ライト工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ライト工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ライト工業は東京証券取引所プライム市場に上場し、法面保護工事や地盤改良工事を主体とした特殊土木事業を展開しています。直近の業績は、売上高が前年比増収の1,392億円、当期純利益も増益の125億円となり、過去最高を更新しました。防災・減災や国土強靭化の需要を背景に、順調に事業を拡大しています。


※本記事は、ライト工業株式会社の有価証券報告書(第79期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ライト工業ってどんな会社?


特殊土木技術を強みとし、法面保護工事や地盤改良工事を主体に展開する建設企業です。

(1) 会社概要


1948年にライト防水工業所として設立され、1951年に現在のライト工業へ商号変更しました。1961年に東京証券取引所市場第2部に上場し、1974年には同市場第1部に指定されました。その後、1997年に米国で現地法人を設立し、近年ではベトナムにも合弁会社を設立するなど、国内外で事業を拡大しています。

従業員数は連結で1,399名、単体で1,028名です。大株主については、筆頭株主が信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位が事業会社の太陽生命保険、第3位が信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.47%
太陽生命保険 6.48%
日本カストディ銀行(信託口) 5.97%

(2) 経営陣


同社の役員は男性16名、女性3名の計19名で構成され、女性役員比率は15.0%です。代表取締役社長は阿久津和浩が務めています。社外取締役は5名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
阿久津和浩 代表取締役社長 1983年同社入社。東日本支社長、関東支社長、技術営業本部長、施工技術本部長などを経て、2020年より現職。
川村公平 専務取締役安全衛生環境本部長 1983年同社入社。東日本支社副支社長、東北統括支店長、技術営業本部長などを経て、2023年より現職。
西誠 専務取締役経営企画本部長 1987年同社入社。営業本部副本部長などを経て、2011年経営企画本部長、2021年より現職。
山本明伸 専務取締役建築事業本部長 2009年同社入社。建築事業部建築営業部長などを経て、2015年建築事業本部長、2023年より現職。
村井祐介 常務取締役関東支社長 1986年同社入社。中部統括支店長、西日本支社長などを経て、2018年関東支社長、2019年より現職。
川本治 常務取締役技術営業本部長 1986年同社入社。九州統括支店長、施工技術本部長などを経て、2023年技術営業本部長および現職。
金藤達也 常務取締役施工技術本部長 1997年同社入社。中部統括支店長などを経て、2023年施工技術本部長および現職。
山根智之 取締役海外事業本部長 1991年同社入社。事業管理部長、経営企画部長、営業企画部長などを経て、2016年海外事業本部長、2022年より現職。
和平好伸 取締役西日本支社長 1989年同社入社。西日本支社副支社長などを経て、2018年西日本支社長、2023年より現職。
高橋恒歩 取締役経営管理本部長 1989年太陽神戸銀行入行。三井住友銀行での要職を経て、2024年同社入社。2025年より現職。


社外取締役は、白井真(光和総合法律事務所パートナー)、清水裕子(富士通エイチアールプロフェショナルズ元社長)、永田武(元高松国税局長)、浅野浩美(元栃木労働局長)、佐々木基(建設経済研究所理事長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 建設事業


法面保護工事、地盤改良工事を主体とした特殊土木事業と建築事業を展開しています。主に官公庁や民間企業を顧客とし、斜面崩落防止やインフラの補修・補強、土壌汚染対策などの専門的な建設サービスを提供し、国土の安全とインフラの強靭化に貢献しています。

収益源は、顧客である官公庁や民間企業からの工事請負代金です。運営は同社のほか、米国で地盤改良工事を行うRAITO, INC.や、ベトナムのFecon Raito Underground Construction Joint Stock Company、国内で土木・建築事業を行う小野良組などの子会社が担っています。

(2) その他


建設事業を支える付帯サービスとして、建設資材の販売や、車両・建設機械・事務機器のリース、福利厚生施設の管理、損害保険および生命保険の代理店業、さらにはサービス付き高齢者住宅の運営や介護サービスなどを提供しています。

収益源は、建設資材の販売代金やリース料、介護サービス利用料などです。運営は、資材販売やリースを担うアウラ・シーイー、保険代理店業を行うエド・エンタープライズ、介護事業を行うらいとケアなどの子会社がそれぞれ行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実な成長を続けており、直近の決算期では大幅な増収を達成しています。経常利益についても一時的な落ち込みは見られたものの、直近では大きく改善し、過去最高水準の利益を計上しました。高い利益率を維持しつつ、順調な事業拡大を遂げています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,095億円 1,150億円 1,173億円 1,215億円 1,392億円
経常利益 140億円 133億円 116億円 132億円 177億円
利益率(%) 12.8% 11.6% 9.9% 10.8% 12.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 100億円 82億円 79億円 88億円 106億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。特に営業利益率は前期間と比較して向上しており、工事採算性の改善や固定費の効率的なコントロールにより、収益性が一段と高まっていることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,215億円 1,392億円
売上総利益 250億円 302億円
売上総利益率(%) 20.6% 21.7%
営業利益 128億円 172億円
営業利益率(%) 10.5% 12.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が64億円(構成比49%)と大部分を占めています。また、売上原価(完成工事原価)のうち、外注費が411億円(構成比46%)、経費が239億円(同27%)、材料費が231億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の建設事業が全体の売上のほぼすべてを占めており、堅調なインフラ投資需要を背景に大きく増収となっています。一方、その他事業については、全体に占める割合はごくわずかであり、前期間と比較して微減となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
建設事業 1,212億円 1,390億円
その他 3億円 2億円
連結(合計) 1,215億円 1,392億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 104億円 137億円
投資CF -19億円 -19億円
財務CF -124億円 -130億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.0%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も71.5%と、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「新たな価値に挑戦し、創造し続ける」を経営理念として掲げています。創業以来、常に時代の最先端技術に挑戦し、建設業において特殊土木という独自の事業領域を開拓してきました。今後も新技術の開発や新たな事業領域への挑戦を通じ、人々が安心して生活できる国土の形成に貢献することを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、すべてのステークホルダーから信頼される企業であり続けるため、「誠実で健全な企業経営」を重視する文化を根付かせています。優れた技術や工法、サービスを通じて社会課題の解決に寄与し、サステナブルな社会の構築に貢献することで、社会から必要とされる企業グループを目指すという価値観を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は2025年度を初年度とする中期経営計画「Raito2027」において、創業100周年を見据えた持続的な価値提供を目指しています。最終年度である2027年度の経営数値目標として、以下の指標を掲げています。

* 売上高:1,350億円
* 営業利益:155億円
* ROE:12.5%以上
* DOE(株主資本配当率):6.0%以上
* 配当性向:50%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「技術×信頼×人財で、次世代の成長へ」を基本方針とし、4つの重点テーマを成長戦略の柱として掲げています。防災・減災分野における業界トップランナーとしてのブランド確立や、特殊土木分野での国内外におけるプレゼンス拡大を図ります。また、成長分野や人財への積極的な投資を加速し、最適な資本構成の追求による持続的な株主還元との両立を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人がいなければ技術も進化しない」という認識のもと、人財戦略を経営基盤強化の最重要テーマと位置づけています。一人ひとりが高い判断力、技術力、倫理観を持つ人財へと成長できるよう、外部機関との交流や若手向けの海外研修など教育投資を強化しています。また、女性のキャリア開発支援や健康経営の推進にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.3歳 17.5年 9,401,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.1%
男性育児休業取得率 77.8%
男女賃金差異(全労働者) 56.1%
男女賃金差異(正規雇用) 58.1%
男女賃金差異(パート・有期) 66.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 官公庁発注工事の減少


同社の事業量は全体の約7割を国内公共事業に依存しているため、国や地方自治体の公共事業予算の動向に大きく影響を受けます。民間発注工事への営業強化や海外事業の拡大によりリスク軽減を図っていますが、予想を超えて予算が削減された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 建設技能労働者の慢性的な不足


少子高齢化に伴う建設技能労働者の不足が、建設業界全体のリスクとなっています。同社は生産性向上を可能とする省人化技術の開発や、新規入職者の増加に向けた取り組みを進めていますが、労働力不足やそれに伴う労務単価の急激な上昇が生じた場合、事業運営に支障をきたすおそれがあります。

(3) 人財獲得競争の激化と社外流出


事業運営には、各種国家資格や土木・建築分野での高い専門性を持つ人財が不可欠です。今後、人財獲得の競争が激化すると予想される中、十分な施工管理人員を確保できない場合や、優秀な専門人財が社外へ流出してしまった場合、同社の業績や競争力に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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