0 編集部が注目した重点ポイント
① 北米の複合成形材料事業を2025年7月に売却完了する
事業構造改革の加速を目的として、複合成形材料の北米事業の譲渡を2025年7月1日に完了しました。これにより不採算領域をグループから分離し、経営資源を成長分野へ再配分する体制を整えています。ポートフォリオの刷新が進む中、経営企画や財務などの管理部門において、組織再編を主導するキャリア機会が拡大する可能性があります。
② アラミド事業で約150億円のコスト削減策を断行する
主力のアラミド事業において、400名超の人員適正化を含む約150億円の抜本的なコスト構造改革を推進しています。マテリアル領域の収益力を再構築するため、筋肉質な生産体制への移行を急いでいます。生産プロセスの最適化や組織変革に知見を持つ専門人材にとって、変革の核心を担う重要なフェーズとなっています。
③ ヘルスケア事業が前年比31.2%増益と成長を牽引する
在宅医療を中心とするヘルスケア事業が、事業利益ベースで前年同期比31.2%増の71億円と力強い成長を見せています。特にCPAP(睡眠時無呼吸症候群の治療機器)のレンタル台数が順調に増加しており、収益の柱としての存在感が高まっています。医療ニーズに応えるサービス開発や営業体制の拡充に向け、多様な人材への需要が継続しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度第2四半期決算 および 2025年度業績見通し説明資料 P.4
※事業利益 = 営業利益に持分法による投資損益を加算し、非経常的な損益(金融損益や減損損失等)を除いた指標(事業の経常的な稼ぐ力を示す)。
中間連結会計期間の売上収益は、複合成形材料の北米事業譲渡等により前年同期比11.1%の減収となりました。利益面では、アラミド事業における固定資産の減損損失484億円や構造改革費用等を計上したため、親会社の所有者に帰属する中間損失は548億円の赤字となっています。
一方で、今回下方修正を行った通期の事業利益予想(250億円)に対する第2四半期末時点の進捗率は52.0%となりました。マテリアル領域の回復遅れなどの課題はありますが、修正後の通期目標の達成に向けては順調な推移を維持しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度第2四半期決算 および 2025年度業績見通し説明資料 P.5
マテリアル
事業内容:アラミド繊維、炭素繊維、樹脂製品などの高機能素材の開発・製造・販売。
業績推移:売上収益 1,876億円(△20.0%)、事業利益 △16億円(赤字)。
注目ポイント:北米事業の譲渡完了に伴い赤字要因を切り離しましたが、アラミド事業での大型定修等の影響により減益。現在は抜本的なコスト削減と生産体制適正化を進めており、高付加価値領域へのシフトを加速させる素材エンジニアや事業企画人材の需要が高まっています。
繊維・製品
事業内容:高機能テキスタイル、衣料品、産業資材の開発・販売・リサイクル事業。
業績推移:売上収益 1,704億円(△2.0%)、事業利益 90億円(△11.2%)。
注目ポイント:北米向けテキスタイルや水処理フィルター用繊維は好調を維持。顧客ニーズを起点とする「顧客近接型ビジネスモデル」を深化させており、グローバルな市場開拓やマーケティング、サステナブル素材の企画を担う人材が活躍できる土壌があります。
ヘルスケア
事業内容:医薬品の開発・販売および在宅医療機器のレンタル・サービス提供。
業績推移:売上収益 684億円(△1.3%)、事業利益 71億円(+31.2%)。
注目ポイント:薬価改定の影響を受けるも、CPAPレンタル台数の増加と構造改革による固定費削減が寄与し、大幅増益を達成しました。睡眠時無呼吸症候群等の潜在需要は大きく、在宅医療へのシフトを加速させるためのデジタル・サービス企画人材が求められています。
その他
事業内容:リチウムイオン二次電池用セパレータなどの新事業、持分法適用会社など。
業績推移:売上収益 247億円(△17.2%)、事業利益 33億円(△39.6%)。
注目ポイント:アラミドペーパー事業の譲渡(2025年9月から損益除外)が影響。電子デバイス向けセパレータや半導体関連メンブレンの販売は堅調に推移しており、持分法適用会社の収益性改善を含めた新事業育成のプロジェクト管理能力が問われています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度第2四半期決算 および 2025年度業績見通し説明資料 P.23
同社はマテリアル、繊維・製品、ヘルスケアの全領域で「顧客近接型ビジネスモデル」の展開を掲げています。これは単なる素材供給に留まらず、川下展開やM&A、業界再編を通じた周辺製品の取り込みにより、付加価値の最大化を目指す戦略です。質疑応答では、今後は強みを生かせる領域へ重点投資を限定し、水平・垂直統合による成長を追求する方針が明言されています。
直近のアラミド事業の減損は痛みを伴うものでしたが、構造改革による固定費削減と減損に伴う償却費の減少により、2025年度下期からの業績はV字回復を見込んでいます。配当についても年間50円の維持を公表しており、株主還元と事業安定化を両立させる強い意志が示されています。この変革期において、新たなビジネスモデルの構築を主導できる戦略的人材にとって、活躍の機会は豊富です。
4 求職者へのアドバイス
「不採算事業の売却」や「抜本的な人員適正化」といった痛みを伴う構造改革を完遂しようとする、経営の強い決意に注目してください。単なる素材供給から、在宅医療機器サービスのような「顧客近接」へのビジネス転換に関心を持ち、自身の専門性が事業ポートフォリオの再構築や収益力の向上にどう貢献できるかを語るのが効果的です。
- 「アラミド事業のコスト構造改革による約150億円の削減効果について、現場レベルでの実行精度をどのように担保されていますか?」
- 「ヘルスケア事業の増益を牽引した在宅医療サービスにおいて、異業種からのどのような知見を最も期待されていますか?」
- 「次期中期経営計画で掲げる「顧客近接型ビジネスモデル」において、技術職が顧客の声を直接製品開発に繋げるための具体的な仕組みはありますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
社員一人ひとりが丁寧に仕事を進める環境
意思決定のプロセスが慎重で、時に遅く感じることがありますが、その分、社員一人ひとりが丁寧に仕事を進める環境が整っています。職場の雰囲気は明るく、同僚たちは親切で協力的です。
(40代後半・男性・人事) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2025年度第2四半期決算 および 2025年度業績見通し説明資料
- 2025年度2Q決算説明会 質疑応答要旨



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。