0 編集部が注目した重点ポイント
① 防衛事業が黒字転換し全社業績を牽引する
防衛・通信機器事業において、防衛予算の増加を背景に航空機・艦艇搭載機器の販売が好調に推移しました。前年同期の営業損失から大幅な黒字転換を達成しており、全社業績を押し上げる強力な成長エンジンとなっています。技術職・製造職にとって、今まさに最注力領域でキャリアを積む好機と言えます。
② 受注残高が過去最高を更新
2026年3月期第3四半期末の受注残高は、全社合計で640億43百万円と過去最高を更新しました。特に防衛事業や鉄道機器事業での受注が積み上がっており、中長期的な仕事の安定性と事業規模の拡大が明確になっています。安定した事業基盤のもとで、腰を据えて専門性を高めたい転職者にとって魅力的な環境です。
③ 本社移転を機に経営基盤の刷新と構造改革を推進する
当四半期累計期間において本社移転が進捗しており、固定資産の増加や一時的な費用(約4億円の影響)が発生しています。これは単なるオフィス移転にとどまらず、経営基盤の刷新に向けた投資の一環です。新しい就業環境での組織活性化が進む中、変化を前向きに捉える人材の活躍が期待されています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.4
売上高
39,748百万円
前年比 +16.1%
営業利益
2,038百万円
前年比 +93.4%
四半期純利益
1,739百万円
前年比 +86.5%
第3四半期の連結実績は、全ての利益項目において前年同期比で大幅な増加となりました。特に営業利益は9割を超える増益となっており、防衛・通信機器事業の販売好調と原価率の改善が大きく寄与しています。また、本社移転費用の発生や油空圧機器事業での製品構成変化による原価率上昇といった押し下げ要因を、防衛事業の成長が十分にカバーした形です。
通期予想に対する売上高の進捗率は約65.8%となっております。一見すると75%を下回っていますが、同社の事業特性上、第4四半期に売上が集中する傾向があり、特に防衛省向け機器の納入が年度末に多く見込まれることから、業績の進捗は概ね順調であると判断されます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.6
船舶港湾機器事業
事業内容:ジャイロコンパス(方位計測器)やオートパイロット(自動操舵装置)など、船舶の安全航行を支える航海計器を提供。世界の商船市場で高いシェアを誇ります。
業績推移:売上高は9,955百万円(前年比+12.4%)。新造船向け需要と保守サービスが好調。利益は研究開発費増等で微減。
注目ポイント:国内内航船で8割以上のシェアを持ち、現在は「無人運航船」や「風力推進船」といった次世代プロジェクトに参画中。環境規制への対応や自動化技術の追求により、海事DXを牽引する技術者のニーズが高まっています。
油空圧機器事業
事業内容:プラスチック射出成形機や建設機械向けの油圧ポンプ・バルブを展開。省エネ性能に優れたポンプ回転数制御システムが強みです。
業績推移:売上高は8,498百万円(前年比+1.4%)。建機・工作機械向けが堅調。利益は製品構成の変化で減少。
注目ポイント:国内の射出成形機用で約4割のシェアを確保。現在は水素ステーション向けの「水素圧縮装置」など、クリーンエネルギー分野への展開を強化しています。産業機械の電子制御化に伴い、機械×電子の複合領域に強い人材が求められています。
流体機器事業
事業内容:超音波流量計や防災用の水位計、不活性ガス消火設備などを展開。水資源管理や都市の安全を守るインフラ事業です。
業績推移:売上高は3,293百万円(前年比+7.8%)。新製品の電池駆動式流量計や立体駐車場向け消火設備が好調。
注目ポイント:国内の上下水道・農業用水向けで約6割のシェア。異常気象による河川氾濫対策として「危機管理型水位計」の需要が急増しており、防災・減災ソリューションとしての社会的価値が非常に高い分野です。
防衛・通信機器事業
事業内容:航空機や艦艇のレーダー警戒装置、慣性航法装置などを開発。マイクロ波技術とジャイロ技術を駆使した国防の要です。
業績推移:売上高は15,683百万円(前年比+31.1%)。営業利益は867百万円(前年は367百万円の赤字)と劇的な改善。
注目ポイント:防衛省向け機器の納入が極めて好調。また、民間向けでも国内テレビ局の報道ヘリ用アンテナ指向装置で9割以上のシェアを持つなど、圧倒的なニッチトップを確立しています。宇宙事業への参画も進んでおり、最先端技術に触れたい技術者には最適な環境です。
その他の事業(検査・鉄道機器等)
事業内容:印刷品質検査装置や鉄道用の超音波レール探傷車などを展開。画像処理と超音波のプロフェッショナル集団です。
業績推移:売上高は2,319百万円(前年比+16.6%)。鉄道機器事業の探傷車販売が堅調に推移しています。
注目ポイント:JR各社・国内民鉄向けのレール探傷車で7割以上のシェア。近年は人手不足に対応する「軌道検査省力化システム」の開発を強化。最新のAI画像処理技術を用いた検査の自動化など、伝統技術と先端技術の融合が進んでいます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.13
2026年3月期の通期見通しは、主に防衛・通信機器事業の好調を反映し、売上高・利益ともに上方修正が発表されました。防衛省向け機器の納入が順調であることに加え、原価率の好転が利益を押し上げる見込みです。一方で、米国政権の関税政策による自動車産業への影響や、中国経済の停滞といった外部リスクも注視されており、これらに対しては高付加価値製品の拡販や他地域での展開強化で対応する方針です。
長期戦略「東京計器ビジョン2030」の実現に向け、成長投資を最優先する姿勢を鮮明にしています。特に宇宙事業(観測衛星用増幅器など)や次世代半導体製造装置向けのソリッドステート電源といった新領域は、同社の将来を担う「成長ドライバー」と位置づけられています。既存事業の安定した収益をベースに、これらの先端領域にチャレンジできる環境は、好奇心旺盛なエンジニアにとって大きな魅力です。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は「ジャイロ」という独自のコア技術を武器に、国防からインフラまで多岐にわたる事業を展開しています。面接では「自身の技術がどのように社会の安全・安心に寄与したいか」という視点を軸にしましょう。特に現在絶好調の防衛事業の拡大や、宇宙・エネルギーといった新領域への挑戦に自身の経験をどう紐づけるかがポイントです。ニッチトップ製品を多く持つからこその「技術の深掘り」と「安定感」の両面を魅力として伝えると効果的です。
面接での逆質問例
「第3四半期末で過去最高の受注残高となっていますが、特に防衛事業や鉄道事業における現場の増員計画や、新メンバーに期待される役割について教えてください。」
「本社移転という大きな変化の時期にありますが、新しい環境において部門を越えた技術シナジーやコミュニケーションを活性化するために、どのような取り組みを計画されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
若いうちから裁量が大きい環境で働ける
開発の上流から下流工程まで立ち会える。若いうちから裁量が大きい環境で働くことができる。開発した製品がリリースされ、お客様に評価頂いた際にはやりがいを感じる。
(30代前半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
【使用した主な公開資料】
・東京計器株式会社 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
・東京計器株式会社 2026年3月期 第3四半期 決算説明資料



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