0 編集部が注目した重点ポイント
① 欧州市場の停滞に伴い通期業績予想の下方修正を公表する
主要市場である欧州、特にドイツでの需要低迷が響き、2026年3月期の通期売上高予想を前回から60億円下方修正しました。厳しい外部環境を受けつつも、ヘルスケアや船舶向けは堅調を維持しており、地域や市場ごとの濃淡が鮮明になっています。転職者にとっては、苦戦する既存事業の立て直しと成長領域へのリソース配分の変化に注目すべき局面です。
② パートナー企業との共創によるAIエッジコンピュータを開発する
映像利活用システム「EVS」の進化形として、JR西日本の画像解析技術を搭載した「共創AIエッジコンピュータ」を開発し、2026年4月に発売予定です。従来の「モニター単体」の販売から、高度なソフトウェアとハードウェアを統合したソリューション提供へとビジネスモデルが大きく転換しており、AI・ソフトウェア領域でのキャリア機会が急速に拡大しています。
③ 棚卸資産の評価損を計上し新製品への切り替えを加速させる
欧州での販売減に伴う旧機種の過剰在庫に対し、第4四半期に約4億円の棚卸資産評価損を計上する見込みです。これは、環境先進性を高めた競争力のある新機種への切り替えを加速させるための構造的な整理でもあります。サプライチェーン管理や製品ポートフォリオの刷新を担う人材にとって、変革を主導できる重要なタイミングといえます。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第3四半期 連結決算説明資料 P.3
売上高
588.0億円
前年同期比 +1.2%
営業利益
13.1億円
前年同期比 ▲39.1%
四半期純利益
28.4億円
前年同期比 +42.6%
第3四半期までの累計業績は、売上高が58,809百万円となり、ヘルスケア市場の復調や為替差益の計上が寄与しました。一方で、賃上げの実施や新技術棟(2025年4月竣工)に係る費用の発生、インド・中東での販売活動拡充により販売費及び一般管理費が4.4%増加し、本業の儲けを示す営業利益を圧迫しています。
通期予想(修正後790億円)に対する売上高の進捗率は74.4%となり、現時点では概ね順調なペースで推移しています。第4四半期には旧機種の在庫整理や一時的なシステム除却損などを計画しており、来期以降の再成長に向けた「負の遺産の整理」を進めるフェーズにあります。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第3四半期 連結決算説明資料 P.8
ヘルスケア (HC)
事業内容:医療現場での診断・検査、手術、医療IT向けの高精細モニターや映像配信ソリューションを提供しています。
業績推移:売上高253.6億円、前年同期比+5.8%。欧州・北米・中国での診断および内視鏡用途が復調しました。
注目ポイント:手術・内視鏡向けの4Kモニター「CuratOR EX2742」を投入するなど、低侵襲手術(体に負担の少ない手術)の拡大に合わせた製品開発が加速しています。診断用途でも主要市場で回復基調にあり、医療DXを技術面から支えるスペシャリストへの期待が高まっています。
V&S (Vertical & Specific)
事業内容:航空管制、船舶、監視、ディフェンスなど、社会インフラや産業機器に求められる特殊用途モニターを展開しています。
業績推移:売上高90.3億円、前年同期比▲0.4%。航空管制案件の次期への後ろ倒しがあったものの、船舶向けが引き続き好調です。
注目ポイント:鉄道のワンマン運行を支援するホーム監視モニター「DuraVision FDF1691W」を発売。人手不足という社会課題に対し、高い耐環境性と視認性を備えたハードウェアで解決を図る戦略です。来期からは航空管制の複数案件が本格化する見込みであり、プロジェクト管理の重要性が増しています。
B&P (Business & Plus)
事業内容:金融機関やオフィス向けなどの一般用途モニターを提供。EIZOのブランド力と環境性能が強みです。
業績推移:売上高100.6億円、前年同期比▲12.6%。主要な欧州市場、特にドイツでの低迷が大きく影響しました。
注目ポイント:環境配慮型の新製品「FlexScan EV2720S」などを投入し、旧モデルからの切り替えを急いでいます。欧州の需要回復には時間を要する見込みですが、環境規制が厳しい地域でのシェア奪還に向け、サステナビリティに精通したマーケティング人材が鍵となります。
クリエイティブワーク (CW)
事業内容:映像制作、デザイン、プロフォトなど、正確な色再現が求められるプロフェッショナル向け市場です。
業績推移:売上高40.6億円、前年同期比▲5.0%。北米や日本では映像制作向けが伸長したものの、欧州の需要回復が遅れています。
注目ポイント:HDR(ハイダイナミックレンジ)対応のリファレンスモニターの販売を強化中。映像配信サービスの普及により、世界的に高画質コンテンツ制作の需要は堅調であり、プロフェッショナルのワークフローを理解した技術営業の活躍の場が広がっています。
アミューズメント (AMU) / その他 (OTH)
事業内容:パチンコ・パチスロ遊技機向け液晶モニターおよび、受託開発・保守サービスを担当しています。
業績推移:アミューズメント48.8億円(+2.4%)、その他53.9億円(+19.3%)。ソフトウェア受託開発が大幅増収です。
注目ポイント:厳しい市場環境のアミューズメント分野でも一定の規模を維持しつつ、受託開発が新たな収益源として育っています。グループ全体のソフトウェアエンジニアリング能力の底上げにより、サービス・ソフトの収益化を加速させる方針です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第3四半期 連結決算説明資料 P.17
通期の営業利益予想を14億円(前回予想比▲70.8%)へと大幅に引き下げましたが、これは欧州の景気減速という外部要因に加え、来期に向けた「構造改革」の断行によるものです。具体的には、期待した効果が得られなかった新製造実行システムの除却(約2億円)や、欧州販売子会社の減損損失(約1.5億円)などを計上します。
一方で、JR西日本のAI画像解析技術「mitococa AI」を搭載した「mitococa Edge V3」を2026年4月に発売するなど、ハードとソフトを高次元で融合させた新事業の芽が育っています。また、成長著しいインド・中東地域での販売体制を強化しており、特定の地域に依存しない強固な収益構造への転換が進んでいます。
転職者にとっては、こうした「ハードウェアメーカーからの脱却」期特有の、新規事業開発やシステムインテグレーションの経験を活かせるポジションが非常に魅力的な選択肢となっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
EIZOが掲げる「Visual Technology Company」としての進化に触れることが有効です。「単なるモニターの品質向上ではなく、医療現場のDXや鉄道の安全運行をAIと映像で支えるソリューション提供に貢献したい」といった、具体的な社会課題解決への意欲を示しましょう。特に、インド・中東など新市場への挑戦や、ハードウェアの強みを活かしたソフトウェア共創という新戦略への共感は、選考での評価を高める重要な要素となります。
面接での逆質問例
・「パートナー企業との共創AIエッジコンピュータプロジェクトにおいて、エンジニアにはどの程度のソフトウェア開発裁量が与えられていますか?」
・「欧州の景気低迷という課題がある中で、インド・中東地域でのさらなる事業拡大に向け、どのようなスキルセットを持つ人材が今最も必要とされていますか?」
・「新製造実行システムの刷新など、生産体制のDXを推進する上で、中途採用者が果たすべき最も重要な役割は何だとお考えですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
福利厚生は以前の方が選択肢が多かった
さまざまなポイント制度や割引制度、自己啓発系の教育制度など充実しているが、以前の方が選択肢が多かったと嘆く社員もいる。
(20代前半・法人営業・女性) [キャリコネの口コミを読む]情報や問題点の共有がされていてとても良い
他部署とのミーティングが毎日頻繁に行われており、情報や問題点の共有がされていてとても良いと思いました。
(20代後半・財務・会計関連職・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- EIZO株式会社 2026年3月期 第3四半期 連結決算説明資料
- EIZO株式会社 2026年3月期 第3四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 通期業績予想の修正に関するお知らせ(2026年1月30日公表)



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