0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期業績予想を上方修正し売上高3,375億円を見込む
主力の時計事業において北米を中心に高価格帯モデルの販売が伸びており、売上高を従来予想から105億円引き上げました。工作機械事業でも医療や半導体関連の需要が堅調に推移しており、全社的な成長スピードが加速しています。転職者にとっても、グローバル市場での攻めの姿勢は大きな魅力となります。
② スイスの高級時計拠点へLVMHグループの出資を受け入れる
傘下のラ・ジュー・ペレ社(スイス)がLVMHグループとの戦略的提携を強化しました。2025年11月に出資を受け入れ、高精度ムーブメントの供給を含めた長期的な協力関係を構築しています。世界最高峰のラグジュアリーブランドとの連携により、同社の技術力が国際的に高く評価されている証左と言えます。
③ 当第1四半期より Manufacture Arnold & Son-Angelus SAを新規連結
事業ポートフォリオの最適化を進める中で、当期よりスイスの高級ブランド運営会社を新たに連結子会社化しました。時計事業におけるプレミアム領域の強化が鮮明になっており、専門性の高い技術者やブランドマーケティング経験者にとって、活躍のフィールドがグローバルに広がっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第3四半期決算説明会 P.5
当第3四半期累計の売上高は2,571億円、営業利益は238億円と大幅な増益を達成しました。特に営業利益率は9.3%に達し、前年同期の7.9%から大きく改善しています。為替の追い風に加え、時計事業における高付加価値製品の強化や自社EC比率の向上が利益を押し上げました。純利益については、投資有価証券売却益があった一方、米国における過年度関税等の計上(約65億円の特別損失)により、前年並みの222億円となっています。
通期予想の売上高3,375億円に対する進捗率は76.2%、営業利益270億円に対する進捗率は88.5%となっており、業績は極めて順調に推移しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第3四半期決算説明会 P.6
時計事業
事業内容
「シチズン」「ブローバ」ブランドの腕時計の製造販売、および世界市場向けムーブメントの供給。
業績推移
売上高1,475億円(+7.3%)、セグメント利益207億円(+29.2%)と大幅な増益を達成。
注目ポイント
北米市場においてブランド創業150周年の施策が成功。百貨店や専門店、自社ECでの販売が好調で、販売単価の上昇が顕著です。また、スイスの高級ムーブメント子会社とLVMHの提携により、プレミアム市場での優位性が高まっています。グローバルなマーケティングやEC戦略の専門家が強く求められています。
工作機械事業
事業内容
CNC自動旋盤などの工作機械の開発、製造、販売。自動車、医療、半導体業界を主要顧客とする。
業績推移
売上高622億円(+11.2%)、セグメント利益51億円(+18.2%)の増収増益。
注目ポイント
中国において半導体関連の需要が急増しており、アジア地域が全体の売上を牽引しています。欧州では医療関連や一般受託加工向けの販売が堅調です。受注台数も前年比で大きく回復しており、スマート工場の構築やAIを活用した高度な加工制御など、FA(工場自動化)領域のエンジニアには大きなチャンスがあります。
デバイス事業
事業内容
自動車部品、セラミックス製品、小型モーター、プリンター、LEDなどの電子部品および機器。
業績推移
売上高472億円(▲2.0%)、セグメント利益25億円(▲18.8%)と減収減益。
注目ポイント
プリンターにおける大口受注の反動減があり減益となりましたが、光通信向けのセラミックス製品は好調に推移しています。当期より電子機器他事業を吸収し、管理体制を刷新しました。不採算領域の構造改革と、高成長が見込まれる通信・車載向け部品へのリソースシフトが進められており、事業再建やポートフォリオ管理の経験が重用されます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第3四半期決算説明会 P.19
2026年3月期の通期見通しについて、売上高を3,375億円、営業利益を270億円に上方修正しました。第4四半期の想定為替レートを1ドル150円、1ユーロ180円に設定し、円安メリットを織り込んでいます。特に工作機械事業では、中国の半導体投資回復を背景に売上予想を50億円上乗せしており、供給体制の強化が急務となっています。
一方で、米国連結子会社における腕時計輸入関税の計算相違がリスクとして顕在化しています。2015年から2021年にかけて約65億円の追加納付や引当を計上していますが、2021年以降についても発生可能性があることが資料内で言及されています。転職に際しては、こうした法務・財務リスクへの対策状況や、グローバルでのガバナンス強化に向けた取り組みを逆質問で確認することが有益です。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「時計事業のプレミアム化・高付加価値化」への貢献を軸に構成することをお勧めします。北米での成功事例(自社ECの伸長やサブブランドの浸透)を挙げ、自身の持つデジタルマーケティング経験やCRMの知見が、日本国内や他地域での展開にどう活かせるかを具体的に示すのが有効です。また、LVMHとの提携に見られる「グローバルな技術力の発信」に魅力を感じている点も、エンジニア職には強力な動機となります。
面接での逆質問例
- 「スイスのラ・ジュー・ペレ社へのLVMHの出資により、他ブランドとの連携が深化していますが、これが日本国内の製品開発や技術承継にどのようなシナジーをもたらす予定でしょうか?」
- 「米国での関税問題を受け、グローバルなサプライチェーン管理や法務ガバナンスをどのように強化されていく方針でしょうか?」
- 「工作機械事業において、中国での半導体関連需要が急増していますが、地政学リスクを考慮した生産体制の分散や最適化をどう検討されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
仕事とプライベートを両立するには良い
残業も少なくライフワークバランスはここ数年で整えられたので言うことはない。休暇もとりやすいので、仕事とプライベートを両立するには良いと思います。
(30代後半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料:
・2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
・2025年度(2026年3月期) 第3四半期決算説明会資料



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