0 編集部が注目した重点ポイント
① 中間純利益が1.2兆円を超え過去最高を更新する
2025年度中間期の親会社株主純利益は1兆2,929億円に達し、中間期として3年連続で過去最高益を更新しました。好調な顧客部門の実績と円金利上昇の恩恵を受け、通期の利益目標を期初から1,000億円引き上げ、2兆1,000億円に上方修正しています。
② 証券・デジタル領域の完全子会社化で基盤を固める
2025年に三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)を完全子会社化し、リテール戦略の核となる新ブランド「エムット」を始動させました。ウェルスナビの完全子会社化も含め、デジタルと対面を融合させた新たな金融体験の提供に向けて、グループの構造改革を加速させています。
③ 生成AIの全行展開により業務変革を加速する
「AI-Nativeな企業」への変革を掲げ、ChatGPT Enterpriseを全行員へ展開しました。2026年度までに累計250件超のAI業務実装を目指しており、300億円規模の財務効果を見込んでいます。先端技術を使いこなすDX人材の採用と育成が、今後の成長戦略の鍵となります。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度中間期決算 投資家説明会 P.6
2025年度中間期の連結業績は、経常収益が微増の6兆8,937億円となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は1兆2,929億円と前年を上回り、極めて高い収益性を維持しています。貸出金利回りの上昇や手数料収益の伸長が、モルガン・スタンレー等の持分法投資損益の増加とともに利益を押し上げました。
修正後の通期利益目標2兆1,000億円に対する進捗率は、中間期時点で約61.5%となっており、業績は順調に推移しています。期初目標の2兆円に対しては64.6%という高い達成率を記録しており、下半期に向けても強気の姿勢を崩していません。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度中間期決算 投資家説明会 P.39
リテール・デジタル事業本部
事業内容:国内個人および小規模法人向けの金融サービスを提供。三菱UFJ銀行、三菱UFJニコス、三菱UFJ eスマート証券が中核。
業績推移:営業純益1,332億円(前年同期比+75億円)。「エムット」リリース後のカード獲得や口座開設が好調に推移。
注目ポイント:2025年に三菱UFJ eスマート証券を完全子会社化し、デジタルバンクの来年度開業を予定。UI/UX設計、デジタルマーケティング、アプリ開発などのIT専門人材への期待がかつてないほど高まっています。
法人・ウェルスマネジメント事業本部
事業内容:国内の中堅・中小企業向け法人取引および富裕層向け資産管理サービスを展開。
業績推移:営業純益1,721億円(前年同期比+491億円)。事業承継関連融資や資産運用収益が大きく伸長。
注目ポイント:専門人材を910名増員し、2,240名体制へと拡充。オーナー企業の事業承継やM&Aなど、高度なコンサルティング力が求められるフィールドで、プロフェッショナル人材の採用が強化されています。
コーポレートバンキング事業本部(JCIB)
事業内容:国内大企業向けの法人営業。銀行、信託、証券の連携によるソリューションを提供。
業績推移:営業純益2,892億円(前年同期比+158億円)。M&Aや不動産ファイナンスの案件積み上げが寄与。
注目ポイント:低収益資産の削減と並行し、収益性の高い領域へ資本を集中。GX(グリーントランスフォーメーション)起点でのバリューチェーン支援など、新たな社会課題解決に向けたファイナンス実績が積み上がっています。
グローバルCIB事業本部(GCIB)
事業内容:世界の大企業および金融機関向けの投資銀行・法人銀行業務。
業績推移:営業純益1,815億円(前年同期比+143億円)。米州における手数料収益が利益成長を牽引。
注目ポイント:モルガン・スタンレーとの協働「アライアンス2.0」を深化。AIデータセンター建設など世界の潮流を捉えた大型案件をリードレフト(主幹事)として複数組成しており、グローバルな活躍機会が豊富です。
グローバルコマーシャルバンキング事業本部(GCB)
事業内容:ASEAN地域のパートナーバンク(タイのアユタヤ銀行、インドネシアのダナモン銀行)を通じた商業銀行業務。
業績推移:営業純益1,422億円。タイのKSは経費削減が進展し、インドネシアのBDIは復調の兆し。
注目ポイント:インドネシアでのMandalaの経営統合を2025年10月に完了。アジアのデジタル金融領域への出資を加速させており、域内の金融経済圏拡大を担う多国籍なプロジェクトが活発化しています。
受託財産事業本部
事業内容:資産運用(AM)および資産管理(IS)、年金業務を提供。
業績推移:営業純益728億円(前年同期比+102億円)。「資産運用立国」への貢献を掲げ、預かり資産を積み上げ。
注目ポイント:BPO(業務代行)受託残高が2029年度目標の100兆円を前倒しで達成。三菱UFJアセットマネジメントの完全子会社化など、運用力の強化に向けて国内外で体制を拡充しています。
市場事業本部
事業内容:金利、為替、株式等の市場取引を通じた自己運用および顧客向けセールス&トレーディング。
業績推移:営業純益2,047億円(前年同期比+84億円)。ボラティリティを活かしたトレジャリー業務が堅調。
注目ポイント:電力先物取引などの新領域でシェア28%を獲得。ブロックチェーン技術を用いたセキュリティトークンの発行・受託でも国内トップクラスのシェアを誇り、金融の最先端技術を社会実装する挑戦が続いています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度中間期決算 投資家説明会 P.21
MUFGは中期経営計画の後半に向けて、収益力の飛躍的な向上を目指しています。特に注目すべきは、OpenAI社との戦略的提携を通じた「AI-Nativeな企業」への脱皮です。2026年度にはAI活用による財務効果を年間300億円まで引き上げる計画で、AIを「ツール」ではなく、意思決定をサポートする「デジタル社員」として活用するフェーズへ移行します。
国内の金融指標見通しも調整しており、年度内の利上げ可能性を視野に入れたバランスシート運営を強化しています。また、12月には「MUFGトランジション白書4.0」を発刊予定で、脱炭素社会への移行支援という社会課題解決をビジネスチャンスへ変える動きを加速させます。これらの変化に対応できる、専門性と革新性を備えた人材の需要は、今後ますます高まっていく見込みです。
4 求職者へのアドバイス
MUFGは、従来の「銀行」という枠組みを超え、生成AIの全行展開やデジタルバンク開業、宇宙産業への金融支援など、極めて挑戦的な領域に踏み出しています。「安定した経営基盤をレバレッジに、日本発のグローバル金融変革を成し遂げたい」という視点は、高い評価を得るでしょう。特に、異業界で培った専門性(IT、データ分析、コンサルティング等)を金融の枠組みへ再構成する意欲をアピールすることが有効です。
- 「AI-Nativeな企業への変革という方針の下、現場の意思決定スピードや組織文化はどのように変化していますか?」
- 「アジャイル運営を適用する領域が拡大中とのことですが、中途入社者がリーダーシップを発揮する上での期待を教えてください。」
- 「新ブランド『エムット』の展開により、グループ各社の連携が強化されていますが、各事業会社間の人材交流やナレッジ共有の現状はいかがですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
福利厚生は比較的良いほう
福利厚生は比較的良いほうかと思います。中でも他の企業ではあまり見られない、昼食手当は助かりました。他にも福利厚生として書籍購入などに充てられるポイントの付与等がありました。資格試験の参考書を購入したり、映画チケットに交換できたりと、かなり充実していたかと思います。
(20代前半・プログラマ・女性) [キャリコネの口コミを読む]学閥は大いに存在する
自分の評価がどのようにされてるかは非常に疑問ではある。ある程度正当に評価されているように感じるが、学閥は大いに存在する。
(20代前半・代理店営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2025年度中間期決算 投資家説明会(2025年11月18日)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信(2025年11月14日)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。