タイミー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タイミー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タイミーは東京証券取引所グロース市場に上場し、スキマバイトサービス「タイミー」を主力事業として展開しています。第9期より連結決算へ移行しており、売上高343億円、経常利益67億円を計上しました。登録ワーカー数やクライアント数の拡大により、事業規模は順調に拡大し増収増益基調にあります。


※本記事は、株式会社タイミー の有価証券報告書(第9期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タイミーってどんな会社?

スキマバイトサービス「タイミー」を運営し、「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするプラットフォームを提供しています。

(1) 会社概要

2017年に株式会社Recolleとして設立され、翌2018年に現社名へ変更するとともにスキマバイトサービス「タイミー」の提供を開始しました。その後、急速に事業を拡大し、2024年7月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。2025年には物流倉庫領域に強みを持つスキマワークス株式会社を完全子会社化しました。

2025年10月末時点の従業員数は連結で1,268名、単体で1,240名です。筆頭株主は創業者で代表取締役の小川嶺氏であり、第2位は米国の証券会社であるINTERACTIVE BROKERS LLC、第3位は創業者の資産管理会社です。創業者が大株主として強いリーダーシップを発揮できる体制となっています。

氏名 持株比率
小川 嶺 20.96%
INTERACTIVE BROKERS LLC 3.73%
株式会社Recolle 3.60%

(2) 経営陣

同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役は小川 嶺氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小川 嶺 代表取締役 2017年8月同社設立。Recolle代表取締役、スポットワーク協会理事等を兼任。2025年よりレバンガ北海道取締役会長等を務める。
八木 智昭 取締役 三菱UFJ銀行、モルガン・スタンレー等を経て、アペルザに入社。2020年12月同社入社、執行役員を経て2021年4月より現職。
池田 俊 取締役 Google合同会社、Google LLCを経て、2024年4月同社入社。執行役員を経て2025年1月より現職。


社外取締役は、渡邉 一正(元リクルートホールディングスグローバル執行役員)、尾西 祥平(弁護士・元SmartHR社外監査役)、原田 明典(元ミクシィ代表取締役副社長COO)です。

2. 事業内容

同社グループは、「タイミー」事業および「その他」事業を展開しています。

(1) スキマバイトサービス「タイミー」

「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングする有料職業紹介事業です。履歴書や面接なしですぐに働ける手軽さと、勤務終了後の即金性が特徴で、物流、飲食、小売業界を中心に利用されています。

収益は、クライアント(雇用主)から手数料として受け取ります。原則としてワーカーに支払う賃金報酬および交通費の合計額の30%程度を成果報酬として受領するモデルです。運営は主に同社が行っています。

(2) 正社員採用サービス「タイミーキャリアプラス」

「タイミー」の登録ワーカーを対象に、正社員としての就職・転職を支援するサービスです。ワーカーの勤務実績データを活用した「タイミー履歴書」により、働きぶりを可視化してマッチングを行います。

収益は、クライアントから紹介手数料を受け取ります。想定年収等に基づいた手数料が発生する成果報酬型です。運営は同社が行っています。

(3) その他

地方自治体向けのプロジェクト支援業務や、物流・食品製造業界向けの受入負荷軽減プロジェクトなどを展開しています。また、子会社を通じて物流倉庫のスタッフィングプラットフォーム運営も行っています。

収益は、自治体やクライアントからの業務委託料などが主な源泉です。運営は同社および連結子会社のスキマワークス株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

2025年10月期より連結決算へ移行しています。単一セグメントでの事業展開ですが、登録ワーカー数やクライアント数の増加に伴い、事業規模は拡大傾向にあります。利益面でも高い利益率を確保しており、当期純利益もしっかりと計上されています。

項目 2025年10月期
売上収益(または売上高) 343億円
経常利益 67億円
利益率(%) 19.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 53億円

(2) 損益計算書

2024年10月期は単体、2025年10月期は連結の数値です。売上高は前期比で大幅に伸長し、売上総利益率も高い水準を維持しています。営業利益率も改善傾向にあり、事業の収益性が高まっていることが読み取れます。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 269億円 343億円
売上総利益 256億円 324億円
売上総利益率(%) 95.3% 94.4%
営業利益 42億円 67億円
営業利益率(%) 15.8% 19.7%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が89億円(構成比35%)、給与及び手当が84億円(同33%)を占めています。認知拡大のための投資と人材への投資が費用の中心です。

(3) セグメント収益

同社グループは「タイミー」事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの詳細な増減分析はありませんが、主力サービスであるスキマバイトサービスの利用拡大が全体の成長を牽引しています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業活動によるキャッシュ・フローはプラスで本業から現金を創出できていますが、投資活動には積極的に支出しておりマイナスです。財務活動は借入による調達等でプラスとなっており、成長のための投資を加速させている「積極型」のキャッシュ・フロー状態と言えます。

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF 12億円 27億円
投資CF -3億円 -13億円
財務CF 33億円 6億円


※2024年10月期は単体数値、2025年10月期は連結数値を使用しています。

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は36.6%で市場平均を大きく上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.2%で市場平均とほぼ同じ水準です。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「一人ひとりの時間を豊かに」というビジョンのもと、「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」というミッションを掲げています。人生の時間は有限であるからこそ、好きな時間に働ける選択肢を提供し、新しい「はたらく」インフラとして社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化

同社グループは、「ジブンゴト」「理想ファースト」「やっていき」「ブースター」の4つのバリューを共通の価値観として掲げています。これらを社員の行動基準として大切にしながら、一人ひとりが自身の可能性を広げていける社会の実現を目指して事業に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標

同社は、流通総額、登録ワーカー数、累積アクティブワーカー数、登録クライアント事業所数、アクティブアカウント数を重要な経営指標(KPI)として設定しています。具体的な数値目標としては、マッチングサービスの市場拡大に伴い、これらの指標の継続的な増大を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策

中長期戦略として「スキマバイト・シフト」を掲げ、あらゆる仕事を柔軟に取り組める機会へ変えていくことを目指しています。そのために、業務プロセスの再設計(BPR)を重視し、クライアントの業務をスポットワーカーが即戦力として活躍できる形にアップデートする提案を推進しています。

また、ワーカーのスキルや経験を可視化するバッジ機能や、正社員採用サービス「タイミーキャリアプラス」などのプロダクト開発を通じてエンゲージメントを高めるとともに、蓄積された信用データをもとにした社会インフラとしての進化を目指しています。将来的には海外展開も検討しています。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は、従業員をビジョン実現のための仲間と捉え、「挑戦と安心を叶えることができる会社」を目指しています。個人の可能性を広げるため、正当な評価・報酬制度の導入や、組織の枠を超えた活動を推奨する「ミッション認定委員会」などの成長機会を提供しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 31.5歳 2.0年 5,994,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 19.7%
男性労働者の育児休業取得率 77.1%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 83.2%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 76.2%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 104.9%

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境と雇用情勢による影響

同社の事業は雇用情勢の影響を受けやすく、経済環境の悪化や技術革新等によりクライアントの人材需要が減少した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特定の業界への依存度低減に努めていますが、景気変動のリスクは依然として存在します。

(2) 競合の参入について

スキマバイト市場には、IT企業や人材系企業など多くの競合が参入しています。手数料競争の激化や、競合他社のサービス拡充により競争優位性が低下した場合、手数料率の低下や広告宣伝費の増加を招き、収益性が損なわれる可能性があります。

(3) サービスの健全性維持

サービスの拡大に伴い、不正利用や不適切なレビュー投稿などのリスクが増加しています。これに対し、掲載前の求人チェックや本人確認の徹底などの対策を講じていますが、万が一トラブルが発生し社会的信用が低下した場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。