タイミー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タイミー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タイミーは東京証券取引所グロース市場に上場し、スキマバイトサービスを中心とした事業を展開しています。直近の業績は、前年度売上高が約343億円、当期は決算期変更に伴う6ヶ月の変則決算で約210億円となり、順調な事業拡大による増収トレンドを維持しています。新しい働き方の提供で人手不足解消に貢献しています。


※本記事は、株式会社タイミーの有価証券報告書(第10期、自 2025年11月1日 至 2026年4月30日、2026年7月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タイミーってどんな会社?


同社グループは、スキマバイトサービス等のプラットフォーム運営を行っています。

(1) 会社概要


同社は2017年に設立され、2018年に現在の社名への変更と同時にスキマバイトサービス「タイミー」の提供を開始しました。その後、順調に事業を拡大し、2024年に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。直近の2025年にはスキマワークスを子会社化するなど、継続的な成長を遂げています。

同社の従業員数は連結で1,367名、単体で1,335名体制です。大株主の状況について、筆頭株主は創業者の小川嶺氏で、第2位はインタラクティブ・ブローカーズ証券、第3位は小川氏の資産管理会社であるRecolleとなっています。

氏名 持株比率
小川 嶺 21.05%
INTERACTIVE BROKERS LLC 4.76%
Recolle 3.62%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役は小川嶺氏が務めており、取締役における社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小川 嶺 代表取締役 2017年に同社を設立し代表取締役に就任。スポットワーク協会理事やレバンガ北海道取締役会長等を歴任。
八木 智昭 取締役 三菱UFJ銀行やモルガン・スタンレー・ホールディングスでの勤務を経て、2020年に同社入社。2021年より現職。
池田 俊 取締役 Google合同会社やGoogle LLCでの勤務を経て、2024年に執行役員として同社入社。2025年より現職。


社外取締役は、渡邉一正(元リクルートホールディングスグローバル執行役員)、尾西祥平(三浦法律事務所パートナー弁護士)、原田明典(元ミクシィ代表取締役副社長COO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「タイミー事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) タイミー事業


ワーカーの「働きたい時間」と企業の「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービス「タイミー」を中心に提供しています。履歴書や面接なしですぐに働けるのが特徴です。また、正社員採用サービス「タイミーキャリアプラス」等も展開し、幅広い求職者と企業を繋いでいます。

収益源は、ワーカーの勤務終了後に企業から受け取る、賃金報酬等に一定率を乗じたサービス手数料です。完全成果報酬型の料金体系を採用しており、掲載料などは無料です。事業の運営は、主に同社および連結子会社のスキマワークスが行っています。

(2) その他


報告セグメントに含まれない事業として、物流倉庫の人材課題を解決するスタッフィングプラットフォーム「ロジヒーロー」の運営や、物流倉庫領域における業務委託型運営を提供しています。また、地方自治体等に対するプロジェクト支援業務なども展開しています。

収益源は、契約期間における稼働実績やサービス提供に応じた業務委託料およびコンサルティング手数料などから構成されています。これらの事業の運営は、主に同社および連結子会社のスキマワークスが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


同社の直近2期の業績推移を見ると、前年度は高い収益性を確保していましたが、当期は決算期変更に伴う6ヶ月間の変則決算となっています。そのため単純比較はできませんが、引き続き高水準の利益率を維持し、安定した事業基盤を背景に堅調な推移を見せています。

項目 2025年10月期 2026年4月期
売上高 343億円 210億円
経常利益 67億円 38億円
利益率(%) 19.5% 17.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 53億円 24億円

(2) 損益計算書


利益構成を見ると、売上総利益率は90%を超える高い水準で推移しており、プラットフォームビジネス特有の収益性の高さが伺えます。当期は変則決算ですが、営業利益率も約18%を確保し、効率的な事業運営が継続されていることがわかります。

項目 2025年10月期 2026年4月期
売上高 343億円 210億円
売上総利益 324億円 193億円
売上総利益率(%) 94.4% 91.7%
営業利益 67億円 38億円
営業利益率(%) 19.7% 18.2%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が52億円(構成比33.9%)、給与及び手当が48億円(同31.2%)を占めています。プラットフォームの拡大に向けたマーケティング投資と人材確保に重点を置いていることがわかります。また、売上原価の主な内訳としては労務費が49.4%、経費が21.7%となっています。

(3) セグメント収益


セグメント別の状況を見ると、主力であるタイミー事業が売上と利益の大半を牽引しています。当期より区分を変更して開示されたその他事業は、現段階では先行投資が中心となり営業赤字となっていますが、中長期的な成長に向けた取り組みが進められています。

区分 売上(2025年10月期) 売上(2026年4月期) 利益(2025年10月期) 利益(2026年4月期) 利益率
タイミー事業 343億円 204億円 67億円 39億円 19.2%
その他 - 6億円 - -1億円 -
調整額 - -1億円 - - -
連結(合計) 343億円 210億円 67億円 38億円 18.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で生み出した資金に加えて外部調達も行い、成長に向けた投資を加速させる「積極型」の傾向を示しています。

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.4%で市場平均を下回っています。

項目 2025年10月期 2026年4月期
営業CF 27億円 13億円
投資CF -13億円 -3億円
財務CF 6億円 13億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「一人ひとりの時間を豊かに」というビジョンを掲げ、「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」ことをミッションとしています。「人生の時間は有限である」という教訓から、時間をより価値あるものにする方法をすぐに見つけ、実行できる世界の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「ジブンゴト」「理想ファースト」「やっていき」「ブースター」という4つのバリューを共通の価値観として大切にしています。従業員一人ひとりがミッションに対する強い情熱を持ち、自ら決断して挑戦できる「成長エコシステム」を通じて、互いに高め合い、成果を称賛し合う文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は事業規模と収益性を測る経営指標として、売上高および営業利益を重視しています。また、成果報酬型の料金体系を採用していることから、売上高の継続的な成長へと繋がる「流通総額」の増大や、登録ワーカー数、累積アクティブワーカー数、登録クライアント事業所数、アクティブアカウント数を重要な経営指標として設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


中長期戦略の柱として、あらゆる仕事を柔軟に取り組める機会へと変える「スキマバイト・シフト」を掲げています。業務プロセスを再設計するBPR(Business Process Re-Engineering)のノウハウを活用し、即戦力となる業務を創出しています。また、独自の「信頼」データの構築によるインフラの進化や、海外展開も視野に入れた事業拡大を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人材マネジメントポリシー」を定め、従業員一人ひとりの可能性を最大限に引き出す組織づくりを推進しています。挑戦と成果が次の挑戦へとつながる「成長エコシステム」の拡充や、成果とバリュー体現に対する正当な評価、そして互いの強みを活かし高め合う文化の醸成を軸に、事業と個人の成長を両立させています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年4月期 31.7歳 2.2年 6,246,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 80.5%
男女賃金差異(正規雇用) 74.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 100.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境と雇用情勢の変動


同社の事業は日本の経済・雇用情勢等の影響を受けやすい特性があります。特定業界への依存度低減や販路拡大に努めていますが、経済環境の悪化や技術革新、季節変動等により人材採用需要が想定以上に減少した場合、同社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合他社の参入と競争激化


国内外の同業他社や人材派遣、IT企業等の新規参入による競争環境の変化が懸念されます。知名度や財務基盤で優位性を持つ企業との競争激化や手数料の低下、広告宣伝費の増加が生じた場合、先行者としての収益性が維持できず、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) サービスの健全性維持


小規模クライアントの利用拡大に伴い、サービスの不正利用や不適切なレビュー投稿が発生するリスクがあります。求人原稿の事前審査や本人確認、ペナルティ制度等で対策を講じていますが、発見が遅れて信用低下やトラブルが生じた場合、事業に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 技術革新への対応の遅れ


若年層向けの魅力的なUX/UIを維持するため、先進的な技術ノウハウの継続的な獲得が不可欠です。技術的な知見の獲得が困難になったり、競合他社がより優れたサービスを展開した場合、競争力の低下や追加的なシステム投資・人件費が増大し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。