0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期業績予想と配当予想を大幅に上方修正する
主力の電子材料と産業用構造材料が想定を上回って推移し、通期の売上高を553億円(前回予想比39億円増)、営業利益を55億円(同10億円増)に引き上げました。これに伴い、年間配当予想も当初の88円から97円へと増額しており、収益力の高まりが株主還元にも直結しています。
② 米国子会社を新設しグローバル展開を加速させる
2026年2月より、米国カリフォルニア州にArisawa Manufacturing America Inc.を設立することを決定しました。電子材料および産業用構造材料の北米市場進出の足掛かりとして工場取得を予定しており、海外事業に携わるエンジニアや事業開発担当者にとって、北米拠点での新たなキャリア機会が大きく拡大する見込みです。
③ 航空機および水処理向け事業が大幅増益を牽引する
産業用構造材料セグメントにおいて、航空機用ハニカムパネルの需要回復と水処理用FRP製圧力容器の好調により、セグメント利益が前年同期比44.1%増と飛躍的に伸長しました。既存の電子材料に加え、インフラ・航空宇宙分野が第二の柱として強固な収益基盤を形成しつつあります。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第3四半期 連結決算の概要 P.3
当第3四半期の連結売上高は前年同期比9.2%増となり、主力の電子材料や好調な産業用構造材料が全体を牽引しました。利益面では、増収効果により営業利益が8.0%増と伸長した一方、経常利益は為替差損の影響により微減となりました。しかし、通期予想に対する利益進捗は極めて良好です。
通期連結業績予想に対する進捗率は、修正後の売上高55,300百万円に対し74.6%、営業利益5,500百万円に対し74.8%となっており、修正後の高い目標に対しても概ね順調に推移しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第3四2四半期 連結決算の概要 P.17
電子材料
事業内容:FPC(フレキシブルプリント配線板)用材料、ICGC(半導体パッケージ用ガラスクロス)・プリプレグ等の製造販売。
業績推移:売上高26,706百万円(前年比12.2%増)、セグメント利益2,681百万円(同22.9%増)。
注目ポイント:スマートフォン向け材料が堅調なことに加え、PCやAIサーバー向けの半導体需要が強く、ICGC・プリプレグが36.1%増収と急成長しています。先端技術への対応が急務であり、高付加価値製品の開発・品質管理を担うスペシャリストの価値が高まっています。
産業用構造材料
事業内容:航空機用ハニカムパネル、水処理用FRP(繊維強化プラスチック)製圧力容器、車載材料等の提供。
業績推移:売上高9,650百万円(前年比19.2%増)、セグメント利益2,034百万円(同44.1%増)。
注目ポイント:航空機内装材が89.1%増収と驚異的な回復を見せています。また、世界的な水需要増を背景に圧力容器も好調で、利益率が17.4%から21.1%へ向上。米国での増資・拠点設立もこの分野が中心となり、グローバルな事業運営スキルが求められます。
電気絶縁材料
事業内容:発電機、変圧器等の重電機器向け電気絶縁材料の製造販売。
業績推移:売上高1,909百万円(前年比4.8%増)、セグメント利益183百万円(同81.5%増)。
注目ポイント:インフラ関連向けの需要が堅調に推移し、増収に伴い利益が大幅増益となりました。地味ながらも社会基盤を支える重要なポジションであり、安定した技術伝承とプロセス改善に強みを持つ人材が活躍できる環境です。
ディスプレイ材料
事業内容:3D関連材料、偏光利用部材等の映像デバイス向け部材の提供。
業績推移:売上高2,745百万円(前年比27.7%減)、セグメント利益508百万円(同61.0%減)。
注目ポイント:上期は軟調でしたが、下期は復調傾向にあります。特に3D関連材料は前期水準には至らないものの回復の兆しが見えており、市場の変化に迅速に対応できるマーケティング力や次世代技術の探索が課題となっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第3四半期 連結決算の概要 P.12
有沢製作所は、2026年3月期の通期予想を強気に上方修正しました。背景には、スマートフォンやAIサーバー向け半導体の堅調な需要継続、そして世界的な水需要増による水処理材料の好調があります。 特に注目すべきは、米国での事業拡大です。連結子会社Protec Arisawa America Inc.での1,000万USD(約15.5億円)規模の増資による設備自動化や、新会社の設立など、北米市場での競争力強化へ大きく舵を切っています。 また、本社敷地内には「イノベーションセンター」を建設し、設備投資額は前年同期比約3倍の65億円に達しました。これらハード面での投資を収益化するため、グローバル基準の生産管理や研究開発をリードできる人材が、今後の持続的成長の鍵を握ると言えるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
主力の電子材料だけでなく、航空機・水処理・半導体といった多角的なポートフォリオによる「業績の安定性と成長性」を志望動機の軸に据えるのが有効です。特に米国新会社設立という具体的事実に触れ、自身のスキルがグローバル展開のどのフェーズ(立ち上げ、品質改善、海外営業など)に寄与できるかをアピールすると、面接での説得力が高まります。
「米国拠点設立に伴い、日本国内のエンジニアや管理部門が連携する頻度や、具体的な海外派遣の可能性について教えてください」や、「AIサーバー向け半導体材料など、先端技術への投資が加速していますが、技術者が新規テーマに挑戦できる社内体制や研究費の配分はどのようになっていますか?」といった質問は、資料を読み込んだ意欲を示す逆質問になります。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社 有沢製作所 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 株式会社 有沢製作所 2026年3月期 第3四半期 連結決算の概要



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