RISE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

RISE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

RISEは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、法人向けの不動産賃貸事業と不動産管理事業を主力とする企業です。直近の業績は新規の管理受託契約の獲得等により増収を達成し、徹底した合理化を進めたことで利益率の改善も図られており、恒常的な黒字体質への転換に向けた歩みを着実に進めています。


※本記事は、株式会社RISEの有価証券報告書(第80期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. RISEってどんな会社?


法人向けの不動産賃貸と物件の総合的な管理サービスを展開し、安定稼働を支える企業です。

(1) 会社概要


同社は1947年に吉田建設興業として設立され、1963年に吉田工務店へ商号変更して総合建設業者として事業を展開しました。1965年から不動産事業へ進出し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしています。2009年に現在のRISEへ商号変更し、2011年には建設業を廃止して不動産事業へ注力する体制へと移行しました。

現在の従業員数は連結で11名、単体で3名という少数精鋭の体制を敷いています。筆頭株主は親会社であるヨウテイホールディングス合同会社が過半数の株式を保有しており、第2位は個人の小松稔氏、第3位は事業会社であるチンタイバンクとなっています。

氏名 持株比率
ヨウテイホールディングス合同会社 53.99%
小松 稔 4.09%
チンタイバンク 3.96%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は芝辻直基氏が務めており、社外取締役比率は16.7%です。

氏名 役職 主な経歴
芝辻 直基 取締役社長(代表取締役) 1982年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入社。極東証券や各種不動産アセットマネジメント会社の代表取締役、サムティアセットマネジメント等を経て、2017年より現職。
山口 達也 取締役 1994年NISグループ入社。ニッシン債権回収(現ブルーホライゾン債権回収)常務取締役、プレスト取締役等を経て、2016年より現職。


社外取締役は、森岡幸人(オリンポス債権回収代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産賃貸事業」および「不動産管理事業」の2つの報告セグメントで事業を展開しています。

不動産賃貸事業


法人企業向けに商業施設や社員寮などの不動産物件を賃貸する事業を展開しています。主な賃貸物件として遊技場施設や法人企業向け社員寮施設などを保有しており、それぞれ賃貸先の法人企業と賃貸借契約を締結し、安定的な物件稼働を維持しています。

主な収益源は、賃貸先である法人企業(テンガイなど)から毎月受け取る不動産賃貸料です。事業の運営は同社(親会社)が主体となって行っており、定期的な保守点検の実施やリノベーションの提案などを通じて、賃貸借契約の長期的な継続と稼働率の維持を図っています。

不動産管理事業


不動産物件のオーナーやユーザーの視点に立った総合的な不動産管理サービスを提供しています。建物の設備保守管理、清掃、警備、テナント管理などの日常業務に加え、老朽化した建物の外装や設備などの更新・修繕、リノベーション工事などの積極的な提案と実施を行っています。

主な収益源は、不動産物件のオーナーとの不動産管理受託契約に基づいて毎月受け取る管理手数料です。本事業は連結子会社であるFREアセットマネジメントが主体となって運営を行っており、空室期間の短縮による稼働率向上を通じて安定的な収益基盤を構築しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が3億円から4億円規模で安定的に推移しており、直近では新規受託契約の獲得等により増収を達成しています。経常利益も継続して黒字を確保し、利益率は改善傾向にあります。一方で、当期利益は一時的な特別要因等により変動が大きく、直近では赤字を計上しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 4億円 3億円 3億円 4億円 4億円
経常利益 -0.1億円 0.1億円 0.1億円 0.3億円 0.5億円
利益率(%) -2.2% 2.9% 3.7% 8.9% 11.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.6億円 -0.8億円 -0.6億円 3億円 -0.3億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しており、80%を超える高い水準の粗利率を維持しています。販管費の増加を吸収し、本業の儲けを示す営業利益と営業利益率も着実に改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 4億円 4億円
売上総利益 3億円 4億円
売上総利益率(%) 83.8% 85.7%
営業利益 0.3億円 0.5億円
営業利益率(%) 8.9% 10.9%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が0.7億円(構成比21%)、役員報酬が0.6億円(同19%)、給与手当が0.6億円(同18%)を占めています。また、売上原価の多くは保有する不動産施設に関わる減価償却費が占めており、0.4億円(構成比72%)となっています。

(3) セグメント収益


セグメント別の状況を見ると、不動産賃貸事業は賃貸収入が安定的に推移し、前年並みの売上を確保しています。一方、不動産管理事業は新規の不動産管理受託契約の締結や管理物件の入れ替えが寄与して売上高が大きく伸長し、全社の増収および利益拡大を力強く牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
不動産賃貸事業 2億円 2億円 -0.2億円 -0.2億円 -9.8%
不動産管理事業 2億円 3億円 1億円 1億円 42.2%
調整額 - - -0.5億円 -0.4億円 -
連結(合計) 4億円 4億円 0.3億円 0.5億円 10.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業の営業活動で生み出した資金を元手に、将来の成長に向けた投資と借入金の返済などの財務活動を手元資金でバランスよく賄っている健全型の状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 0.6億円 0.5億円
投資CF 0.1億円 -0.2億円
財務CF -5億円 -0.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は91.6%で市場平均を大幅に上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「恒常的な黒字体質への転換を図る」ことを重要な経営方針として掲げています。不動産物件オーナーやユーザーの視点に立ち、空室期間の短縮や稼働率向上に貢献するソリューションを提供することで、景気動向や市況の変動に影響されにくい強固な経営基盤の確立を目指しています。

(2) 企業文化


同社はサステナビリティ経営を重視し、環境保全に向けた資源保護活動に取り組むとともに、人材の多様性確保を推進する企業文化を持っています。性別・年齢・国籍・人種等にかかわらず、従業員一人ひとりの個性を活かせる働きやすい職場環境の整備に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社は持続的な成長に向け、業務の合理化とサステナビリティに関する定量的な目標を設定して経営を進めています。

・日常業務で使用するコピー枚数や備品等の購入実績を毎期前年下回る水準に削減
・女性従業員比率30.0%の継続的な維持

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、賃貸先の経営環境等の情報収集を強化して事業環境の変化に迅速に対応するとともに、不動産の稼働率向上に向けたリノベーション等の提案を推進する方針です。また、今後の管理受託物件数の増加にも対応できる組織体制の構築を進め、事業規模の拡大を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社の人材戦略は、多様性を重視した職場環境の構築を基本方針としています。従業員一人ひとりの個性を活かし、社員の成長や活躍の機会を公平に提供することに注力しています。また、不動産管理事業における専門的なノウハウを持つ人材の確保と育成を重要課題として位置づけています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 63.0歳 16.9年 5,192,000円


※平均年間給与は基準外賃金および賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(28.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢と不動産市況の影響


景気動向や新しい生活様式の推進などにより、不動産賃貸事業における商業施設の営業活動に影響を与え、賃料減額の要請や賃貸物件の稼働率低下が生じるリスクがあります。これに対し、同社は賃貸先の経営環境情報の収集と迅速な対応に努めています。

(2) 賃貸借契約の更改リスク


賃貸借契約の期間満了時に契約が更改されない、または契約期間中であっても中途解約されるリスクがあります。大口の賃貸先との契約が終了した場合、賃貸事業の売上高が減少し、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 専門ノウハウを持つ人材の確保


不動産管理事業を推進するうえで、管理物件の設備維持管理や稼働率向上のための営業活動など、専門ノウハウを保有する人材が必要不可欠です。今後、管理物件の増加が見込まれる中、必要な人材を確保できない場合は事業推進に支障を来すリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。