0 編集部が注目した重点ポイント
① トヨタグループによる非公開化を推進する
2026年2月以降を目途に、トヨタ不動産およびトヨタ自動車による普通株式の公開買付け(TOB)が開始される予定です。完了後は上場廃止・非公開化となる見込みであり、グループ内での連携強化を通じた抜本的な構造改革が期待されます。転職者にとっては、資本構成の変化に伴う組織体制の刷新や、新たなキャリアパスの形成につながる大きな転換点となります。
② 認証関連等の費用増で利益を下方修正する
エンジン認証問題に起因する米国集団訴訟の和解金や、米国関税の影響により、通期の営業利益予想を1,000億円へ下方修正しました。一時的なコスト増はあるものの、為替の円安推移が業績を下支えしています。現在はコンプライアンス体制の再構築とコスト構造の適正化を急いでおり、再生に向けた管理・法務・生産管理等の専門人材への期待が高まっています。
③ 物流ソリューション事業が成長を牽引する
主力の産業車両セグメントにおいて、フォークリフトの販売台数は欧米で減少したものの、物流ソリューション事業が増収となり、売上高を押し上げました。単純な製品販売から「自動化・省人化システム」の提供へとビジネスモデルがシフトしており、ソフトウェアエンジニアやシステムコンサルタントといったDX人材の活躍フィールドが急速に拡大しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期決算説明資料 P.2
売上高
2兆586億円
+2.1%
営業利益
375億円
△70.3%
親会社利益
911億円
△38.2%
当第2四半期の売上高は、製品出荷の増加や円安の追い風を受け、前年同期を432億円上回る増収となりました。一方で利益面では、エンジン認証問題に関連する訴訟和解金や顧客対応費用として合計737億円を計上したほか、米国関税の影響が重なり、大幅な減益となっています。ただし、子会社株式の売却益計上などにより、最終利益の減少幅は営業利益に比べ限定的となりました。
通期予想に対する営業利益の進捗率は37.5%となっており、現時点では進捗が遅れている状況です。これは第2四半期に認証関連の一時的な巨額費用が集中したことが主因であり、下期以降の収益回復と、非公開化を見据えた経営効率化の行方が焦点となります。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期決算説明資料 P.3
自動車セグメント
事業内容:車両、エンジン、カーエアコン用コンプレッサー、電子機器(電池・車載充電器)の開発・製造。
業績推移:売上高は5,763億円(+1.1%)、営業利益は68億円(△74.3%)。認証問題費用が利益を圧迫。
注目ポイント:トヨタRAV4の台数減やコンプレッサーの中国・欧州市場での苦戦がある一方、電池や車載充電器等の電子機器事業は+6.2%の増収と堅調です。BEV(電気自動車)市場の進展を見据え、パワートレインの電動化を支える技術開発人材へのニーズが継続しています。
産業車両セグメント
事業内容:フォークリフトトラックおよび自動搬送機等の物流ソリューション事業の展開。
業績推移:売上高は1兆4,183億円(+2.8%)、営業利益は285億円(△70.3%)。和解金計上が影響。
注目ポイント:北米・欧州でのフォークリフト需要鈍化を、物流ソリューション事業の増収が補う構造です。ハードウェアだけでなく、倉庫全体の自動化を提案する「コト売り」への移行を加速させており、プロジェクトマネジメントやITコンサル経験者が活躍できる領域です。
繊維機械・その他
事業内容:紡機・織機の製造および、報告セグメントに含まれないその他事業。
業績推移:繊維機械の売上高は341億円(△8.4%)で営業損失11億円を計上。
注目ポイント:市況の停滞を受け厳しい状況にありますが、創業の原点である技術を維持しつつ、新市場の開拓を模索しています。特定子会社であったアイチコーポレーションは持分法適用会社化され連結対象から外れていますが、グループとしての連携は維持されています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期決算説明資料 P.8
通期予想は、販売台数の減少や諸経費増を反映し、営業利益を1,000億円へ大幅下方修正しました。しかし、これはエンジン認証関連の和解金計上など「膿を出し切る」ための措置でもあります。第3四半期以降の為替前提を1USドル145円、1ユーロ165円と設定し、着実な利益確保を目指しています。
採用面での最大の注目点は、トヨタグループによる非公開化・スクイーズアウト手続の完了後、トヨタ自動車との連携がどう深化するかです。上場維持のコストから解放され、中長期的な視点での設備投資やR&D(研究開発)が可能になるため、先端技術領域での大規模な採用が活発化する可能性があります。
4 求職者へのアドバイス
「認証問題という課題を乗り越え、トヨタグループの原点として再生しようとする局面」であることを理解しましょう。単なる安定企業のイメージではなく、物流DXや電動化ソリューションといった新たな成長軸への変革に、自らの専門性がどう貢献できるかを伝えるのが有効です。
「トヨタグループによる非公開化が、現場の意思決定スピードや、私の希望する部署の投資計画にどのような変化をもたらすと期待されていますか?」など、資本構造の変化を前向きに捉えた質問をすることで、高い視座を持っていることをアピールできます。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
新しい事業に挑戦する姿勢に惹かれて入社
大手企業でありながら、常に新しい事業に挑戦する姿勢に惹かれて入社しました。社員の方々はとても親しみやすく、温かい雰囲気が漂っています。特に、同僚たちの協力的な姿勢には感心しました。仕事を進める上でのコミュニケーションもスムーズで、意見交換が活発に行われる環境です。入社前に感じていた期待と実際の職場環境に大きなギャップはなく、安心して働ける職場だと感じています。新しいことに挑戦する意欲を持つ方には、非常に魅力的な職場だと思います。
(20代後半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]適切な対価が伴わない
管理職に対する報酬体系には改善の余地があると感じます。特に、係長クラスの社員が課長相当の責任を負うことがあるにもかかわらず、それに見合ったインセンティブが提供されていない点は課題です。適切な対価が伴わないのは不満が残ります。事業部によって業務の進め方や方針が異なるため、統一感に欠ける部分があります。全体としては、透明性の向上とともに、社員のモチベーションを高めるための制度改革が求められると感じます。
(30代後半・コンサルティング営業・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期 決算説明資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。