※本記事は、株式会社佐藤渡辺の有価証券報告書(第95期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 佐藤渡辺ってどんな会社?
舗装・土木工事を中心とした建設事業とアスファルト合材の製造・販売を展開しています。
■(1) 会社概要
1938年に渡辺組として設立され、道路舗装工事や土木建築工事を請け負ってきました。1963年に舗装材料の製造および販売を追加し、1993年に株式店頭登録を行いました。2004年のジャスダック上場を経て、2005年に佐藤道路と合併し現在の佐藤渡辺に商号変更しました。2022年にスタンダード市場へ移行しています。
従業員数は連結537名、単体451名です。筆頭株主は事業会社である佐藤工業で、第2位は有限会社創翔、第3位は事業会社である東亜道路工業です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐藤工業 | 20.82% |
| 有限会社創翔 | 10.61% |
| 東亜道路工業 | 7.73% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長は鎌田修治です。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鎌田修治 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1986年渡辺組入社。工事本部工務部長、執行役員施設工事支店長、常務執行役員経営企画室長を経て、2024年6月より現職。 |
| 金井義治 | 代表取締役専務執行役員管理本部長 | 1982年佐藤道路入社。管理本部経理部長、経営企画室長等を歴任。2024年6月に代表取締役専務執行役員に就任し、2026年4月より現職。 |
| 大山龍美 | 取締役常務執行役員営業本部長兼技術営業部長 | 1983年渡辺組入社。西日本支店長、九州支店長、営業本部営業部長等を経て、2024年6月より現職。 |
| 橋本秀浩 | 取締役常務執行役員工事本部長 | 1985年渡辺組入社。東北支店工事部長、執行役員関東支店長等を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、古川裕二(元りそな決済サービス社長)、岡田英理香(一橋大学大学院教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建設事業」を展開しています。
■(1) 工事部門
舗装工事や土木工事などの建設工事の請負や施工を行っています。官公庁からの公共投資によるインフラ整備や、民間企業の設備投資に伴う工事を広く受注し、社会インフラの構築と長寿命化に貢献しています。
収益源は、顧客である官公庁や民間企業からの工事請負代金です。運営は主に佐藤渡辺が行うほか、連結子会社の拓神建設、創誠、弘永舗道、あすなろ道路、小石川建設などもそれぞれ建設工事を受注し施工を担っています。
■(2) 製品等販売部門
道路の舗装に使用されるアスファルト合材および関連製品の製造と販売を行っています。自社の工事部門での使用に加え、外部の建設業者等へも付加価値のある製品を幅広く供給しています。
収益源は、製造したアスファルト合材等の製品販売による代金です。運営は佐藤渡辺のほか、連結子会社の弘永舗道およびあすなろ道路が行っており、グループ内の各建設会社へも製品を販売し連携を深めています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が300億円台から400億円台の間で推移していますが、当期は建設事業における営業停止処分の影響等により減少しました。経常利益は資材価格の高騰などにより変動が見られるものの、採算性の改善や適切な価格転嫁を進めることで、一定の利益水準を確保しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 375億円 | 347億円 | 384億円 | 404億円 | 337億円 |
| 経常利益 | 26億円 | 7億円 | 18億円 | 13億円 | 14億円 |
| 利益率(%) | 6.9% | 2.0% | 4.6% | 3.3% | 4.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 17億円 | 4億円 | 12億円 | 9億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少したものの、徹底した採算性の改善と製品販売における適切な価格転嫁により、売上総利益は前期と同水準を維持し、利益率は向上しました。営業利益についても利益率の改善が見られます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 404億円 | 337億円 |
| 売上総利益 | 35億円 | 35億円 |
| 売上総利益率(%) | 8.8% | 10.5% |
| 営業利益 | 12億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 2.9% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が11億円(構成比44%)、その他(雑費等)が11億円(同44%)を占めています。また、売上原価においては、材料費が47億円(構成比24%)、外注費が56億円(同29%)、経費が59億円(同30%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローはプラス、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に分類されます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -40億円 | 51億円 |
| 投資CF | -6億円 | -4億円 |
| 財務CF | 20億円 | -33億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「パーパス」として「真心こめた『みち』への挑戦 ~安心と感動を~」を掲げています。また、「経営信条」として社会の求めるものに応えることを通して社会に奉仕し、会社の存続発展を図るに足る相応の利益を挙げることを目指しています。ステークホルダーから信頼され続ける企業となることを目標としています。
■(2) 企業文化
同社は「社是」として「誠実 創造 最高の技術」を掲げ、人と地球にやさしい環境技術を追求する企業文化を大切にしています。持続的収益を基盤として、社員に安心・安全を与える企業を目指し、将来を見据えた技術開発や人財育成、設備への投資を積極的に行う行動様式が定着しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的な成長に向けて安定的な収益の確保と財務基盤の強化に努めており、「佐藤渡辺グループ中期経営計画2026年度数値目標」において、以下の修正計画の目標値を設定しています。
* 売上高 380億円
* 営業利益 11億円
* 当期純利益 9億円
* ROE 3.9%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同グループは「変革と学習文化の醸成および持続可能性への取り組み」をテーマに、収益力の向上、資本・財務戦略の強化、ESG経営の推進を基本方針としています。工事部門では公共工事での提案力向上や民間営業の強化、DXの推進を図り、環境に配慮した景観舗装の展開を進めます。また、人的資本や脱炭素社会へ向けた投資を実施します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、ESG経営の推進のもと、人的資本価値の向上に向けて、従業員の成長を支える教育や働きやすい環境の整備、多様性を尊重した人材戦略を推進しています。次世代の担い手の確保と育成を積極的に行い、充実した社内研修や幹部社員研修を通じてリーダーの創出を図り、従業員エンゲージメントの向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.2歳 | 19.3年 | 7,089,637円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.3% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 68.4% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 51.0% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方および取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、2025年度のScope1+2のCO2排出量(13,747t-CO2e)、Scope3のCO2排出量(76,633t-CO2e)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 顧客に関する信用リスク
同社グループが有する完成工事未収入金・貸付金などの債権について、顧客に債務不履行が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。これに対し、与信管理規程に基づく受注可否の徹底や未収入金の管理強化に努めています。
■(2) 受注環境の変動リスク
道路舗装工事や一般土木工事の受注環境は、官公庁の公共投資や民間設備投資に大きく依存しています。投資の大幅な抑制が生じた場合、業績に影響が及ぶため、投資動向の早期把握と人材配置の最適化による効率化を図っています。
■(3) 資材価格の高騰リスク
アスファルト合材の原材料であるストレートアスファルト等の仕入価格や、工事における資機材価格が上昇し、それを製品価格に転嫁できない場合、業績に影響を及ぼす恐れがあります。原材料市況の早期把握と原価検討を実施して影響を最小限に抑えます。



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