三晃金属工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

三晃金属工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

三晃金属工業は、東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、屋根事業および建材事業を展開しています。直近の業績は、売上高が前期から増収となった一方で、経常利益および当期純利益は減益となりました。同社は、高品質な屋根・外壁のトータルソリューションを提供し、建設業界における持続的な成長を目指しています。


※本記事は、三晃金属工業株式会社の有価証券報告書(第77期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 三晃金属工業ってどんな会社?


高品質で環境に配慮した屋根空間や建材を提供する、金属屋根の総合メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1949年6月に山口県で設立されました。その後、1962年9月に東京証券取引所市場第二部に上場し、1971年10月に同市場第一部銘柄に指定されています。1990年には埼玉県に総合技術センター(現・技術開発センター)を新設し、研究開発を強化しました。2014年6月からは太陽光発電による売電事業を開始し、新たな収益源を確保しています。

同社(単体)の従業員数は520名です。筆頭株主は事業会社の日本製鉄で、第2位は事業会社の日鉄物産、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
日本製鉄 32.31%
日鉄物産 6.66%
日本カストディ銀行(信託口) 2.43%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は青木栄一氏が務めており、社外取締役の比率は約28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
青木栄一 代表取締役社長 1987年4月新日本製鐵入社。2015年4月同社薄板企画部長、2019年4月日本製鉄参与名古屋支店長を経て、2024年4月同社代表取締役社長より現職。
長野光博 取締役常務執行役員技術本部長 1985年4月同社入社。2014年4月同社大阪支店長、2021年6月同社取締役上席執行役員技術本部副本部長を経て、2024年4月より現職。
今野徹哉 取締役常務執行役員総務部長 1988年4月新日本製鐵入社。2018年4月新日鐵住金内部統制・監査部部長を経て、2025年4月同社取締役常務執行役員総務部長より現職。
福田貴之 取締役常務執行役員営業本部長 1988年4月新日本製鐵入社。2019年4月日本製鉄上海事務所長を経て、2026年4月同社取締役常務執行役員営業本部長より現職。
江口真木 取締役社長付 1985年4月新日本製鐵入社。2014年11月新日鐵住金エンジニアリング設計技術部ゼネラルマネジャーを経て、2026年6月同社取締役社長付より現職。


社外取締役は、三代元之(元大同メタル工業社長)、花里利一(元三重大学工学研究科教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「屋根事業」および「建材事業」、ならびに「その他」事業を展開しています。

屋根事業


長尺屋根工事、R-T工事、ハイタフ工事、ソーラー工事、塗装工事および長尺成型品販売を提供し、主に建設市場の顧客へ販売しています。材料は主に日本製鉄の製品を使用し、日鉄鋼板で表面処理加工を行った上で、日鉄物産を通じて仕入れています。

同事業では、工事売上や成型品販売による代金から収益を得ています。事業の運営は、主に同社および同社の子会社・関係会社が担っており、屋根材等の加工作業の一部については、深谷三晃や福知山三晃などの非連結子会社に外注しています。

建材事業


住宅成型品の販売を提供し、主にプレハブ住宅などを手掛ける住宅関連企業などの顧客向けに事業を展開しています。屋根事業と同様に、材料は日本製鉄から日鉄物産を通じて仕入れています。

同事業では、製品の販売代金から収益を得ています。事業の運営は主に同社が担っており、屋根材等の加工作業の相当部分については、深谷三晃、福知山三晃、江別三晃工作などの非連結子会社へ外注しています。

その他


太陽光により発電した電力を電力会社に卸売りする事業を提供しています。自社の施設等で発電した電力を供給しています。

同事業では、電力会社から支払われる売電料金から収益を得ています。事業の運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の売上高は一貫して増加傾向にあり、順調に事業の拡大を続けています。一方、経常利益および当期純利益については前期まで連続して増加していましたが、当期は工事原価や製造・施工強化対策費用の増加等の影響により減益に転じています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 348億円 398億円 429億円 454億円 471億円
経常利益 24億円 34億円 37億円 41億円 38億円
利益率(%) 7.0% 8.5% 8.6% 9.1% 8.2%
当期利益 16億円 24億円 26億円 29億円 26億円

(2) 損益計算書


売上高は増収を確保したものの、工事原価等の増加により売上総利益は減少しました。それに伴い、営業利益および営業利益率も前期と比較して低下しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 454億円 471億円
売上総利益 88億円 85億円
売上総利益率(%) 19.5% 18.1%
営業利益 41億円 38億円
営業利益率(%) 9.1% 8.0%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が20億円(構成比33.0%)、その他が11億円(同18.7%)、賞与が7億円(同12.3%)を占めています。また、売上原価のうち、完成工事原価が310億円(構成比83.2%)、製品売上原価が62億円(同16.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の屋根事業は、工事の順調な進捗および成型品販売の増収により売上高が増加したものの、利益面では減益となりました。一方、建材事業は売上がやや減少したものの、利益面では増益を確保しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
屋根事業 419億円 437億円 40億円 37億円 8.4%
建材事業 34億円 33億円 0.5億円 0.6億円 1.8%
その他 0.8億円 0.8億円 0.5億円 0.5億円 68.4%
連結(合計) 454億円 471億円 41億円 38億円 8.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に該当します。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 36億円 26億円
投資CF -8億円 -104億円
財務CF -8億円 -21億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.7%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.1%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「快適で環境に優しい屋根空間を創造し、社会に貢献する」ことを使命としています。現場力を磨き、専門性を活かした高品質の建築作品とサービスを提供し、誠実と勤勉を旨として信頼に応える行動を重んじ、人を育て活かす活力あふれる企業であり続けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、すべてのステークホルダーから信用・信頼され、選ばれる企業として社会に貢献する文化を重視しています。安全・法令遵守への取り組みを継続的に行い、個性を活かす多様な価値観を尊重し、現場力を磨くことで高品質な建築作品とサービスを提供する姿勢を根付かせています。

(3) 経営計画・目標


同社は、「業界最高レベルの商品力・営業力・工事力」による好循環を創出し、圧倒的な総合力で業界をリードすることを目標としています。中長期的な取り組みとして、安全・法令遵守への取り組みを継続するとともに、施工品質と製造品質の向上に向けた管理体制の強化を進めています。

(4) 成長戦略と重点施策


営業面では、技術提案を中心にした設計織込み営業の強化に注力し、競争力のある商品と工法を市場に投入して受注の拡大を図っています。また、資材や労務などのコストアップの価格転嫁と、施工治具の改善等による現場生産性の向上を進め、一層のコスト低減による利益確保に努めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社の最大の財産は「人」であり、多様な社員の力の結集が企業力であるとの認識のもと、人材育成を最も重要な仕事と位置づけています。OJT研修を基本とし、階層別研修や資格取得などの自己研鑽支援により、多様な人材が能力を発揮し、誇りとやりがいを持って活躍できる環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.7歳 18.0年 8,560,679円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -%
男性育児休業取得率 46.2%
男女賃金差異(全労働者) 50.6%
男女賃金差異(正規雇用) 53.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 71.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性総合職新卒採用目標(2〜3名/年)、女性採用実績(7名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設市場における競争激化

屋根事業においては、競合他社との間で競争状態にあります。新築需要の減少など建設市場の縮小が継続し、受注競争の激化から受注価格が下落した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は差別化商品の開発や施工管理力の強化等により、競争力の維持に努めています。

(2) 主要資材価格の変動リスク

屋根事業において、中東情勢の影響等による主要資材価格の高騰が生じ、それを受注価格に反映することが困難な場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は調達先との価格交渉や分散化、資材の早期発注などの原価低減努力により、損益への影響を最小限に抑えるよう取り組んでいます。

(3) 重大事故の発生リスク

屋根事業は作業環境や作業方法から危険を伴うことも多く、人身や施工物に関わる重大な事故が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は徹底した安全教育の実施や危険予知活動、安全パトロールの推進などにより、災害の撲滅に努めています。

(4) 協力会社の確保に係るリスク

工事の施工管理を行っているため、優秀な協力会社の確保や育成が不可欠です。将来、主要な協力会社に不測の事態が発生した場合、納期遅延などの問題が生じる可能性があります。同社は継続取引協力業者の組織強化による施工能力の向上を推進し、リスクの軽減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。