日本電子の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

日本電子の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

日本電子の2026年3月期2Q決算は、医用機器事業の売却決定と半導体・ライフサイエンス領域への集中が鮮明となりました。AIデータセンター向け需要など、先端領域での成長が期待される一方、事業構造の大きな転換期にあります。「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

医用機器事業をシスメックス社へ売却し経営資源を集中させる

2026年4月1日を効力発生日として、医用機器事業をシスメックス株式会社へ譲渡することを決定しました。これは中期経営計画の戦略に基づく構造的変化であり、今後は成長性の高い半導体・ライフサイエンス領域へ経営資源を集中させます。転職者にとっては、同社のコア技術である電子顕微鏡などの理科学・計測分野でのキャリア機会がより明確化される動きです。

AIデータセンター向け需要でスポットビーム装置が好調に推移する

産業機器事業において、AIデータセンター向けの光デバイス(DFBレーザー)生産用途の需要が拡大しています。これにより、スポット型電子ビーム描画装置などの受注・売上が好調に推移しており、先端技術市場での存在感が高まっています。特定の成長市場における強固な技術優位性は、エンジニアにとって非常に魅力的な事業環境といえます。

産官学連携の「イノベーションコア」で次世代解析技術を創出する

2025年9月に京都大学iCeMSおよび株式会社リガクと共同で「リガク/日本電子-iCeMSイノベーションコア」を設置しました。ノーベル化学賞受賞が決定した北川進氏の研究を支えるなど、世界最先端の分子構造解析プラットフォームの開発を推進しています。研究開発職を志す方にとって、学術界と密接に連携した高度な開発プロジェクトに携わるチャンスが広がっています。

1 連結業績ハイライト

前年比では減収減益も、通期計画達成に向けて概ね順調に推移
2025年度第2四半期決算実績(P/L)

出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会 P.5

売上高

820.5億円

(前年同期比 -5.9%)

営業利益

119.3億円

(前年同期比 -24.6%)

中間純利益

98.5億円

(前年同期比 -9.8%)

2026年3月期第2四半期の累計実績は、売上高820億59百万円、営業利益119億34百万円となりました。前年同期と比較すると、中国の低金利融資政策の一巡による反動減や、為替の円高影響、製品構成の悪化により減収減益となっています。しかし、通期予想の売上高1,810億円に対する進捗率は45.4%、営業利益240億円に対しては49.7%に達しています。 同社の売上・利益は第4四半期に集中する傾向があり、中間期時点で営業利益が計画の半分近くを確保していることから、通期計画の達成に向けて概ね順調な進捗と評価できます。不透明な地政学的リスクの中でも、底堅い収益基盤を維持しています。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

半導体・ライフサイエンスの重点2領域を軸にグローバル展開を加速
事業セグメント別連結売上高・営業利益の推移

出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会 P.6

理科学・計測機器事業

事業内容: 電子顕微鏡(TEM/SEM)、磁気共鳴装置(NMR)、分析機器などの開発・製造・販売。

業績推移: 売上高476.5億円(前年同期比 -8.6%)、セグメント利益27.4億円

注目ポイント: 米国の科学技術予算削減の影響を受けるものの、半導体プロセスモニタリングやライフサイエンス分野での高度な解析ニーズは依然として高い水準にあります。特に、半導体の微細化に伴い、従来の検査手法から同社の強みである電子顕微鏡を用いた構造解析へのシフトが進んでおり、この領域での技術提案力を持つ人材が強く求められています。

注目職種: 電子顕微鏡のアプリケーション開発、光学設計エンジニア、海外フィールドサービス

産業機器事業

事業内容: 電子ビームマスク描画装置、スポット型電子ビーム描画装置、産業用電子銃などの提供。

業績推移: 売上高270.1億円(前年同期比 -5.7%)、セグメント利益116.8億円

注目ポイント: マルチビーム描画装置の投資遅延はあるものの、シングルビーム描画装置とスポットビーム装置が好調です。特にスポットビーム装置は、AIデータセンター向けの光デバイス需要を背景に受注・売上ともに勢いがあります。先端半導体製造プロセスの根幹を支える装置開発において、制御システムやメカ設計の専門性を発揮できるフィールドが広がっています。

注目職種: 電子ビーム制御エンジニア、装置設計、半導体製造装置のプロセス開発

地域別業績概況(グローバル展開)

事業内容: 日本、北中南米、中国、欧州・アジアを含むその他地域の全4エリアにおける展開。

業績推移: 海外売上比率 73.2%。中国(189.8億円)、日本(220.2億円)、北中南米(144.1億円)、その他(266.4億円)。

注目ポイント: 海外売上比率が7割を超えるグローバル企業です。北中南米ではライフサイエンス向けのパッケージ受注が堅調で、中国では現地メーカー(WEGO社等)との連携により引き合いが増加しています。日本国内も装置需要が堅調であり、各地域に特化した戦略を展開できる人材のニーズが高まっています。グローバルな視点でのビジネス推進や技術サポートの経験が活かせる環境です。

注目職種: 海外営業、海外技術サポート、グローバル物流・供給網管理

3 今後の見通しと採用の注目点

中期経営計画「Evolving Growth 2.0」に基づき、2029年度の売上高2,250億円を目指す
中期経営計画の目標(財務)

出典:2026年3月期第2四半期 決算説明会 P.30

日本電子は、2029年度までに売上高を2,250億円、営業利益を450億円まで引き上げる挑戦的な目標を掲げています。この成長の鍵を握るのは「半導体」と「ライフサイエンス」の2つの重点領域です。 半導体領域では、微細化の進展に伴うTEM/FIB(電子顕微鏡・集束イオンビーム装置)を用いた検査ソリューションの拡大を計画。ライフサイエンス領域では、クライオ電子顕微鏡を用いた創薬支援など、高付加価値なサービスビジネスへの転換を図っています。また、医用機器事業の売却による資金を戦略的M&Aや設備投資に充当する方針を示しており、事業ポートフォリオの刷新とともに、より専門性の高い人材が活躍できる場が整備されていく見通しです。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

同社は単なる機器メーカーから、顧客とイノベーションを共創する「Co-creating Innovator」への脱皮を図っています。特に「微細化する半導体製造プロセスにおける歩留まり改善への貢献」や「クライオ電子顕微鏡による新薬開発の加速」など、自身の技術が社会の最先端課題をどう解決するかに結びつけた動機形成が有効です。世界シェアトップクラスの製品を持つ強みと、自らの専門性がどうシナジーを生むかを具体的に語るのが良いでしょう。

Q&A

面接での逆質問例

・「医用機器事業の譲渡により、リソースが半導体やライフサイエンスへ集中しますが、具体的にエンジニアの配置や開発体制はどう変化する予定でしょうか?」 ・「AIデータセンター向けの光デバイス需要が好調ですが、この成長を継続させるための次世代装置の開発ロードマップについて、可能な範囲で教えてください。」 ・「産官学連携の『イノベーションコア』での成果を、迅速に製品化・商用化するための社内プロセスや、プロジェクトの進め方の特徴を伺いたいです。」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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ワークライフバランスはとりやすい

休日出勤はほとんどなくワークライフバランスはとりやすい。年間休日数も多くGWや夏季、年末年始の長期連休はしっかり休める。

(20代後半・海外営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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男性の育休ケースを聞いたことがない

男性で育休を取っているケースを聞いたことがない。また時短勤務などの対応は原則認められていない。

(20代後半・海外営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2026年3月期 第2四半期 決算説明資料(2025年11月26日発表)
  • 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。

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