0 編集部が注目した重点ポイント
① BPO事業を労働集約型からDX・コンサル型へ転換する
パソナグループは、従来の大型受託案件に依存する構造から、プロ人材による伴走支援「ProShare」やDXを活用した「X-TECH BPO」へと戦略をシフトしています。当第2四半期では大型案件のピークアウトにより減収となったものの、高付加価値化により売上総利益率は21.9%(前年同期比0.9pt改善)と着実な成果を見せており、専門人材の重要性が増しています。
② 地方創生事業の収益化に向けた構造改革を加速させる
淡路島を中心とした地方創生・観光ソリューションが前年同期比24.8%増収と躍進しています。ニジゲンノモリでの「鬼滅の刃」イベントなどの人気コンテンツに加え、人材配置の最適化や広告宣伝費の効率化を徹底したことで、営業利益の赤字幅が大幅に改善。2026年には「燦燦Villa」や「ウェルネスレジデンス」などの新規開業も控え、観光開発のキャリア機会が広がっています。
③ ITインフラ刷新と人件費増を成長への先行投資と捉える
利益面ではITインフラの利用料金改定や退職給付費用の増加により販管費が膨らみ、営業利益は204百万円の損失となりました。しかし、これは長期的な効率化と競争力強化に向けた不可避な先行投資としての側面が強く、万博関連の受託案件獲得や経常利益の改善(前年比330.4%増)を含め、下期以降の巻き返しを狙う姿勢を鮮明にしています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年5月期 第2四半期 決算説明資料 P.3
2026年5月期第2四半期の連結売上高は、大型案件の収束影響を地方創生事業やライフソリューション事業の成長で補い、前年同期比0.4%の増収となりました。営業利益はITインフラ利用料の改定に伴うコスト増により赤字となりましたが、経常利益については大阪・関西万博関連の協賛金収入や物販収入、持分法投資利益の増加により大幅な増益を達成しています。
通期予想の売上高330,000百万円に対する進捗率は46.8%となっており、現時点では「進捗が遅れている」ように見えますが、会社側は期初の業績予想を据え置いています。これは、下期において派遣料金単価の更なる上昇や、地方創生事業における春先の集客施策、高付加価値BPO案件の獲得加速を見込んでいるためです。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年5月期 第2四半期 決算説明資料 P.6
BPO・エキスパートソリューション
事業内容: 委託・請負による事務代行サービスおよび人材派遣事業。ビーウィズやパソナ等の事業会社が主導しています。
業績推移: 売上高135,095百万円(前年比0.6%減)。営業利益5,352百万円(前年比2.1%減)。大型案件のピークアウトが影響しました。
注目ポイント: 顧問コンサルティングからブランド名を変更した「ProShare」が拡大しており、企業の経営課題に直接関与する案件が増えています。また、システム刷新により利便性を向上させた結果、登録者数は二桁成長を記録。下期からは成約の早期化と派遣単価の改定により、収益性の向上が期待されています。
キャリアソリューション
事業内容: 人材紹介および再就職支援事業。ハイクラス層向けの「パソナ」等が中心です。
業績推移: 売上高7,071百万円(前年比0.9%増)。営業利益2,131百万円(前年比11.3%減)。システムリプレイスによる一時的な生産性低下が響きました。
注目ポイント: 人材紹介では注力領域であるハイキャリア分野での平均単価が上昇しています。再就職支援では企業の構造改革需要を背景に、1社あたりの受託規模が拡大。一時的な生産性低下は「徐々に持ち直し」ており、下期以降の商談も活発であることから、コンサルティング体制の強化が進められています。
地方創生・観光ソリューション
事業内容: 淡路島を中心とした観光施設運営、地域活性化事業。ニジゲンノモリ等を展開しています。
業績推移: 売上高4,360百万円(+24.8%)。営業損失531百万円(前年の915百万円から大幅改善)。
注目ポイント: インバウンド需要を牽引する「NARUTO&BORUTO忍里」や「鬼滅の刃」イベントの成功により、来場者数が増加。物販・飲食・宿泊の全方位で高付加価値化が進んでいます。初期投資フェーズを脱しつつあり、管理体制の適正化による黒字化へのマイルストーンを明確に歩んでいます。
グローバルソリューション
事業内容: 北米やアジア圏での人材紹介、BPO、人事コンサルティングを提供。
業績推移: 売上高5,724百万円(前年比4.8%増)。営業利益116百万円(前年比10.8%減)。
注目ポイント: 米国では経理・給与計算BPOが堅調、台湾では半導体産業向けの紹介が伸長しています。利益面での減少は、新規事業に向けたコンサルティング人材の積極採用による一時的なコスト増。グローバルでのサービス基盤拡大に向けた投資フェーズにあります。
ライフソリューション
事業内容: 子育て支援(パソナフォスター)、介護・家事代行(パソナライフケア)。
業績推移: 売上高4,624百万円(前年比11.2%増)。営業利益192百万円(+160.7%)。
注目ポイント: 東京都内での学童クラブ運営拡大や、万博関連の受託案件獲得が収益を牽引しました。施設ごとの収支管理を徹底したことで利益率が大幅に改善。安定的な公共セクター需要に加え、収益性の高いライフサポート案件の比率が高まっており、管理・運営スキルを持つ人材の需要が高まっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年5月期 第2四半期 決算説明資料 P.22
パソナグループは現在、創業50周年の節目を迎え、次の50年を見据えた「PASONA GROUP VISION 2030」の達成に向けて動いています。下期はエキスパートソリューションにおける派遣料金単価の更なる引き上げや、BPOサービスのAI・デジタル活用(X-TECH)を加速させる計画です。
特に注目すべきは、大阪・関西万博後のレガシー活用です。ヤンマーHDとの「1億人のアグリライフプロジェクト」や、エステーとの「ウェルネス事業共創」など、他業種との包括提携による新会社設立や事業開発が相次いでいます。これらの動きは、単なる人材派遣会社を超えた「ライフプロデュースカンパニー」への変貌を目指すものであり、新規事業開発やアライアンス経験を持つ人材にとって非常に魅力的なフェーズと言えます。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
パソナグループは現在、単なる人材サービスから「社会課題解決型企業」への転換期にあります。志望動機では「単に人を送るだけでなく、地方創生やBPOの高度化を通じて産業そのものを活性化したい」という視点が重要です。特に、BPO領域での「ProShare」展開や、淡路島での観光開発など、「既存事業×新規価値」という文脈で自身の経験がどう活かせるかを語ると高い評価に繋がるでしょう。
面接での逆質問例
- 「BPO事業がコンサル型へ移行する中で、現場のPMにはどのような新しい専門性が求められていますか?」
- 「地方創生事業が収益化フェーズに入っていますが、今後淡路島以外の地域への横展開についてはどのような構想をお持ちでしょうか?」
- 「万博関連の受託案件を通じて得た知見やパートナーシップを、2026年以降の成長戦略にどのように組み込んでいく予定ですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
基本の給料が変わらないことを考えると微妙
配属先により、また担当によっても業務負荷は大きく変わります。かたや、毎晩終電まで、あるいはその時間を超えてやっている人もいれば、残業じたいが制限されている場合もあります。やりがいにもつながる話なので、単に損得で語れないかもしれませんが、基本の給料が変わらないことを考えると、微妙です。
(30代後半・法人営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年5月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年5月期 第2四半期(中間期)決算説明資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。