日油の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

日油の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

日油の2026年3月期2Q決算は、一部需要減も化薬事業の防衛・宇宙関連が急成長し通期予想を上方修正。営業利益460億円の過去最高益更新を目指す強気な計画です。DDS医薬素材の安定性と新規事業への積極投資が共存する同社で、転職希望者がどの事業で活躍できるのかを専門的な視点で整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

通期業績予想を上方修正し過去最高益を更新する

2025年11月6日に、2026年3月期の通期業績予想を上方修正しました。売上高、営業利益、経常利益、純利益の全てで過去最高を更新する計画です。特に当期純利益は前回予想から14億円増の382億円を見込んでおり、中期経営計画の目標達成に向けて収益力が向上しています。成長分野への人材投資が加速する好機といえます。

防衛と宇宙関連製品の需要が拡大し化薬事業を牽引する

化薬事業において、防衛関連製品の需要が好調に推移したほか、ロケット向け宇宙関連製品の出荷が増加しています。このセグメントは中間期で前年比26.1%の増収、77.8%の営業増益を達成しました。国策に関わる大規模プロジェクトでのキャリア機会が広がっており、技術職や管理部門の専門人材にとって魅力的な環境が整っています。

50億円規模の自己株式取得を決定し資本効率を高める

2025年11月より12月末にかけて、上限50億円の自己株式取得を実施することを決議しました。これは中期経営計画の総還元性向50%程度の目標水準に基づいたものです。資本効率向上を意識した機動的な株主還元は、健全な財務体質と経営の自信の表れであり、長期的なキャリア形成を考える転職者にとって、安定した経営基盤は大きな安心材料となります。

1 連結業績ハイライト

中間期は一部需要減の影響を受けたものの、化薬・医薬分野の堅調な推移により、通期では過去最高業績を見込む強気な進捗です。
連結損益計算書

出典:2026年3月期(2025年度) 第2四半期(中間期)決算 業績説明会資料 P.4

売上高 1,091億円 (前年同期比 -1.2%)
営業利益 206億円 (前年同期比 -11.5%)
経常利益 216億円 (前年同期比 -8.3%)
当期純利益 154億円 (前年同期比 -9.4%)

2026年3月期中間期の連結業績は、前年同期に比べ微減収減益となりました。機能化学品事業において一部顧客の在庫調整やアジア向け出荷の停滞があったものの、化薬事業の大幅な伸びが全体の収益を下支えしました。固定費の増加や為替影響(▲4億円)も含まれていますが、営業利益率は依然として18.9%と高い水準を維持しています。

通期業績予想に対する進捗状況については、営業利益460億円の計画に対し、中間期時点で206億円(進捗率44.8%)となっています。一見、75%基準には届かないペースに見えますが、下期に防衛・宇宙関連の収益計上が集中する見通しであることから、会社側は強気な姿勢を崩しておらず、業績は概ね順調に推移していると評価できます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

「バイオから宇宙まで」の言葉通り、多角的な事業展開が景気耐性を生み、特定分野の急成長を逃さない強固なポートフォリオを構築しています。
日油グループの事業構成

出典:2026年3月期(2025年度) 第2四半期(中間期)決算 業績説明会資料 P.27

機能化学品事業

事業内容: 脂肪酸誘導体、界面活性剤、電子材料素材、特殊防錆処理剤、防曇剤など多岐にわたる化学品を製造・販売。

業績推移: 売上高 691億円(前年比-8.4%)、営業利益 123億円(前年比-23.0%)。全般的に需要が低調で減収減益。

注目ポイント: 景気変動の影響を受けやすい一方で、自動車向け特殊防錆処理剤は国内外で需要が好調です。また、LEDランプ搭載率向上に伴う防曇剤の成長も見込まれており、自動車産業向けの技術営業や開発ニーズは依然として高い状態にあります。

注目職種: 化学品開発、自動車産業向け技術営業、海外営業

医薬・医療・健康事業

事業内容: DDS医薬用製剤原料、生体適合性素材、食用加工油脂、食品機能材などのライフサイエンス関連を展開。

業績推移: 売上高 250億円(前年比+8.5%)、営業利益 84億円(前年比+3.4%)。増収増益を達成し、堅調に推移。

注目ポイント: 同社の高収益の源泉であるDDS医薬用製剤原料の需要が底堅いことが強みです。下期からはMPC関連(生体適合性素材)の回復も見込んでおり、グローバルな医薬品メーカーとの共同開発を支える高度な専門性を持つ人材が切望されています。

注目職種: 医薬素材研究、品質保証、ライフサイエンス領域の企画営業

化薬事業

事業内容: 産業用爆薬、宇宙関連(ロケット推進薬)、防衛関連製品(発射薬・火工品)などを提供。

業績推移: 売上高 147億円(前年比+26.1%)、営業利益 13億円(前年比+77.8%)。全セグメントで最も高い成長率。

注目ポイント: 防衛需要の急拡大に加え、ロケット向け製品の出荷増が成長を牽引しています。収益認識の変更(早期装備化対応)も追い風となり、他社が容易に参入できないニッチ・ハイエンド市場での存在感が圧倒的です。国家規模のプロジェクトに関わる誇りとキャリアを積むことができます。

注目職種: 火薬類技術者、防衛システムエンジニア、生産管理

3 今後の見通しと採用の注目点

過去最高益の更新と2025年度中期経営計画の完遂に向け、新規事業の創出とオープンイノベーションを強力に推進しています。
CPTデータ取得サービスの事業展開

出典:2026年3月期(2025年度) 第2四半期(中間期)決算 業績説明会資料 P.21

通期の連結業績予想では、売上高2,584億円、営業利益460億円と、全てにおいて過去最高を更新する計画を立てています。為替前提も1ドル147円に修正し、実態に即した精度の高い予想となっています。注目すべきは既存事業の強化だけでなく、新規事業「CPTデータ取得サービス」の開始(2025年7月より)です。これは洋上風車や海底インフラ開発を支援するもので、脱炭素社会の実現に貢献する成長エンジンとして期待されています。

また、「産学委託研究型オープンイノベーションプログラム」を通じ、次世代半導体や二次電池などのエレクトロニクス素材開発にも注力しています。研究本部と事業部門が連携した新規事業創出の仕組みが整っており、自らの技術を社会課題の解決に直結させたいと願うエンジニアにとって、挑戦の場は多岐にわたります。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

日油は「他社と競合しないニッチ・ハイエンド市場」への展開を志向しており、その結果として極めて高い営業利益率を実現しています。この独自の戦略に共感し、自身の専門性を特定の深い領域で発揮したいという姿勢を示すことが有効です。また、防衛や環境エネルギーといった社会課題への貢献を自分事として語ることも、同社の企業文化に合致するでしょう。

Q&A

面接での逆質問例

・「化薬事業における防衛・宇宙関連の急成長に対し、生産現場や技術開発の体制をどのように強化されていますか?」
・「2025年7月開始のCPTデータ取得サービスは、今後どのようなペースで事業拡大(海外展開含む)を計画されていますか?」
・「オープンイノベーションを通じて発掘された技術を、既存の事業部門とどのように連携させて実用化に繋げているのでしょうか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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良好な人間関係を構築しやすい

上司、部下間の風通しは良い。労働時間や責任の重さなどのストレスが爆発しないのは、ひとえに良好な人間関係によるもの。他部署に行っても基本的に良い人間関係を構築しやすい。人間関係は甚だ良好である。

(30代前半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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野心の強い人には不向き

昇格前に評価を上げるので普段から高い評価はえづらい。出世も横並び。

(30代前半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(2025年11月6日発表)
  • 2026年3月期(2025年度) 第2四半期(中間期)決算 業績説明会資料(2025年11月19日発表)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。

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