0 編集部が注目した重点ポイント
① コーエンを売却し経営資源を集中させる
2026年3月2日付で、連結子会社である株式会社コーエンの全株式をジーイエット株式会社へ譲渡することを決定しました。前年実施の大型店退店やネット通販の苦戦により減収が続いていた同事業を分離することで、グループ全体の「選択と集中」を加速させます。今後は主力事業や成長領域へのリソース集中が進むため、各ブランドでの専門職採用が活発化する可能性があります。
② 持株会社体制への移行検討を開始する
長期ビジョン「2032」の達成に向け、持株会社体制への移行検討を開始しました。これにより、M&Aを含む非アパレル領域への柔軟な進出や、子会社の自立性向上による経営スピードの向上を図ります。グループ経営の高度化に伴い、経営企画やガバナンス、新規事業開発といった専門人材の活躍フィールドが大きく広がる構造的変化といえます。
③ 営業利益が通期計画の97%超に到達する
第3四半期累計の連結営業利益は8,764百万円に達し、通期予想9,000百万円に対し、進捗率は97.3%と極めて好調です。気温変動の影響を受けにくい商品構成への転換や、高単価な秋冬商品の定価販売が奏功しました。売上総利益率は2015/3期以来の高い水準を維持しており、収益基盤の劇的な改善が、次なる成長投資や人的資本への投資を力強く支える土壌となっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明会資料 P.4
連結売上高は前年を大幅に超え、売上総利益率は53.4%と前年同期比0.4pt改善しました。広告宣伝費や人件費などの販管費増加を増収効果で吸収し、全ての利益段階で増益を達成。特に純利益が大幅に伸びたのは、コーエンの譲渡契約締結に伴い、将来の税金負担を軽減する資産(繰延税金資産)を計上したことによる一時的な押し上げ効果も含んでいます。
通期予想に対する営業利益の進捗率は97.3%となっており、第3四半期時点で年間目標のほとんどを達成している状況は極めて順調と評価できます。不透明な消費環境下でも「定価販売の維持」と「効率的な在庫管理」というMD(商品計画)の改革が実を結んでおり、安定した経営基盤を背景とした中長期的なキャリア形成が期待できる環境です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明会資料 P.17
トレンドマーケット (UA/BY/ドゥロワー等)
事業内容:ユナイテッドアローズ(UA)やビューティー&ユース(BY)を中心に、高感度な層へ向けた衣料品・雑貨を販売するグループの基幹事業です。
業績推移:売上高は63,323百万円となり、前年同期比で+7.9%の伸長。既存店売上高も105.3%と安定した人気を維持しています。
注目ポイント:「防寒以外」の秋冬衣料や服飾雑貨の展開を強化し、気温上下の影響を受けにくい収益構造を確立。オフィス回帰に伴うジャケットやブラウス等の需要を的確に捉えています。また、新ブランド「OSOI」の国内初の単独店舗を2店舗出店するなど、新規ブランドの育成にも注力しており、ブランドマネジメントやMD職の専門性が高く求められています。
ミッド・トレンドマーケット (GLR/CITEN)
事業内容:グリーンレーベル リラクシング(GLR)やシテン(CITEN)を展開し、幅広い顧客層へ向けた価値提案を行う成長エンジンです。
業績推移:売上高は34,053百万円と、前年同期比+12.9%の大幅増収を達成。特にネット通販が111.6%と絶好調です。
注目ポイント:シテン(CITEN)の積極的な出店(博多、名古屋等)が奏功し、若年層を含む新たな顧客層の開拓に成功しています。ネット通販の客数が107.1%と伸びており、OMO(オンラインとオフラインの融合)の先進事例としてグループを牽引。ECと実店舗を併用するクロスユーザー数の増加に貢献できる、データ分析やデジタル戦略に強い人材の必要性が高まっています。
海外事業 (台湾・上海・タイ等)
事業内容:台湾でのドミナント展開に加え、中国大陸、タイでのフランチャイズ展開など、アジア圏を中心としたグローバル展開を担います。
業績推移:台湾聯合艾諾(UNITED ARROWS TAIWAN)は売上高14.7億円、前年比112.1%と伸長。上海も1月より売上計上を開始しました。
注目ポイント:2026年3月に中国大陸2号店(深圳万象天地)の出店を予定するなど、本格的な成長期にあります。台湾では15店舗目、タイでもフランチャイズ2号店の出店を予定。グローバル規模での「ユナイテッドアローズ」のブランド確立が最優先課題となっており、海外での店舗展開やローカルブランドとの別注企画などを推進できる国際感覚を持った人材にとって、挑戦しがいのあるフィールドです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明会資料 P.25
今後の最大の注目点は、2026年3月のコーエン譲渡完了後の「新生ユナイテッドアローズ」のポートフォリオです。2026年1月には新進気鋭のデザイナーブランド「TELMA」を取得し、ハイエンド・ラグジュアリー領域を拡充。さらに、2026年春には新規事業「conte」や、独占販売を開始する「ER」などのブランド展開も控えています。
経営陣は持株会社化の目的として、新ブランドの展開や「非アパレル領域への進出」をM&A含め柔軟に行える体制整備を挙げています。これは従来の衣料品小売の枠を超えた「ライフスタイル提供グループ」への進化を意味しており、多角的なビジネス経験を持つ人材の採用ニーズが強まるでしょう。また、新システムによるサプライチェーン最適化や越境ECの本格稼働など、デジタル基盤の強化も成長を支える重要な鍵となります。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「高単価商品の定価販売維持」と「気温変動に左右されないMD(商品計画)」という、アパレル業界の課題に対する解決策を具体化している点に触れると良いでしょう。また、持株会社化による多角化や「TELMA」等のM&Aを通じたハイエンド領域への挑戦に共感を示すことで、企業の未来志向の戦略に合致した姿勢をアピールできます。
面接での逆質問例
・「持株会社体制への移行により、個別の事業ブランドにはどのような権限委譲や自立性の向上が期待されていますか?」
・「新システム稼働によるサプライチェーンの最適化は、具体的に店舗スタッフの業務効率や販売機会にどのような変化をもたらしていますか?」
・「海外展開の加速や『TELMA』の取得など、グローバル市場やラグジュアリー領域におけるブランド認知をどう高めていく方針ですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
希望するブランドでのキャリアを築くチャンス
希望するブランドでのキャリアを築くチャンスがあるのは魅力的です。社内公募制度を活用すれば、自分の興味やスキルに合った部署で働くことが可能です。さらに、社内のコミュニケーションは非常に円滑で、店舗スタッフから経営陣まで、垣根を越えて意見交換ができる環境が整っています。研修などで他のブランドのスタッフとも交流できるため、視野が広がります。
(30代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第3四半期 決算説明会資料(2026年2月5日発表)
- 2026年3月期 第3四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年2月5日発表)



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