0 編集部が注目した重点ポイント
① BS放送事業から撤退し経営資源を集中させる
2025年7月1日付で連結子会社であったBS松竹東急株式会社の全保有株式をJCOM株式会社へ譲渡しました。これによりBS放送事業から撤退し、確定した事業撤退費用との差額を戻入益として計上しています。不採算領域の整理による、中核事業へのリソース集中という構造的変化が鮮明になっています。
② 映像・演劇の両主力が大幅な黒字転換を果たす
前年同期に損失を計上していた映像関連事業と演劇事業が、当3Q累計で劇的な利益改善を見せました。映像では「Snow Man」の映画館生中継やヒット作の連発、演劇では歌舞伎座での大規模な襲名披露公演の成功が寄与しています。コンテンツ制作能力と劇場運営の相乗効果が業績を力強く牽引しています。
③ 通期利益予想を12億円上方修正し成長を加速させる
好調な興行成績と演劇公演の勢いを受け、通期の連結営業利益予想を前回発表から27.9%増となる55億円へ引き上げました。映画館への客足が継続して好調なことに加え、利益率の高い放映権販売なども寄与する見込みです。年度末に向けてさらなるキャリア機会の拡大が期待できるポジティブな修正となっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年2月期 第3四半期 決算説明資料 P.1
当第3四半期累計期間は、主力の映像・演劇事業がともに好調に推移し、全社的な業績を底上げしました。営業利益は前年同期のわずか74百万円から5,496百万円へと激増しており、収益構造の改善が明確です。また、親会社株主に帰属する四半期純利益も4,964百万円(前年同期は1,018百万円の損失)と黒字転換を果たし、盤石な財務体質への回復を印象づけています。
通期予想に対する進捗率は、売上高ベースで約77.1%に達しており、第3四半期終了時点で基準となる75%を超えていることから、業績は順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年2月期 第3四半期 決算説明資料 P.2
映像関連事業
【事業内容】
映画の企画制作・配給、映画館(MOVIX等)の運営、テレビ番組制作、DVD・BD販売、動画配信、CS放送事業など、映像コンテンツを多角的に展開しています。
【業績推移】
売上高は41,009百万円(前年同期比35.8%増)、セグメント利益は2,439百万円(前年同期は548百万円の損失)と大幅な増収増益を達成しました。
【注目ポイント】
「Snow Man」のライブ生中継が好評だったほか、「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪」などのアニメ・実写映画が興行収入10億円を突破。配信でもAmazon Prime Videoでの独占配信が収益に大きく貢献しています。2025年3月オープンの「MOVIX広島駅」も堅調で、リアルな劇場体験とデジタル配信のハイブリッド戦略が加速。コンテンツプロデューサーやデジタルマーケティング人材の需要が高まっています。
演劇事業
【事業内容】
歌舞伎座、新橋演舞場、大阪松竹座、南座などの劇場運営、歌舞伎やミュージカルの興行、衣裳・道具制作などを手がけています。
【業績推移】
売上高20,189百万円(17.9%増)、セグメント利益1,285百万円(前年同期は1,169百万円の損失)と、12億円超の利益改善を果たしました。
【注目ポイント】
尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎らの襲名披露公演が大成功を収めたほか、「鬼平犯科帳」や「火の鳥」といった新作歌舞伎が好評を博しました。「シネマ歌舞伎」も予想を大きく上回る好成績。伝統継承と革新的な演出の両立が進んでおり、大規模イベントの運営経験者や、伝統芸能を現代的にアップデートできる企画人材にとって、極めて活気のあるフィールドとなっています。
不動産事業
【事業内容】
「歌舞伎座タワー」や「銀座松竹スクエア」など、主要物件の賃貸・管理およびエリアマネジメント活動を行っています。
【業績推移】
売上高11,024百万円(5.6%増)、セグメント利益4,154百万円(8.7%減)。修繕費等の発生により減益ですが、依然として高い利益水準を維持しています。
【注目ポイント】
主要物件で高稼働を維持しており、適切な賃料改定や計画的な資産価値向上策が功を奏しています。東銀座エリアマネジメント活動を通じて地域のブランド力向上にも注力。2026年春には鎌倉市大船に「なりわい賃貸住宅」のオープンを予定するなど、新規プロジェクトも進行中です。安定した収益基盤の上で、街づくりに関わりたい人材に適しています。
その他事業
【事業内容】
劇場プログラム・キャラクター商品の販売、朗読劇などのイベント事業、ゲーム事業などを展開しています。
【業績推移】
売上高2,533百万円(53.2%増)、セグメント利益118百万円(前年同期は320百万円の損失)と黒字転換しました。
【注目ポイント】
累計150万部突破の話題作「成瀬は天下を取りにいく」の朗読劇化が大盛況。ゲーム事業では東京ゲームショウ2025に初出展し、8タイトルを展示するなど新規領域への拡大が鮮明です。IP(知的財産)を活用したライセンスビジネスや、新規事業立ち上げの経験を活かせるポジションが増えています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年2月期 第3四半期 決算説明資料 P.16
今後の成長戦略において、映像関連事業では「映画ラストマン-FIRST LOVE-」や「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」など、メガヒット級のIP作品が続々と公開されます。また、配信分野ではAmazon Prime Videoとの連携を強化し、利益率の高い「放映権・配信権販売」の最大化を図る方針です。
演劇事業では、大阪松竹座の「さよなら公演」シリーズや、待望の歌舞伎版「ルパン三世」の新作上演など、集客力の高い独自企画が控えています。BS放送事業からの撤退という大きな決断を経て、経営資源をこれら「強いコンテンツ」への投資に振り向けることで、持続的な成長を実現しようとする意図が読み取れます。採用面では、既存の枠にとらわれず、IP価値を最大化できるビジネス感覚を持った人材が強く求められるフェーズに入っています。
4 求職者へのアドバイス
松竹は現在、伝統的な「興行」モデルから、IPを多角的に活用する「デジタル&グローバル」な事業体への変革期にあります。志望動機では、同社が保有する強力なコンテンツ(歌舞伎、ヒット映画、アニメ等)を、「どのような新しい形で顧客に届けるか」という視点を盛り込むと効果的です。特に、当期に黒字転換を果たした映像と演劇の相乗効果、あるいは不採算事業整理後のリソースの再配置に注目し、自身のスキルがその加速にどう貢献できるかを語ることが重要です。
- 「BS放送事業からの撤退により、今後は具体的にどのような新規コンテンツ投資やデジタル領域への注力をお考えでしょうか?」
- 「映画・演劇ともに好調な3Q決算でしたが、この勢いを一過性にせず持続的な収益基盤とするための課題をどう認識されていますか?」
- 「アニメやゲームといった『その他事業』が成長していますが、既存の映画・演劇部門との社内連携や人材交流の現状について教えてください。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
映画や演劇が好きで仕事をしてる人が多い
あまりがつがつしていない印象で、社内でも出世競争などあまり熾烈ではない。一部に露骨に出世意欲が高い方がいるが、少数派であり、全体としては純粋に映画や演劇が好きで仕事をしてる人が多い印象。
(30代前半・その他・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 松竹株式会社 2026年2月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 松竹株式会社 2026年2月期 第3四半期 決算説明資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。