【平均年収751万円】南海辰村建設 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収751万円】南海辰村建設 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

南海辰村建設は、建設事業と不動産事業を主軸に、グループ各社とともに事業を展開しています。直近期は売上高が減少したものの、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は増加しました。


目次

※本記事は、南海辰村建設株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月15日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


南海辰村建設は、建設事業と不動産事業を主軸に事業を展開しています。同社グループは、連結子会社2社と親会社の南海電気鉄道株式会社で構成され、各事業に付帯関連する活動も行っています。

単体従業員数は458名、連結従業員数は511名です。セグメントは建設事業、不動産事業の2つです。

主な国内グループ会社は、南海電気鉄道(運輸事業・不動産事業)、南海建設興業(建設事業)などです。

なお、親会社である南海電気鉄道は、2026年4月1日付で鉄道事業を分社化し、株式会社NANKAIに社名変更しています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


南海辰村建設は、建設業を主軸とする企業として、安定した事業基盤のもとで従業員のキャリア形成と働きがいを重視しています。同社グループでは、長期的な視点での人材育成と、多様な働き方を支える環境整備に力を入れています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員が長く活躍できる環境が整っている傾向が見られます。平均勤続年数と平均年齢からは、中堅からベテラン層が厚く、安定してキャリアを築いている従業員が多いことがうかがえます。

項目 数値
平均年間給与 7,512,000円
平均勤続年数 17.9年
平均年齢 44.7歳
単体従業員数 458人
連結従業員数 511人
単体のグループ内比率 89.6%


同社グループは、国内の当社および連結子会社を対象に退職給付制度を設けています。確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

退職給付債務は23.9億円、年金資産は29.3億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


南海辰村建設は、建設業における人財を事業の根幹と位置づけ、3カ年経営計画に基づき「人財の量的確保と質の向上」を最重要課題としています。特に「人財の確保」「人財の育成」「働きがいの追求」「組織風土改革」の4つの領域に注力しています。サステナブル経営の考え方に基づき、ESGの取り組みとしてダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。

給与・賞与制度は「基本給」「各種手当」「賞与」で構成されており、個々人の役割・成果・専門性を処遇に反映する報酬体系を構築しています。基本給は等級ごとの給与額に対し、成果評価と行動評価に基づく人事評価の積み上げにより決定されます。各種手当としては、役職手当、作業所手当、公的資格取得者への免許手当が支給され、資格取得支援も行っています。賞与は直近の人事評価と会社(部門)業績に基づき決定されており、目標達成へのモチベーション向上を図っています。

人財の確保に向けては、採用戦術の強化と見直しを進めており、多様なツールでの情報発信や全国規模での学校訪問、奨学金返還支援、初任給引き上げ、キャリア採用強化、外国人労働者受入体制整備などに取り組んでいます。人財の育成では、企業内学校「NTアカデミー」を再構築・拡充し、技術系若年社員からスペシャリスト、ビジネスパーソンとしての基本力向上を目指すプログラムを展開しています。働きがいの追求と組織風土改革では、働きやすい職場環境の整備や人事処遇制度の見直し、タレントマネジメントシステムの活用、コミュニケーション活性化、ダイバーシティ&インクルージョンの浸透を進めています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、賃金制度・体系において性別による差異はないものの、男女の平均勤続年数の差に伴う役職別人数構成の差異によるものです。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 2.0%
男性労働者の育児休業取得率 22.2%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 65.1%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 69.3%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 35.2%

人材育成・エンゲージメント

指標 数値
全従業員の資格保有率(2025年度実績) 71.7%
離職率(過去5年平均実績) 5.4%

有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


南海辰村建設グループは、建設事業と不動産事業を主な内容として事業を展開しています。これらの事業に付帯関連する活動も行い、多角的な収益モデルを構築しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、建設工事の請負と不動産の売買・賃貸を主な収益源としています。特に建設事業が事業規模の大部分を占めており、不動産事業は比較的小規模な位置づけとなっています。親会社である南海電気鉄道株式会社からの建設工事受注も収益の一部を構成しており、特定の顧客への収益集中が見られます。

建設事業

同社は、建築、土木、電気工事全般に関連する事業を行っています。収益は、これらの建設工事の請負から得ています。運営は、南海辰村建設が中心となり、連結子会社である南海建設興業が建設用仮設資材の調達を、また他の連結子会社が施工の一部を担っています。

不動産事業

同社は、不動産の売買及び賃貸事業を行っています。収益は、不動産の賃貸収入や売買取引から得ています。運営は、南海辰村建設が行っています。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
建設事業 528億円 456億円
不動産事業 1.9億円 1.8億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は変動が見られます。当連結会計年度の売上高は前期から減少しましたが、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は前期から増加しています。これは、建設業界における建設資材価格の高止まりや労働者不足といった厳しい経営環境の中でも、利益改善が進んだことを示しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 372億円 424億円 436億円 529億円 458億円
経常利益 18.7億円 18.2億円 16.2億円 23.9億円 28.6億円
経常利益率 5.0% 4.3% 3.7% 4.5% 6.2%
親会社株主に帰属する当期純利益 13.1億円 19.0億円 11.0億円 17.1億円 20.9億円
1株当たり当期純利益(円) 45.46 65.80 38.17 59.48 72.61

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたりの稼ぐ力を見ると、生産性の変化がうかがえます。従業員1人あたり売上高(連結)は前期から減少していますが、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から増加しています。これは、売上高が減少した一方で、利益率の改善や効率的な事業運営が進んだことを示しており、組織全体の収益体質が強化されている傾向にあると言えます。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 105.5百万円 89.6百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 4.7百万円 5.6百万円

業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


南海辰村建設は、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを特徴としています。本業で着実に資金を生み出し、将来に向けた投資もバランス良く行っている状況です。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROEの推移から安定性がうかがえます。当期の自己資本比率は56.2%で、前期の40.3%から大きく向上しました。これはプライム市場の製造業平均(46.8%)と比較しても高い水準にあります。

ROE(自己資本利益率)も当期11.3%と、前期の10.4%から改善しており、プライム市場平均(9.4%)を上回っています。手元資金である現金及び預金も当期は66.9億円と、前期の39.3億円から増加しており、不況時にも耐えうる資金的な厚みがあることを示しています。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営を維持し、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる堅実な基盤を持っていることを示しています。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 173億円 197億円
自己資本比率 40.3% 56.2%
ROE(自己資本利益率) 10.4% 11.3%
現金及び預金 39.3億円 66.9億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローは、当期に大きな改善を見せています。本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、前期の△61.3億円から当期は84.5億円のプラスに転じました。これは主に売上債権及び契約資産の減少などが寄与しています。

投資活動によるキャッシュフローは、投資有価証券の取得による支出が増加したことなどにより、当期は△3.1億円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュフローは、借入金の減少などにより、前期の39.3億円のプラスから当期は△53.8億円のマイナスに転じています。結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは当期81.4億円のプラスとなり、本業で十分な資金を生み出し、財務的な健全性を保っている状況です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた基盤を維持していることを示しており、従業員の雇用安定性や給与水準の維持にもつながると考えられます。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF △61.3億円 84.5億円
投資CF △1.4億円 △3.1億円
財務CF 39.3億円 △53.8億円
フリーCF(営業CF+投資CF) △62.7億円 81.4億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、建設市場の縮小が業績に影響を及ぼす可能性をリスクとして認識しています。また、建設資材価格や労務単価の高騰、調達遅れなどにより、工事原価が上昇し利益率が低下するリスクも挙げています。これらの市場環境やコスト変動は、同社グループの収益性に影響を与える可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、労働人口の減少や建設業界における人手不足を背景に、人財の確保に支障をきたすリスクを認識しています。新規・中途採用の停滞や離職者の増加は、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


南海辰村建設は、建設事業を通じて社会に貢献し、時代の変化に対応しながら持続的な成長を目指す企業です。同社グループは、創造と技術の向上を追求し、未来への挑戦を続けています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


南海辰村建設は、建設事業を通じて自然環境と調和した豊かな社会づくりに貢献することを経営の基本方針としています。同社グループは、常に創造と技術の向上に努め、時代の変化に即応した柔軟な発想と進取の行動で新たな事業に挑戦し、社業の躍進を図ることを目指しています。

また、「3カ年経営計画(2025~2027)」では、「変革」と「成長」の3年間をスローガンに掲げ、「未来への挑戦、ともにここから」というメッセージを発信しています。この計画を通じて、持続的な企業価値の向上を目指しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


南海辰村建設では、「挑戦と変革」を繰り返しながら持続的な企業価値の向上に努め、人と地球にやさしいまちづくりを通じてサステナブルな社会の実現を目指す「サステナブル経営」を掲げています。同社グループは、常に創造と技術の向上に努め、柔軟な発想と進取の行動で新たな事業に挑戦することを重視しています。

また、人財の確保・育成と働きがいの追求を通じて、従業員エンゲージメントの向上に努めることを大切にしています。多様な人財がそれぞれの能力を発揮できる職場環境の整備にも取り組んでいます。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


南海辰村建設では、建設技術者や技能労働者の減少と高齢化が進む厳しい経営環境を課題として認識しています。この状況に対し、同社グループは「人財の確保・育成」を最優先かつ最重要課題と位置付けています。

具体的には、全社を挙げた戦略的採用活動を推進し、人財育成体制「NTアカデミー」の実効性向上に取り組んでいます。また、働きがいを高める施策を通じて従業員エンゲージメントの向上に努めています。

さらに、DX推進による生産性の向上や、受注から竣工までのオペレーション改革を実施することで、建設事業における競争優位性の強化を図っています。ESGの取り組みとして、環境経営の推進や企業ガバナンスの強化を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することも重点テーマとしています。

会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能の強化と透明性の高い企業経営を重視しています。社外取締役を含む取締役会と監査等委員会が連携し、経営の適正化に努める体制です。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


同社グループの筆頭株主は事業会社である南海電気鉄道です。上位株主には関連会社が複数名を連ねており、特定のグループが同社グループの経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。

株主名 持株比率
南海電気鉄道 57.71%
住之江興業 3.02%
奥村組 2.78%


なお、南海電気鉄道は、2026年4月1日付で鉄道事業を分社化し、株式会社NANKAIと社名変更しております。

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役社長は浦地紅陽氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
高 木 俊 之 代表取締役取締役会長 1983年4月南海電気鉄道入社、同社代表取締役を経て、2023年6月より同社代表取締役取締役会長。
奥 村 透 取締役専務執行役員土木本部長 1985年4月南海電気鉄道入社、2017年6月同社取締役、2020年6月同社専務執行役員、同社土木本部長より現職。
楠 岡 英 人 取締役専務執行役員経営統括本部長 1993年4月南海電気鉄道入社、2024年6月同社取締役、2026年4月同社専務執行役員、同社経営統括本部長より現職。
﨑 井 威 洋 取締役 1980年4月東海興業入社、2011年10月同社入社、2023年6月同社取締役、同社東京支店長より現職。
吉 田 成 夫 取締役 1983年4月同社入社、2025年6月同社取締役、同社大阪建築本部長より現職。


社外取締役は、土居和良氏(元日本政策投資銀行参事役・監査等委員)、中川美雪氏(中川美雪公認会計士事務所所長・監査等委員)、岸本一藏氏(近畿大学建築学部教授・監査等委員)、今枝史絵氏(弁護士法人御堂筋法律事務所パートナー・監査等委員)です。

同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役4名を含む取締役11名で構成される取締役会と、独立社外取締役4名で構成される監査等委員会による体制を構築しています。これにより、経営の監視機能と透明性の確保に努めています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社の役員報酬は、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)に対しては月例固定の金銭報酬を支給しています。執行役員兼務者には、担当事業の業績に連動した要素を加味した固定報酬額を支給する仕組みです。監査等委員である取締役の報酬は、監査等委員全員の協議により決定されています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(監査等委員及び社外除く) 7名 85百万円 12.1百万円
監査等委員(社外除く) 1名 7百万円 7.0百万円
社外役員 7名 17百万円 2.4百万円


※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

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この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。