ゼンリンの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

ゼンリンの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

ゼンリンの2026年3月期2Q決算は、公共ソリューションの伸長により5期連続増収、2Qとしては7期ぶりの営業黒字化を達成。アーバンエックステクノロジーズの子会社化など「用途開発」によるストック型ビジネスへのシフトを加速中です。変革期にある同社で転職希望者が担える役割を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

2Qとして7期ぶりの営業黒字化を達成し収益性を改善させる

2026年3月期第2四半期は、売上高が5期連続で増収となっただけでなく、営業損益が7期ぶりに黒字化(83百万円)しました。人件費の増加を増収効果や高付加価値なソリューションの拡大で吸収しており、筋肉質な経営体質への転換が鮮明になっています。地図データの「用途開発」による収益拡大を担う企画・営業人材の活躍の場が広がっています。

公共ソリューション事業が前年比48.7%増と大幅に伸長する

自治体や省庁向けの公共ソリューション事業において、住宅地図データの提供や国勢調査関連の受託案件が大幅に増加しました。従来の「地図を売る」モデルから、行政業務のデジタル化を支援するパートナーへと事業領域を拡張しています。スマートシティや防災といった社会課題解決に直結するプロジェクトに携わるキャリア機会が拡大しています。

新規連結子会社の技術を活用し道路管理DXを本格化させる

当2Qより、AIを活用した道路維持管理支援を行う株式会社アーバンエックステクノロジーズを新規連結しました。ゼンリンが持つ膨大な地図アセットに、AI解析技術という新たな武器が加わったことで、インフラ管理の高度化という巨大市場への攻勢を強めています。スタートアップの機動力と最大手の基盤を掛け合わせた、新規事業開発の機会が生まれています。

1 連結業績ハイライト

公共ソリューションの躍進とストック型サービスの拡大により、増収および大幅な利益改善を達成しました。
2026年3月期 第2四半期決算のポイント

出典:2026年3月期 第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.3

売上高

295億円

+2.8%

EBITDA

29億円

+17.2%

営業利益

0.8億円

前年比黒字転換

当第2四半期累計の売上高は29,523百万円(前年同期比2.8%増)と5期連続の増収を達成しました。営業利益は83百万円となり、前年同期の△275百万円から大幅に改善、中間期としては7期ぶりの黒字となりました。ベースアップによる人件費の増加を、売上構成の変化や業務効率化によって吸収したことが増益の要因です。

売上高の通期予想に対する進捗率は45.1%となっています。同社のビジネスモデルは季節的変動が著しく、売上が第4四半期に集中する傾向があるため、この進捗水準は過去の実績と比較しても「概ね順調」と評価できます。下期に向けては、公共およびインフラ分野でのソリューション売上のさらなる積み上げを見込んでいます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

中長期経営計画「ZGP2030」に基づき区分された5つの事業ソリューションにより、多角的な価値提供を推進しています。
売上高・利益の推移グラフ

出典:2026年3月期 第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.4

プロダクトソリューション事業

事業内容:企業向けに住宅地図データをはじめとする汎用性の高い商品・サービスを提供。

業績推移:売上高68億円(前年同期比+6.5%)。GISパッケージなどのストック型が牽引。

注目ポイント:「登記所備付地図」の追加など、コンテンツの拡充によりストック収益の土台を強固にしています。地図情報を活用した業務効率化を支援するため、顧客の業務フローを深く理解し、付加価値を提案できるコンサルティング能力が求められています。

注目職種:法人営業(既存顧客深耕)、プロダクト企画、GISエンジニア

公共ソリューション事業

事業内容:省庁や自治体のデジタル化、市民サービスの質向上を支援する商品・サービスを提供。

業績推移:売上高44億円(前年同期比+48.7%)。消防向け地図提供が大幅増加。

注目ポイント:国勢調査等の大型受託案件に加え、公共インフラの維持管理DXが急成長しています。AIを活用した道路損傷検知など、最先端技術を公共サービスに実装する役割であり、技術と公共ニーズを橋渡しできるプロジェクトマネジメント人材が不可欠です。

注目職種:公共部門向けPM、自治体向けDX提案営業、データ解析エンジニア

インフラソリューション事業

事業内容:物流・不動産等の業界バリューチェーンに最適化した位置情報ソリューションを提供。

業績推移:売上高80億円(前年同期比+3.1%)。APIサービスの採用が堅調。

注目ポイント:大手不動産企業との「不動産情報プラットフォーム」構築など、企業共創型ビジネスを推進しています。質疑応答で言及された通り、増収分の約7割が不動産・物流業界向けであり、業界特有の課題をAPIで解決するソリューション開発の専門性が高く評価されるフィールドです。

注目職種:APIソリューション営業、ビジネスデベロップメント、物流DXコンサルタント

モビリティソリューション事業

事業内容:自動車関連企業向けに、移動に関わる空間情報・サービスを提供。

業績推移:売上高72億円(前年同期比△13.0%)。前期の一過性売上の反動等が影響。

注目ポイント:短期的には反動減やモデル終焉の影響を受けましたが、自動運転やEV化に伴う次世代モビリティ市場を見据えた開発を強化しています。従来のナビデータの提供にとどまらず、コネクテッドカーのライフタイムバリュー全体を支える技術開発人材の採用を継続しています。

注目職種:自動運転関連ソフトウェア開発、モビリティサービス企画、グローバル営業

マーケティングソリューション事業

事業内容:調査・分析から販促展開まで、一連のマーケティング施策をトータルで提供。

業績推移:売上高30億円(前年同期比△6.5%)。一般商業印刷が減少。

注目ポイント:印刷単体から「ARMBOX」等の販促支援システムへのシフトを狙っています。位置情報を活用したエリア分析に基づき、デジタルとアナログを融合させた高度なプロモーション戦略を構築できる人材にとって、変革をリードするチャンスがあります。

注目職種:マーケティングプランナー、広告運用マネジャー、店舗開発コンサルタント

3 今後の見通しと採用の注目点

年度末に集中する季節性を活かし、通期での増収増益とDOE目標5%達成に向けた高還元体制を維持します。
四半期売上高構成比率の推移

出典:2026年3月期 第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.23

通期の連結業績予想は、売上高65,500百万円、営業利益4,300百万円と、期首予想を据え置いています。モビリティ分野の減収リスクはあるものの、公共ソリューション分野の上振れやストック型サービスの拡大によりカバーする計画です。また、2026年3月期以降は株主還元をさらに強化し、DOE(自己資本配当率)目標を5%以上へ引き上げるなど、強気な還元姿勢を示しています。

質疑応答で言及された通り、下期はインフラソリューションにおける大型案件のクロージングと、アーバンエックステクノロジーズとのシナジー創出を重点戦略としています。特に「不動産業界におけるデファクトスタンダード」を目指すプラットフォーム構築は、同社の将来を左右する最重要プロジェクトです。単なる地図データ販売ではなく、「地理空間情報を顧客価値に変換する」プロセスに主体的に関与できる人材への期待がますます高まっています。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

「地図アセットの用途開発」に対する熱意を伝えましょう。ゼンリンは今、単なるデータベース保有企業から、DX支援のプラットフォーマーへと進化しています。特に「アーバンエックステクノロジーズのAI技術と地図データの融合」や「不動産情報プラットフォームによる業界構造の変革」といった具体施策に触れ、自身のスキルが新たな位置情報ビジネスの創造にどう貢献できるかを語るのが効果的です。

Q&A

面接での逆質問例

「不動産情報プラットフォームをデファクトスタンダード化するにあたり、現場レベルで他社サービスと差別化している決定的な要素は何ですか?」
「アーバンエックステクノロジーズ社との統合(PMI)において、文化や開発体制のシナジーを最大化するために現在取り組んでいる工夫を教えてください。」
「モビリティ分野がライフタイムバリュー全体の提案へシフトする中で、中途採用者に最も期待される新たな知見や経験はどのようなものですか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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サービス残業とは基本的にない

全社的には残業抑制の動きを推進している。定時退社の曜日が決められており、その曜日に関しては時間通りに退勤することが推奨されている。知る限り、サービス残業とは基本的にない。

(20代後半・その他・女性) [キャリコネの口コミを読む]
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中途に対しての研修は無い

中途に対しての研修は無いと思った方がいいです。形骸的な初期研修の後は地図の調査研修を経て営業活動という荒野に放り出されます。周りの空気を読みながら謙虚に立ち回ると基本的に放置されてしまい、大事な基本的知識が抜けたまま日々の業務に追われることになります。

(30代後半・販売促進・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 株式会社ゼンリン 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信
  • 株式会社ゼンリン 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明資料
  • 株式会社ゼンリン 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会における質疑応答

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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