0 編集部が注目した重点ポイント
① ドイツLamy社の統合により海外販売網を拡大する
2024年の連結子会社化以降、筆記具ブランド「LAMY」とのシナジー創出が加速しています。三菱鉛筆の技術力とLamyのデザイン力を融合した新製品「LAMY safari JETSTREAM INSIDE」が好調な滑り出しを見せており、日本・米国・欧州での自社販売網活用により、グローバルでのキャリア機会が大きく広がっています。
② インド新会社が生産を開始し成長市場を攻略する
2025年9月より、インドの連結子会社「UNI LINC INDIA」がボールペンの生産・出荷を開始しました。巨大な人口を抱え教育市場が拡大するインドを、成長市場の攻略拠点およびグローバルサプライチェーンの要所と位置づけています。新興国向けのローカライズ戦略や生産拠点の最適化に携わる人材の重要性が高まっています。
③ 筆記具のコア技術で非筆記具事業を柱に育てる
化粧品事業や二次電池用材料などの「非筆記具事業」が、企業の成長エンジンとして存在感を強めています。特にリキッドアイライナーや導電性スラリー(電池材料)は受注が堅調で、2036年には売上高300〜500億円規模への成長を掲げています。筆記具で培った分散・加工技術を他業界へ転用する、技術開発・事業開発の専門職にとって魅力的なフィールドです。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 決算補足説明資料 P.4
売上高
89,814百万円
+1.1%
営業利益
9,692百万円
▲20.5%
2025年12月期は、日本やアジア市場で主力の「JETSTREAM」や新製品「uniball ZENTO」が堅調に推移し、売上高は過去最高水準の898億円となりました。一方で営業利益は、原材料費や外注加工費のコスト上昇に加え、将来の成長に向けたIT投資や人的資本投資(人的資本への積極的な資源配分)により販売管理費が増加し、減益となっています。
通期予想に対する進捗状況については、売上高は当初計画を達成し、利益面でも構造改革や先行投資の影響を含んだ予想範囲内での着地となっており、全体として順調な推移と評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 決算補足説明資料 P.5
国内筆記具事業
事業内容: 日本国内における「JETSTREAM」や「uniball」、「クルトガ」等の開発・販売。
業績推移: 売上高は前年比で+13.8億円の増収。高付加価値製品の販売が非常に好調です。
注目ポイント: 新製品の「uniball ZENTO」や「KURUTOGA Wood」など、機能だけでなく情緒的価値を付加した高価格帯商品のヒットが続いています。国内市場が成熟する中で「書く体験」をアップデートし続ける企画力や、熱狂的なファンを作るマーケティングスキルを持つ人材が求められています。
海外筆記具事業
事業内容: 米州・欧州・アジア等の海外市場における製品販売および生産活動。
業績推移: 欧州での「POSCA」在庫調整により▲19.9億円の減収。ただしアジアは増収基調です。
注目ポイント: ドイツLamy社の統合やインド拠点の稼働など、グローバル供給網の再構築が急務となっています。「uniball」ブランドの再成長戦略や、各国の多様な筆記文化に合わせたローカライズ戦略をリードできる、国際感覚豊かなビジネスパーソンにとって大きな挑戦機会があります。
非筆記具事業(化粧品・産業資材)
事業内容: 筆記具技術を応用したリキッドアイライナー等のOEM生産、および二次電池材料等の販売。
業績推移: 売上高は+16.0億円の大幅増収。利益貢献度も高まっています。
注目ポイント: 筆記具の「インク設計技術」と「吐出機構設計技術」を活かし、異業種への展開に成功しています。特にカーボンナノチューブの分散技術を活かした導電性スラリーは次世代二次電池向けに期待されており、化学・材料分野のバックグラウンドを持つ技術者にとって、創業130年超の安定基盤で「新規事業」を育てる醍醐味があります。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 決算補足説明資料 P.18
来期(2026年12月期)は、売上高940億円(前期比4.7%増)、営業利益105億円(同8.3%増)を計画しています。海外での在庫調整が収束し、特にアジアや北米での「uniball」ブランドの再成長を見込んでいます。
経営資源の配分においては、生成AIの導入やDXの推進、人的資本への投資を継続する方針です。これは単なる効率化だけでなく、これまでにない「表現体験」を創造するための攻めの投資と位置付けられています。また、質疑応答の文脈では、持続的な累進配当の継続や連結配当性向40%の目標設定など、株主還元と企業価値向上の両立を重視する姿勢が強調されており、資本コストを意識した経営がさらに深化する見通しです。
4 求職者へのアドバイス
「ありたい姿2036」に向けた表現革新カンパニーへの変容に共感できるかが鍵です。単なる筆記具の提供に留まらず、Lamy社の統合によるデザイン×機能の融合や、インド拠点の活用によるグローバル供給網の構築など、具体的な戦略を自身の経験と結びつけることが有効です。また、非筆記具事業の柱化に貢献できる専門性をアピールすることも強力なフックとなります。
- 「インド子会社UNI LINC INDIAの稼働により、グローバルサプライチェーンの最適化はどのように進展していく計画でしょうか?」
- 「Lamy社とのブランド融合において、企画・開発段階で両社はどのような協働体制を構築されているのでしょうか?」
- 「生成AIの導入などIT投資が強化されていますが、製品開発の現場ではどのようなDXの進展を期待されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年12月期 決算補足説明資料



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