0 編集部が注目した重点ポイント
① 過去最高売上405億円を更新するも投資先行で減益となる
2025年12月期の連結売上高は、中国市場での大幅な伸びが牽引し、前期比3.2%増の405億3,100万円と過去最高を更新しました。一方で、創業90周年記念事業に伴う一過性の費用や、ERP・CRM導入といったDX推進に向けた計画的な投資により、営業利益は前期比9.8%減の67億9,100万円となりました。
② 2026年はデータセンター需要を追い風に増収増益を目指す
2026年の業績予想では、世界的なデータセンター建設ラッシュに伴う電気計測需要の拡大を背景に、売上高430億円(前期比6.1%増)、営業利益76億8,000万円(同13.1%増)を見込んでいます。主要地域での堅調な推移に加え、蓄電システム(ESS)や自動車セクターのR&D需要も支援材料となる予測です。
③ 新人事制度を導入し個人の主体的なキャリア形成を支援する
2025年より定期昇給を廃止(年齢給を除く)し、個人のパーパスと会社の経営方針を合致させる新人事制度「HIキャリア制度」を開始しました。役割手当やインセンティブの強化、自薦昇格、勤務エリアの選択など、働きがいと専門性の向上を追求する体制へと大幅に刷新されています。
1 連結業績ハイライト
出典:日置電機株式会社 2025年12月期 決算説明会資料 P.9
当連結会計年度の売上高は405億円に達し、過去最高を更新しました。地域別では中国が前期比19.0%増と大幅に伸長し、全4マーケット(コンポーネント、バッテリー、エネルギー、モビリティ)で成長を遂げました。一方で、営業利益率は前期の19.2%から16.8%へ低下しています。
この減益は、創業90周年に関連する一過性の費用や、ERP(基幹業務システム)およびCRM(顧客関係管理システム)導入に伴うDX投資、人件費・経費の増加によるものです。通期予想に対しては、一部市場の需要が予測を下回ったため売上・利益ともに若干の未達となりましたが、財務体質は自己資本比率85.4%と極めて強固な水準を維持しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:日置電機株式会社 2025年12月期 決算説明会資料 P.12
コンポーネント市場
事業内容: MLCC(積層セラミックコンデンサ)等の電子部品、AIサーバー、データセンター向けコンポーネントの検査装置を提供しています。
業績推移: AI向け半導体業界が活況で、新型ベアボード検査装置の受注が順調に伸長。中国では前期比20%増を記録しました。
注目ポイント: AIデータセンターの拡大を背景に、電子部品のさらなる高密度化・高精度化が求められています。次世代ICパッケージに対応する最先端の検査技術開発が必要不可欠となっており、研究開発と生産プロセスの双方で専門人材の需要が高まっています。
バッテリー市場
事業内容: EVや蓄電システム(ESS)向けリチウムイオン電池の材料評価からセル・パックの量産検査までをカバーしています。
業績推移: 中国市場での営業体制刷新が奏功し、バッテリー分野の売上は前期比34%増と爆発的な成長を遂げました。
注目ポイント: バッテリー発火事故などの社会的課題を受け、より高信頼なテスト需要が増加。次世代電池の研究開発投資も継続しており、材料から完成品までを統合的に「測る」ソリューション提案能力が問われています。
エネルギー市場
事業内容: 太陽光発電、水素、電力配電系統(パワーグリッド)、データセンターの電源品質評価などを手がけています。
業績推移: 国内外でのデータセンター向け需要が堅調。計画達成率は101.5%と修正予想を上回りました。
注目ポイント: 水素社会の実現に向けた水電解システムのインピーダンス計測など、新分野での受注が始まっています。インフラの老朽化対策や電力効率改善といった、地球規模の課題に直接応える技術力が求められるフィールドです。
モビリティ市場
事業内容: EV・xEVの開発評価・試験、自動運転、充電インフラ向けの計測器を提供しています。
業績推移: 欧州市場の低迷はあったものの、国内自動車メーカーのR&D投資継続により堅調に推移。計画達成率は103.0%となりました。
注目ポイント: 評価対象がインバータ・モータからバッテリー材料評価へと拡大しています。2025年後半以降の欧州市場回復を見込み、新製品の浸透を加速させるフェーズにあり、グローバルな開発・販売体制の強化が進んでいます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:日置電機株式会社 2025年12月期 決算説明会資料 P.28
同社は2030年の長期目標として、売上高営業利益率25%、海外売上高比率75%を掲げています。その達成に向け、2026年は売上高430億円、営業利益13.1%増の76億8,000万円を目指す強気な計画です。研究開発費比率を売上高の10%以上に維持する方針を継続し、独自のセンシング技術と計測ソリューションの創出に注力します。
特筆すべきは、グローバルR&D体制の強化です。横浜、インド、中国に続き、シンガポールにもR&D機能を追加。世界中の顧客ニーズを直接収集し、製品開発にフィードバックする「協創拠点」の設立を進めています。また、2025年3月にはベトナム子会社を設立。東南アジアや中東(UAE)など、成長市場への進出と営業体制の刷新により、特定の地域に依存しないバランスの取れた収益構造の構築を急いでいます。
4 求職者へのアドバイス
日置電機の「測る」技術は、EV、AI、水素など脱炭素社会とDXの根幹を支えています。志望動機では、単なる計測器メーカーとしてではなく、これら地球規模の課題解決に挑む「ソリューションクリエイター」という同社のビジョンへの共感を伝えましょう。特に「HIキャリア制度」による定期昇給の廃止は、自ら主体的に専門性を磨き、成果で報われたいプロフェッショナル志向の求職者にとって、強力なアピールポイントになります。
・「2025年から導入された『HIキャリア制度』において、自薦昇格や役割手当は、具体的にどのような評価基準で運用されているのでしょうか?」
・「グローバルR&D拠点の拡充を進めていらっしゃいますが、日本の本社開発部門と海外拠点の技術連携や役割分担はどのように変化していく見通しですか?」
・「DX推進(ERP/CRM導入)への投資が一段落した後の、IT基盤を活用した具体的な営業プロセスの高度化について、現場ではどのような変化が期待されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
課題解決に向けて取り組める制度がある
自分が会社の課題を解決したい場合、好きなメンバーを集めて課題解決に向けて取り組める制度があります。 福利厚生が非常に手厚く、地域の中でもずば抜けた給与体系なのは入社してから分かりました。
(20代前半・ルートセールス・男性) [キャリコネの口コミを読む]深夜残業代が出ない状況も存在している
深夜残業せざるを得なくても、まだここは認められていないため、忙しい時期などは頑張ったが残業代が出ないようなシュチュエーションもまだまだ存在している。
(30代前半・ソフトウェア関連職・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 日置電機株式会社 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 日置電機株式会社 2025年12月期 決算説明会資料(2026年2月13日発表)



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