※本記事は、タカセ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
タカセグループは、国内外で「運送」「保管」「作業」といった物流サービスを組み合わせて提供する総合物流事業を展開しています。顧客の多様なニーズに応じた利用運送、保管、倉庫内オペレーションなどのサービスを提供しています。
単体従業員数は61名、連結従業員数は199名です。セグメントは総合物流事業、運送事業、流通加工事業、その他の事業の4つです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
タカセは、平均勤続年数が長く、従業員が安定して働き続ける傾向が見られる企業です。多様な人材の確保と育成にも力を入れており、働きやすい環境づくりへの取り組みも進められています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着率が高い傾向にあり、長期的なキャリア形成が期待できる環境です。平均年齢も比較的高く、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,795,000円 |
| 平均勤続年数 | 18.1年 |
| 平均年齢 | 45.2歳 |
| 単体従業員数 | 61人 |
| 連結従業員数 | 199人 |
| 単体のグループ内比率 | 30.7% |
同社および一部の連結子会社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の制度を設けています。適用範囲は、同社および一部の連結子会社を対象としています。
退職一時金制度があり、勤務期間が2年以上の従業員を対象としています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
タカセグループは、社訓である「まごころ」を従業員に対しても重視し、顧客や社会だけでなく従業員への奉仕の心を持って仕事に取り組むことを掲げています。人材の確保と育成を経営上の重要なリスクと認識しており、将来の成長実現のためには、先見性があり実行力とリーダーシップを備えた有能かつ多様な幹部人材の確保と育成が不可欠と考えています。このため、新卒採用に加え、中途採用も積極的に行っています。
従業員の人権尊重、機会均等、性別等による差別の禁止を企業行動指針で周知しており、心身の健康維持を目的とした健康診断やストレスチェックも実施しています。給与や賞与は、上下期の人事考課の結果に基づき、賞与の支給額、昇給および昇格が決定されます。人事考課は所属長、所管本部長の評価を経て、人事部門担当役員である管理本部長により最終評価がなされ、定例取締役会で報告されています。給与および賞与の金額は、「月給賃金規則」および「年俸制賃金規則」により定められています。
人材の多様性の確保と育成を優先すべき課題と位置付け、中長期的な発展のためには性別、年齢、人種、国籍等に拘らない採用が必要であると認識しています。近年の人材採用においては女性比率が高まっているほか、海外人材の採用も行っています。中国子会社の総経理に外国籍社員を選任していることに加え、課長職に女性を複数名登用するなど、すべての従業員に機会均等を前提とした雇用・人事の仕組みを推進しています。採用後の処遇についても違いはなく、公正な人事考課制度に従って評価および処遇を行っています。従業員の人格と個性を尊重し、社内外教育制度の充実・活用に積極的に取り組んでおり、新たな教育研修プログラムの策定も進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
教育
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 教育研修にかかる金額 | 1百万円 |
多様性の確保
男女間の賃金格差については、一人当たりの男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。賃金格差の主要因は、給与の高い等級群の社員における男性比率が高いこと、期間内退職者ならびに復職者に女性が多かったことによるものです。なお、人事制度における資格等級別の月額給与については、男女の賃金格差はありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新規採用における女性の割合 | 100.0% |
| 労働者数に占める女性の割合 | 35.9% |
| 管理職に占める中途採用者の割合 | 22.2% |
| 育児休業取得者数(うち男性) | 2人(うち男性0人) |
| 男女間の賃金格差 | 84.3% |
環境問題
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 温室効果ガスの排出量前年比 | △26.7% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
タカセは、国内外で「運送」「保管」「作業」といった物流サービスを組み合わせて提供する総合物流企業です。顧客の多様なニーズに応じた物流システムを創造し、サービスを提供することで収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、国内外で物流サービスを展開しており、主に「総合物流事業」「運送事業」「流通加工事業」「その他の事業」の4つの事業セグメントで構成されています。これらの事業を組み合わせることで、顧客の物流ニーズに対応しています。
総合物流事業
国内外で「運送」「保管」「作業」といった物流サービスを組み合わせて提供する事業と、倉庫施設の賃貸事業です。収益は、貨物運送の取次を行う利用運送サービス、貨物の保管サービス、倉庫内オペレーション等の作業サービス、および倉庫施設の賃貸事業から得ています。運営は、同社および海外子会社が行っています。この事業は同社グループの営業収益の大部分を占めており、当連結会計年度は前期から増加しました。
運送事業
貨物自動車による実運送を行う事業です。収益は、貨物自動車による実運送サービスから得ています。運営は、タカセ運輸集配システムが行っています。当連結会計年度は前期から営業収益が減少しました。
流通加工事業
人材派遣または業務受託による倉庫内オペレーションを行う事業です。収益は、倉庫内オペレーションサービスから得ています。運営は、タカセ物流が行っています。
その他の事業
付随的な収益を獲得する構成単位であり、具体的にはトラックシャーシの保管場所を賃貸する事業などを含みます。当連結会計年度は前期から営業収益がわずかに減少しました。
同社グループは海外での事業活動も展開しており、一定の収益を海外から得ています。また、特定の顧客への収益集中が見られ、ピクシブと東宝ステラが同社グループの営業収益のそれぞれ1割以上を占めています。
| セグメント | 営業収益(2025年3月期) | 営業収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 総合物流事業 | 82.6億円 | 84.1億円 |
| 運送事業 | 58百万円 | 52百万円 |
| その他の事業セグメント | 29百万円 | 29百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの営業収益は、過去5年間で堅調に推移しており、直近の当連結会計年度も前期から増加しました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に減少したものの、当連結会計年度は回復傾向にあります。前期の親会社株主に帰属する当期純利益には、子会社清算に伴う益と損が計上されており、当連結会計年度はその影響が剥落しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 86.5億円 | 89.0億円 | 81.9億円 | 83.5億円 | 84.9億円 |
| 経常利益 | 3.3億円 | 3.7億円 | 2.2億円 | 1.2億円 | 2.5億円 |
| 経常利益率 | 3.8% | 4.2% | 2.7% | 1.4% | 2.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.7億円 | 2.8億円 | 3.1億円 | 1.6億円 | 1.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 134.81 | 139.96 | 152.94 | 77.13 | 79.85 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの営業収益は、前期から当期にかけて増加しました。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から当期にかけて増加しており、生産性が改善している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化と組織効率化への取り組みが一定の効果を上げていることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり営業収益(連結) | 40.3百万円 | 42.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.4百万円 | 1.1百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、堅実な財務運営と事業活動による資金創出を通じて、安定した経営基盤を築いています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは高い自己資本比率を維持しており、強固な財務基盤を示しています。手元資金も潤沢に確保されており、事業運営の安定性がうかがえます。一方で、ROEはプライム市場平均を下回る水準で推移しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 73.5億円 | 76.6億円 |
| 自己資本比率 | 77.2% | 78.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.1% | 2.1% |
| 現金及び預金 | 18.5億円 | 18.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループは、本業の営業活動で安定的に資金を生み出しています。当期は営業活動によるキャッシュ・フローが5.7億円の増加となり、税金等調整前当期純利益の増加や減価償却費が主な要因です。
投資活動では、有形固定資産の取得による支出があり、△1.5億円の減少となりました。財務活動では、長期借入金の返済や配当金の支払いにより、△4.2億円の減少となっています。
結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローは4.2億円のプラスであり、本業で得た資金を元手に事業を継続・発展させる余力がある状態を示しています。これは、同社グループが安定した事業運営を行っていることを示唆しており、将来の雇用や給与の安定性にも繋がる要素と言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.6億円 | 5.7億円 |
| 投資CF | △0.9億円 | △1.5億円 |
| 財務CF | △4.4億円 | △4.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.7億円 | 4.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの属する物流業界では、最低賃金の上昇や燃料費の高騰など仕入コストおよび労務コスト上昇の圧力が強まる一方で、顧客からの物流コスト圧縮要請も強く、業界内の競争が激化しています。価格面での圧力や有効に競争できないことによる顧客離れは、同社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、顧客企業の経営戦略上の理由から物流業務の見直しが行われることがあり、主要な顧客であっても契約が解除されるリスクが存在します。これにより営業収益が大きく落ち込み、同社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業成長には、顧客や市場の要求に応え、適正な価格で高品質の物流サービスを提供することが不可欠です。将来の成長実現のためには、有能かつ多様な幹部人材の確保や育成が不可欠であると考えています。
物流業界においては、労働人口減少による人手不足、運送事業における従業員の高齢化に加え、2024年問題など労働力に起因する問題が顕在化しています。人材の確保や育成がなされなかった場合には、同社グループの維持成長、業績および財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
タカセは、国内外で物流サービスを提供する企業です。顧客目線を大切にし、革新的なサービス開発と信頼性の高い業務実行を通じて、社会に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
タカセグループは、国内外で物流サービスを提供しています。社是として「ADD SYSTEM」(物流システムの創造にたゆまぬ努力を続け、顧客に貢献すること)を掲げています。
顧客目線を大切にし、革新的なサービス開発と高い信頼性を追求することで、顧客および社会への貢献を目指しています。中長期的には「既存事業の収益力強化と新たな収益構造を確立する」ことをテーマに、事業基盤の強化や新たな事業領域・価値の創造を通じて、骨太で安定した収益構造の確立を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
タカセグループは、社訓「まごころ」と社是「ADD SYSTEM」に基づき、顧客目線の品質第一サービス提供を重視しています。
「タカセグループ 企業行動指針」では、環境問題への取り組み、社会貢献、働きやすい環境整備を推進しています。
従業員の人格と個性を尊重し、安全で働きやすい職場環境、人権尊重、機会均等を前提とした雇用・人事制度を構築しています。性別、年齢、人種、国籍等による差別やハラスメントは容認しません。
人材の多様性確保と育成を優先課題とし、性別、年齢、人種、国籍等に拘らない採用と公正な人事考課制度を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
タカセグループは、社訓「まごころ」と社是「ADD SYSTEM」を念頭に、顧客目線を大切にした品質第一のサービス提供を継続しています。
重点課題として「社会貢献度の高い分野への物流サービス提供」にグループ一丸となって取り組んでいます。
また、「新たな事業領域・価値の創造」に向けて、既存顧客との対話や協議による共創関係の構築を進めています。人の手を活かしたきめ細やかな流通加工業務に磨きをかけ、競合他社との差別化を図ることも重点テーマです。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
タカセは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会、常任役員会を通じて経営の意思決定と監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
タカセの株主構成を見ると、事業会社である大東港運株式会社が筆頭株主となっています。また、公益財団法人タカセ国際奨学財団や東京中小企業投資育成株式会社といった多様な法人が上位株主として名を連ねており、幅広い主体に支えられている資本構成が特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大東港運 | 8.22% |
| 公益財団法人タカセ国際奨学財団 | 7.11% |
| 東京中小企業投資育成 | 6.71% |
| 三協 | 6.04% |
| クロダ | 5.48% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は大宮司典夫氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大宮司 典夫 | 代表取締役社長 | 1976年同社入社後、国際本部東京営業所長、営業開発本部CS営業第一グループ長などを歴任。雅達貨運(中山)有限公司董事長兼総経理を経て、2006年同社取締役執行役員営業総括に就任。2010年代表取締役社長となり、2014年より現職。 |
| 笹岡 幹男 | 取締役副社長管理本部長 | 1978年株式会社富士銀行(現株式会社みずほ銀行)入行。2006年同社内部監査室長に就任し、執行役員、取締役執行役員を経て、2018年常務取締役管理本部長。2023年より取締役副社長管理本部長として現職。 |
| 赤澤 紀之 | 常務取締役事業推進統括兼 営業本部長 | 1992年同社入社。川崎事業エリア川崎第二営業所長、営業本部川崎支店長などを経て、2013年執行役員に就任。タカセ物流株式会社代表取締役社長などを務め、2021年常務取締役営業本部長。2025年より常務取締役事業推進統括兼営業本部長として現職。 |
| 今井 康晴 | 取締役執行役員物流事業本部長 | 1987年同社入社。国内事業部CS営業所長、物流事業本部安善営業所長などを歴任。2017年執行役員物流事業本部長に就任し、タカセ物流株式会社代表取締役社長も兼任。2019年より取締役執行役員物流事業本部長として現職。 |
社外取締役は、髙田忠美氏(元株式会社オリジン顧問)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外監査役を含む3名の監査役が取締役の職務執行を監査・監督しています。また、独立役員として2名選任されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
タカセの役員報酬は、業務執行を担う常勤取締役に対しては基本報酬と譲渡制限付株式報酬で構成され、監督機能を担う社外取締役には基本報酬のみが支給される体系です。常勤取締役の報酬総額のうち約10%が譲渡制限付株式として支給され、企業価値向上へのインセンティブが設計されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 90百万円 | 22.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 9百万円 | 4.7百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 8百万円 | 2.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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