上昇により厳しい市場環境下で増益を達成する
新設住宅着工の減少が続く中、住宅カンパニーは高付加価値商品の拡販により営業利益+11.9%の増益を達成しました。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率の向上や集合住宅の大型化による「棟単価の上昇」が奏功しています。既存の「売る」組織から、コンサルティング重視の「付加価値を提案する」組織への進化が鮮明です。
③ 過去最高の業績更新を見据え株主還元を大幅に拡充する
年度の営業利益は期初計画を修正したものの、過去最高益の更新を射程圏内に捉えています。これに伴い、16期連続となる増配(年間80円)に加え、300億円規模の自己株式購入枠を追加設定しました。安定した経営基盤を背景に、人的資本投資や新事業への攻めの投資を継続できる財務体質が強みです。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第2四半期決算および経営計画進捗説明会 P.4
2025年度上期は、自動車市場の一部停滞や国内外の市況低迷といった逆風を受けたものの、高機能品へのシフトや新値定着により増収を確保しました。営業利益はEV市場の成長鈍化や欧州での一時費用の影響で減益となりましたが、経常利益は為替差損の減少により増益を維持。政策保有株式の売却益減少により最終利益は減益となっています。 通期予想に対する営業利益の進捗率は約41.3%となっています。数値上は一見低く見えますが、例年下期に利益が偏重する季節性と、高機能プラスチックスにおけるHUD(ヘッドアップディスプレイ)向け中間膜の伸長などを鑑み、経営陣は「着実な成長軌道へ戻る」として概ね順調な進捗と評価しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第2四半期決算および経営計画進捗説明会 P.5
住宅カンパニー
事業内容:戸建住宅(セキスイハイム)、賃貸住宅、リフォーム、不動産、まちづくり事業を展開。
業績推移:売上高2,586億円、営業利益163億円。新築市場低迷下でも増収・大幅増益を達成。
注目ポイント:ZEH比率93%に達する環境性能と、都市部高価格帯モデル「ELVIA」の投入により、棟単価が前年比で大きく上昇しています。リフォーム事業も受注金額103%と伸長しており、LTV(顧客生涯価値)最大化に長けたセールス・企画職のニーズが高まっています。
高機能プラスチックスカンパニー
事業内容:モビリティ、エレクトロニクス、インダストリアル(航空機・建築等)の3分野で高機能素材を供給。
業績推移:売上高2,235億円、営業利益283億円。モビリティ市場の減速を他分野の堅調さで補い増収を維持。
注目ポイント:スマホ・半導体市況の回復を背景にエレクトロニクスが伸長。HUD(ヘッドアップディスプレイ)向け中間膜などの独自技術が収益を支えています。欧州・タイ等での生産能力増強も進んでおり、グローバルな事業開発人材が不可欠です。
環境・ライフラインカンパニー
事業内容:上下水道・建物用配管、合成木材FFU、管路更生システムなどを提供。
業績推移:売上高1,121億円、営業利益81億円。猛暑による施工遅延の影響を受け微減収減益。
注目ポイント:耐火・不燃材料や管路更生などの「重点拡大製品」が成長の柱です。老朽化インフラの更新需要を捉え、北米や欧州での海外展開を加速中。社会課題をインフラ面から解決したいエンジニアにとって、挑戦しがいのある環境です。
メディカル事業(積水メディカル)
事業内容:検査薬・機器、医薬(原薬受託)、創薬支援事業を展開。
業績推移:売上高443億円、営業利益45億円。海外検査需要の低迷により減収減益。
注目ポイント:検査事業が中国・米国で苦戦する一方、医薬事業は主要原薬や創薬支援が堅調です。英国工場のGMP(医薬品製造管理基準)対応稼働を2027年に予定するなど、ライフサイエンス分野でのグローバル基準の品質管理や開発スキルが求められています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第2四半期決算および経営計画進捗説明会 P.2
積水化学工業は、通期の営業利益目標を1,100億円とし、過去最高益の更新を狙っています。特に注目すべきは、独自技術「ペロブスカイト太陽電池」への投資加速です。シャープ堺工場の取得により、大面積・量産化に向けた製造体制が整いました。2028年度には営業損益の黒字化、2030年度には売上高2,000億円規模、営業利益率10%を目指す野心的な計画です。 質疑応答等では、既存事業の「稼ぐ力」を強化しつつ、こうした新規事業へリソースを大胆にシフトさせる方針が強調されています。製造、販売、さらにはメンテナンス体制の確立まで、ゼロから事業を創り上げる経験を持つ人材への期待は、これまでにないほど高まっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「高付加価値シフト」という言葉に自身の経験を紐付けるのが有効です。住宅事業の棟単価向上や、高機能素材への注力に見られるように、同社は単なる価格競争ではなく、技術力によるソリューション提案を軸としています。「環境貢献を単なる社会奉仕ではなく、持続可能な事業利益として成立させる(ペロブスカイト太陽電池等)」という経営姿勢に共感を示し、自身の専門性がどう貢献できるかを語ることが重要です。
面接での逆質問例
・「堺工場の取得によりペロブスカイト太陽電池の量産体制が整いますが、製造現場や販売組織には今どのような専門スキルを持つ人材が最も不足しているとお考えですか?」 ・「住宅事業において棟単価上昇が続いていますが、顧客のニーズを的確に捉えるために、現場の営業や設計にどのような変化を求めていますか?」 ・「高機能プラスチックスにおいて、EV市場の停滞をエレクトロニクス等でカバーしていますが、将来的なポートフォリオの最適解をどう描いていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年度(2026年3月期)第2四半期決算および経営計画進捗説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。