#記事タイトル:佐藤渡辺転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社佐藤渡辺 の有価証券報告書(第94期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 佐藤渡辺ってどんな会社?
舗装工事・土木工事を主体とする建設会社で、アスファルト合材の製造販売も手掛ける道路建設の老舗企業です。
■(1) 会社概要
1938年12月に株式会社渡辺組として設立され、1963年に舗装材料の製造販売を開始しました。1993年の店頭登録を経て、2005年に佐藤道路と合併し現社名へ変更しました。2022年の東証市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。
連結従業員数は531名、単体では464名です。筆頭株主は同社の持分法適用関連会社でもある佐藤工業で、第2位は資産管理会社の有限会社創翔、第3位は同業の東亜道路工業です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐藤工業 | 20.87% |
| 有限会社創翔 | 10.63% |
| 東亜道路工業 | 7.74% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長社長執行役員は鎌田修治氏です。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鎌田 修 治 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1986年渡辺組入社。工事本部工務部長、執行役員施設工事支店長、常務執行役員経営企画室長を経て、2024年6月より現職。 |
| 金井 義 治 | 代表取締役専務執行役員管理本部長 | 1982年佐藤道路入社。管理本部管理部長、経営企画室長、取締役常務執行役員管理本部長を経て、2024年6月より現職。 |
| 大山 龍 美 | 取締役常務執行役員営業本部長兼技術営業部長 | 1983年渡辺組入社。西日本支店長、執行役員九州支店長、常務執行役員営業本部長兼技術営業部長を経て、2024年6月より現職。 |
| 橋本 秀 浩 | 取締役常務執行役員工事本部長 | 1985年渡辺組入社。東北支店工事部長、執行役員関東支店長、常務執行役員工事本部長兼安全環境部長を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、古川裕二(元りそな銀行代表取締役副社長)、岡田英理香(一橋大学大学院教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建設事業」および「その他」事業を展開しています。
■建設事業(工事部門)
舗装・土木等に係る建設工事の受注、施工を行っています。官公庁や民間企業を顧客とし、道路の新設・維持修繕工事や一般土木工事などを手掛けています。
工事請負代金が主な収益源です。運営は同社および連結子会社の拓神建設、創誠、弘永舗道、あすなろ道路、小石川建設が行っています。
■建設事業(製品等販売部門)
アスファルト合材および関連製品の製造・販売を行っています。道路舗装会社等を顧客とし、各地域の合材工場から製品を供給しています。
製品の販売代金が収益源です。運営は主に同社と連結子会社の弘永舗道およびあすなろ道路が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2023年3月期に利益率が低下しましたが、その後回復傾向にあります。売上高は300億円台後半から400億円台で推移しており、直近の2025年3月期は増収となりましたが、利益面では減益となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 399億円 | 375億円 | 347億円 | 384億円 | 404億円 |
| 経常利益 | 29億円 | 26億円 | 7億円 | 18億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 7.2% | 6.9% | 2.0% | 4.6% | 3.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 19億円 | 17億円 | 4億円 | 12億円 | 9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しましたが、売上原価の増加率が売上高の伸びを上回ったため、売上総利益および営業利益は減少しました。利益率は低下しており、コストコントロールが課題となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 384億円 | 404億円 |
| 売上総利益 | 41億円 | 35億円 |
| 売上総利益率(%) | 10.6% | 8.8% |
| 営業利益 | 17億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 4.3% | 2.9% |
販売費及び一般管理費のうち、その他経費が11億円(構成比47%)、従業員給料手当が10億円(同44%)を占めています。
■(3) セグメント収益
工事部門、製品等販売部門ともに売上高は横ばいから微増で推移しています。工事部門が売上高の大部分を占めています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 工事部門 | 337億円 | 357億円 |
| 製品等販売部門 | 47億円 | 47億円 |
| 連結(合計) | 384億円 | 404億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
佐藤渡辺の当連結会計年度における資金は、前連結会計年度末に比べ減少しました。営業活動による資金は、売上債権の増加と仕入債務の減少により減少しました。投資活動による資金は、有形固定資産の取得による支出により減少しました。財務活動による資金は、短期借入による増加となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 35億円 | -40億円 |
| 投資CF | -4億円 | -6億円 |
| 財務CF | -4億円 | 20億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「真心こめた『みち』への挑戦 ~安心と感動を~」をパーパスとして掲げています。また、「社会の求めるものに応えることを通し、社会に奉仕する」という経営信条のもと、ステークホルダーの期待に応え、信頼され続ける企業を目指しています。
■(2) 企業文化
「誠実 創造 最高の技術」を社是としています。100年企業であるという誇りと伝統を継承しながらも、変化に対応する柔軟性と学習意欲を持つ組織文化の醸成に努めています。公正な事業活動を実現するため、コーポレートガバナンスの強化やコンプライアンスの徹底も重視しています。
■(3) 経営計画・目標
「佐藤渡辺グループ中期経営計画(2024~2026年度)」において、以下の2026年度数値目標を掲げています。
* 売上高:420億円以上
* 営業利益:20億円以上
* 当期純利益:13億円以上
* ROE:6.5%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「収益力の向上」「資本・財務戦略の強化」「ESG経営の推進」を基本方針としています。工事部門では公共工事における提案力の向上やDX推進、民間営業の強化に取り組み、環境景観工事の展開も図ります。製品部門では中温化アスファルト混合物の使用促進や高付加価値製品の販売に注力します。
* 配当金額:80円以上
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材が能力を活かして活躍できる職場づくりを目指し、特に「健康(心・身体)」と「教育」を中心に人材育成を行っています。階層別研修や専門知識習得のための教育に加え、資格取得のバックアップ体制を整えています。また、ワークライフバランスの推進やハラスメント防止対策にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 43.9歳 | 19.1年 | 6,838,559円 |
※平均年間給与は、基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.2% |
| 男性育児休業取得率 | 11.1% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.2% |
| 男女賃金差異(正規) | 67.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | 59.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 受注環境について
道路舗装工事および一般土木建築工事の受注環境は、官公庁の公共投資や民間設備投資の動向に大きく左右されます。投資抑制要因が生じた場合、経営成績に影響を与える可能性があります。これに対し、投資動向の早期把握と人材配置の最適化による経営効率化を図っています。
■(2) 資材価格の変動
主要原材料であるストレートアスファルトの仕入価格上昇や、建設資機材価格の高騰が発生し、これを製品価格や工事請負代金に転嫁できない場合、経営成績に影響を与える可能性があります。市況の常時把握と早期の原価検討により、影響の最小化に努めています。
■(3) 法的規制等について
建設業法等の法的規制を受けており、法令違反等が生じた場合は営業停止処分などにより経営成績に影響を与える可能性があります。同社は過去に談合による営業停止処分を受けており、コンプライアンスの徹底と再発防止に向けた内部統制システムの強化に取り組んでいます。



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