大和工業の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

大和工業の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

大和工業の2026年3月期2Q決算は、中東撤退の断行と米国事業の安定益により通期予想を上方修正。「2030年ありたい姿」に向けたインド等への大規模投資も具体化しています。グローバル拠点管理や戦略的設備更新など、世界規模の挑戦を志す転職希望者が担える広範な役割とキャリアの可能性を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

中東事業からの撤退を決定し経営資源を再配分する

2025年6月に中東事業の株式譲渡契約を締結し、撤退に向けた最終合意に至りました。これに伴い第1四半期に56億円の損失を計上しましたが、不透明な市場から離れ、インドなどの成長地域へ投資を集中させる構造改革を断行しています。グローバルポートフォリオの再構築により、中長期的な収益の安定化を目指す姿勢が鮮明です。

米国事業が安定した高収益を維持し利益を牽引する

収益の柱である米国事業(NYS)は、データセンターやスタジアム向けなどの大型建築需要が底堅く、安定した高収益を確保しています。政府による関税強化措置も追い風となり、他地域が中国材の流入で苦戦するなか、圧倒的な競争力を発揮。この利益を基盤に、国内設備の更新や海外拠点の強化に向けた積極的な投資を継続しています。

インドネシアの新規連結によりASEAN戦略を加速する

2025年3月期第1四半期末よりインドネシアのGYS社を新たに連結子会社化しました。足元では政府予算削減の影響で厳しい環境にありますが、タイ・ベトナムと合わせたASEAN3拠点体制が完成。2027年に予定されている大型圧延ラインの増強などを通じ、成長市場でのシェア拡大に向けた布石を打っています。新拠点でのキャリア機会が広がっています。

1 連結業績ハイライト

中国材との競争激化により前年同期比では減益となるも、米国事業の底堅さと為替影響により通期利益予想を上方修正しました。
2026年3月期 第2四半期 決算ハイライト

出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会資料 P.4

売上高 761億円 (前年比 Δ2.8%
営業利益 19億円 (前年比 Δ53.6%
経常利益 279億円 (前年比 Δ32.2%
中間純利益 191億円 (前年比 Δ32.3%

2026年3月期第2四半期累計の業績は、中国の内需低迷に伴う安価な鋼材の輸出増加により、アジア地域を中心に厳しい価格競争に晒されました。売上高は761億円(前年同期比2.8%減)、営業利益は19億円(同53.6%減)となりました。営業利益の大幅な減少は、主にタイや日本でのマージン悪化、および新規連結したインドネシア拠点での初期費用(のれん償却等)が影響しています。

一方で、通期の業績予想についてはすべての上方修正を発表しました。経常利益は前回予想から60億円増の560億円を見込んでいます。通期予想に対する中間期末時点の進捗率は、経常利益ベースで49.8%となっており、第2四半期の実績および今後の米国事業の堅調さと円安傾向を考慮すると、業績は概ね順調に推移していると評価できます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

主力拠点である日米タイに加え、新規連結のインドネシアや持分法適用会社が各地域の需要を捉え、多極的な収益基盤を形成しています。
セグメント別実績

出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会資料 P.6

鉄鋼事業(日本)

事業内容:ヤマトスチールを中心に、国内でのH形鋼などの製造・販売を行う中核拠点。

業績推移:売上高263億円(前年比4.7%減)、セグメント利益14億円(同36.4%減)。

注目ポイント:建設コストの高止まりによる建築需要の停滞が続くなか、圧延ラインの更新などの戦略的投資を推進中です。製販一体となった短納期対応により土木関連需要を確実に捕捉。国内市場の成熟に対応した高付加価値化と、物流機能の強化に向けた自社内航船の運用開始など、業務効率化を推進できる人材が求められています。

注目職種:生産技術、設備保守、物流管理、国内営業

鉄鋼事業(タイ)

事業内容:SYS社を通じて、タイ国内および周辺諸国へ形鋼を供給するASEANのマザー工場。

業績推移:売上高320億円(前年比9.3%減)、セグメント利益15億円(同55.9%減)。

注目ポイント:中国材との競争は依然として激しいものの、治水事業やデータセンター等の民間プロジェクト需要が回復傾向にあります。タイ政府による中国製H形鋼への不当廉売防止税(AD)の正式発効(2025年11月)が見込まれており、競争環境の改善が期待されます。グローバルな販売戦略の立案や、海外拠点の運営管理スキルを持つ人材の重要性が高まっています。

注目職種:海外拠点管理、海外営業、需給管理、技術供与エンジニア

鉄鋼事業(インドネシア)

事業内容:2024年5月に取得したGYS社による、インドネシア国内での形鋼製造・販売。(注:前年同期は未連結のため単純比較不可)

業績推移:売上高110億円、セグメント損失0.3億円(のれん償却費等6億円を含む)。

注目ポイント:新政権下でのインフラ予算削減により苦戦していますが、耐震性の高い建築鋼材の製造・販売を開始するなど、構造的な収益力回復に取り組んでいます。2027年完了予定の大型圧延ライン増強など、立ち上げフェーズ特有のダイナミックな環境での事業推進経験が積める領域です。

注目職種:事業開発、現地法人管理、プラントエンジニアリング

軌道用品事業

事業内容:鉄道用の分岐器や関連部品の製造・販売を行う安定したストック型事業。

業績推移:売上高47億円(前年比17.5%増)、セグメント利益8億円(同60.0%増)。

注目ポイント:鉄鋼セグメントが市況の影響を受けるなか、増収増益と健闘しており、グループの安定利益に貢献しています。高い技術力が必要とされるニッチ市場で、長期にわたる顧客関係性を維持・発展させられる技術営業職へのニーズが安定しています。

注目職種:技術営業、製品設計、品質管理

米国・ベトナム・韓国(持分法適用会社)

事業内容:米国NYS社、ベトナムPY VINA社、韓国YKS社等を通じた投資利益の計上。

業績推移:持分法投資利益210億円(前年比29.1%減)。

注目ポイント:米国NYSは安定して高収益を確保しており、データセンター向けの需要が極めて好調です。ベトナムも回復傾向にありますが、韓国は建設業界の不振により鉄筋需要が落ち込み厳しい状況。グローバルな事業実態を横断的に分析し、グループシナジーを追求する企画能力が重宝されます。

注目職種:経営企画、財務・経理(連結)、グローバルSCM

3 今後の見通しと採用の注目点

「2030年ありたい姿」に向けた投資を加速。北米・ASEAN・インドを軸としたグローバル成長戦略が第二フェーズへ移行します。
2030年ありたい姿達成へのロードマップ

出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会資料 P.33

今後の成長戦略として、2030年までに総額2,500〜3,000億円の成長投資を計画しています。特に注目すべきは、中東撤退後の新たな柱として選定した「インド」での拠点獲得です。成長著しい市場でのM&Aを並行して推進しており、グローバルでの生産能力を現在の約550万トンから800万トンへ引き上げる壮大なビジョンを掲げています。

経営陣は、中国による過剰生産問題が長期化することを前提に、各地域での貿易障壁(関税措置)の活用や、環境配慮型製品の拡充による差別化を強調しています。また、財務戦略としてROE10%以上の維持を明言。株主還元も、年間配当400円(下限300円)の維持に加え、大規模な自己株式取得を実施するなど、資本効率を重視した経営へシフトしています。高度な専門性を持ち、変化を厭わず海外市場へ挑戦できるプロフェッショナル人材の獲得が、2030年ビジョン達成の鍵となります。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

大和工業は、電炉事業の「環境優位性」と「グローバル多極化」を強みとしています。カーボンニュートラルへの貢献を軸にした持続可能な鉄鋼生産という点に共感し、さらに米国やインドネシア、将来のインド拠点など、世界規模で事業を動かしたいという意欲を伝えると、2030年ビジョンを共有するパートナーとして高く評価されるでしょう。

Q&A

面接での逆質問例

「インドネシア拠点(GYS)でのシナジー創出において、日本のヤマトスチールから提供できる技術的・組織的な最大の強みは何だとお考えですか?」や、「2030年ビジョンで掲げる新事業領域(鉄・インフラ・グリーン)において、現在どのようなスキルセットを持つ人材を最も必要としていますか?」といった質問は、事業の中長期展望を深く理解している証となります。

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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各人に影響を与えていける意義のある職業

自分を表現しながら、時代をひっぱっていくという使命感があり、各人に影響を与えていける意義のある職業だと思う。

(20代・フランチャイズオーナー・女性) [キャリコネの口コミを読む]
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残業が少し多い

少し暗い、社員がもっと明るくハツラツと働ける環境が必要 そうすればもっと伸びると感じた 淡々と仕事をこなす癖がついているのでその都度突き詰める熱意が必要 残業が少し多い 技術系ともう少し連携が伸びればベストだと感じた。

(10代後半・代理店営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 大和工業株式会社 2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料(2025年11月)
  • 大和工業株式会社 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。

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