0 編集部が注目した重点ポイント
① 米国住宅向け汎用材事業からの撤退を完了し収益構造を刷新する
連結子会社のNichiha USAにおいて、赤字要因となっていた住宅市場向け汎用外装材事業からの撤退を決定し、2025年12月末に事業活動を終了しました。当3Qより構造改革が本格化しており、今後は成長性の高いコマーシャル(高級品)領域へリソースを集中させます。不採算部門の切り離しにより、海外事業でのキャリアは「高付加価値製品の展開」という新たなフェーズへ移行します。
② 国内での適切な価格改定により減収ながら営業利益12.3%増を達成する
新設住宅着工戸数が前年同期比13.7%減と厳しい国内市場環境下で、売上高は2.5%の微減に留めつつ、営業利益は前年同期比6億88百万円の増益を実現しました。積極的な価格改定の実施と固定費の削減が奏功しており、市場縮小局面でも利益を捻出できる強固な事業体質への転換が進んでいます。効率的な経営管理スキルを持つ人材への需要が高まっています。
③ 国内非住宅市場向け売上が14.0%増と新たな成長柱として台頭する
住宅依存からの脱却を目指す戦略が実を結び、国内非住宅向け売上高が3Q累計で前年同期比14.0%増と大幅な伸びを見せています。中低層のビルや店舗などの外壁需要を取り込んでおり、2026年3月期も右肩上がりの推移が続いています。住宅営業の枠を超えた、BtoBの大型案件開発や設計提案に関わるキャリア機会が急速に拡大しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.2
当3Q累計期間は、国内住宅着工の減少や米国での住宅事業悪化により減収となりましたが、徹底したコストコントロールと価格改定により増益を維持しました。通期予想100億円に対する営業利益の進捗率は62.7%となっており、数値上は「進捗が遅れている」ように見えますが、会社側は当初予想を据え置いています。これは、不採算の米国住宅向け事業からの撤退完了に伴う費用発生の一方で、利益率の高い国内非住宅や米国高級品事業の伸長を見込んでいるためと考えられます。 通期予想に対する売上高の進捗率は75.3%と概ね順調に推移しています。下期に向けた不採算事業の整理により、来期以降の収益回復に向けた布石を打った決算内容といえます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.10
国内外装材事業
事業内容:窯業系・金属系サイディング(外壁材)の製造販売。国内シェア約6割を誇る基幹事業。
業績推移:売上高77,277百万円(前年同期比2.5%減)。営業利益4,734百万円(20.1%増)。
住宅着工の減少に対し、非住宅向け売上が14.0%増と成長を牽引しています。特に店舗やビル向けなどの提案型営業が強化されており、従来の住宅営業から一歩踏み込んだ「ソリューション提供型」のスキルが求められています。価格改定を浸透させる粘り強い交渉力を持つ人材にとって、収益貢献を実感しやすい環境です。
米国事業
事業内容:北米市場での外装材販売。汎用住宅向けから撤退し、コマーシャル(商業施設・高級住宅)へ特化。
業績推移:売上高23,097百万円(現地通貨ベース1.1%減)。営業利益833百万円(43.8%減)。
住宅向け汎用材の撤退費用により利益は一時的に圧縮されましたが、高級品(コマーシャル)の売上は5.6%増と底堅く推移しています。今後は全米でのコマーシャル品展開を加速させる方針であり、海外事業の再構築を担う変革リーダーや、現地法人との橋渡しができるグローバル人材の重要性が極めて高まっています。
中国・その他事業
事業内容:中国での外装材事業および繊維板・工事・FP(断熱材)事業など。
業績推移:売上高8,920百万円。セグメント全体で増益基調を維持。
中国市場は経済停滞の影響を受け減収となりましたが、事業集約等の構造改革を前期に実施したことで黒字転換を達成しています。国内の「その他事業」も堅調であり、外装材以外の多角的な住設・建材領域での専門性を持つ人材が活躍できる余地も広がっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.9
ニチハは現在、米国事業における約60億円の特別損失計上を予定するなど、不採算事業の完全整理という大きな転換点にあります。この外科手術により、来期以降は赤字の住宅向け事業が消滅し、利益率の高い「コマーシャル(高級品)事業」が主役に躍り出ます。求職者にとっては、低迷期の終わりと、再成長フェーズの始まりを同時に経験できる絶好のタイミングといえるでしょう。 また、国内では非住宅市場の深耕が最優先課題となっており、単なる建材売りから、設計事務所やゼネコンへのスペックイン(仕様指定)営業への移行が加速しています。建築業界の慣習に詳しく、提案力を備えたプロフェッショナルの採用意欲が今後さらに高まる見通しです。
4 求職者へのアドバイス
国内シェアトップの安定基盤を持ちながら、米国事業の抜本的改革や非住宅へのシフトなど、「第二の創業期」ともいえる変化を志望動機に盛り込むのが有効です。「成熟した建材市場において、高付加価値化や新領域開拓を主導したい」という意欲は、現在の経営方針と強く合致しています。特に米国事業の撤退を「収益性向上のための前向きな選択」と捉え、自身の専門性を活かして再成長に貢献したい姿勢を強調しましょう。
- 米国住宅事業からの撤退を経て、今後は「コマーシャル(高級品)市場」でどのような優位性を築こうと考えていますか?
- 国内非住宅市場の売上が二桁成長していますが、営業組織において「従来の住宅向け営業」と最も異なるスキルは何だとお考えですか?
- 構造改革に伴う一過性費用を除いた「実力ベースの利益率」を今後どのように向上させていく計画ですか?
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第3四半期 決算説明資料(2026年1月30日発表)
- 2026年3月期 第3四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年1月30日発表)



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