0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期利益予想を350億円規模で上方修正する
円安や価格改善、固定費の効率化が想定を上回り、通期の最終的な儲けである純利益予想を従来の400億円から750億円へ大幅に引き上げました。和泰株式の売却益計上などの特殊要因も寄与しており、財務基盤の強化に向けた動きが加速しています。経営の機動力が高まっている点は転職者にとって心強い材料です。
② 認証問題の法的リスクが和解により進展する
2025年12月にニュージーランドでの集団訴訟について和解契約を承認し、米国当局との和解に基づく制裁金の支払いも進んでいます。長年の懸案だったエンジン認証問題の不透明感が払拭されつつあり、今後は本来の事業成長にリソースを集中できる環境が整い始めています。コンプライアンス再生に向けた組織改革も進行中です。
③ 販売台数減を効率化で補い営業増益を果たす
国内での小型トラックの切り替え遅れやアジア市場の低迷により総売上台数は前年同期比で22.4%減少しましたが、諸経費の削減と価格改善により営業利益は39.3%増を達成しました。台数に頼らない収益構造への転換が進んでおり、生産・物流の効率化を推進できる専門人材への需要が一段と高まっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第3四半期 決算説明 P.2/23
第3四半期累計の業績は、前年同期に計上した多額の特別損失(北米認証関連損失)がなくなったことで、純利益が306億円の大幅な黒字となりました。売上高は国内市場での小型トラックの販売台数減少が響き減収となりましたが、1台あたりの収益性を高める価格改善と、全社的な固定費の効率化が功を奏しています。
通期予想に対する進捗状況は、営業利益ベースで約83.7%に達しており、期初および第2四半期公表時と比較しても極めて順調に推移しています。上方修正後の目標達成に向けて確固たる足場を築いています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第3四半期 決算説明 P.11/23
日本(国内・輸出事業)
事業内容
国内向け日野ブランド車、輸出用車両、およびトヨタ自動車向け車両(SUV・小型トラック)の製造・販売。
業績推移
売上高は7,815億円(-12.3%)と減収ながら、営業利益は354億円(+18.5%)の増益を確保しました。
注目ポイント
小型トラックのモデル切り替え影響で台数は減少しましたが、アフターサービス(TS:トータルサポート)収益の増加と諸経費の徹底削減が利益を押し上げました。国内市場のシェア回復と、生産現場のコスト競争力をさらに高めるための生産管理・原価企画のプロフェッショナルが不可欠な状況です。
アジア
事業内容
インドネシア、タイを中心とした東南アジア地域でのトラック・バスの製造・販売・補修部品供給。
業績推移
売上高 2,916億円(-11.0%)、営業利益 144億円(-15.9%)と、市場低迷の直撃を受け減収減益となりました。
注目ポイント
インドネシアのマイニング需要減やタイのローン審査厳格化など、外部環境が厳しさを増しています。一方で、車両価格の改善は進んでおり、市況回復期に向けた現地マーケティングの強化や代理店網の再構築が急務です。グローバルな視点で販売戦略を立案できる人材の活躍の場が広がっています。
その他(北米・オセアニア等)
事業内容
米国、カナダ、オーストラリア等の先進国市場での販売、および北米向けトヨタ事業の運営。
業績推移
売上高は2,066億円(-17.8%)と減少しましたが、営業利益は107億円と前年の9億円から約12倍の大幅増益を記録。
注目ポイント
北米でのトラック事業は台数減となりましたが、トヨタ向けSUVの増産やユニット(エンジン等の主要部品)販売の収益改善が大きく貢献しました。アライアンスパートナーとの共同事業を効率化し、収益を最大化できるプロジェクトマネジメント人材にとって、非常に挑戦しがいのあるフィールドです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第3四半期 決算説明 P.22/23
通期の業績予想は、営業利益750億円、純利益750億円へと上方修正されました。この背景には、厳しい市場環境を跳ね返す原価・諸経費の徹底したコントロールがあります。特に、国内TS(トータルサポート)収益の増加や、海外での価格適正化が着実に進んでいる点はポジティブです。
注目すべきは、保有株式の売却などによる「キャッシュ創出」と、認証問題の解決に向けた和解金の支払いという「負の遺産の整理」が同時に進んでいることです。経営の健全化が進む中、今後は次世代モビリティやカーボンニュートラルへの対応など、未来への投資を加速させるための専門人材が求められるフェーズに入ると予想されます。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント: 「再生と変革の当事者」としての意欲が評価される時期です。単なる既存業務の遂行ではなく、認証問題からの信頼回復という大きなテーマに対し、自身の専門性(コンプライアンス、品質保証、原価低減など)をどう活かして強い日野自動車を再建したいかを語ることが有効です。
面接での逆質問例: 「認証問題の和解が進む中、今後はどのような成長領域への投資を優先される計画でしょうか?」「台数に依存しない収益構造を目指す上で、現場のコスト意識や業務フローは具体的にどう変化していますか?」など、将来性と変化への適応力を問う質問が適しています。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年度 第3四半期 決算説明資料



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。