※本記事は、北陸電気工事株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
北陸電気工事は、電気工事、電気通信工事、管工事、水道施設工事、消防施設工事、土木工事を請負施工する設備工事業を主軸としています。同社グループは、不動産賃貸やクライミング施設の運営、リース事業、PFI事業なども展開しています。
単体従業員数は1,153名、連結従業員数は1,354名です。セグメントは設備工事業、その他の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)ホッコー商事(不動産賃貸業)、(連結子会社)スカルト(電気工事業)、(連結子会社)蒲原設備工業(管工事業)などです。
同社は、自己株式の処分により、親会社であった北陸電力が2025年8月22日付でその他の関係会社となったと報告しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
北陸電気工事は、設備工事業を主軸に、地域社会のインフラを支える企業です。同社グループは、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを経営の重要課題と位置づけ、人材への積極的な投資を通じて組織力の向上を図っています。従業員が長期的に活躍できるような働きやすい環境づくりにも注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
北陸電気工事では、従業員の平均年齢が40.0歳、平均勤続年数が17.0年となっており、比較的長く勤める方が多い傾向が見られます。これは、同社が従業員の長期的なキャリア形成を支援し、安定した職場環境を提供していることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,598,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.0年 |
| 平均年齢 | 40.0歳 |
| 単体従業員数 | 1,153人 |
| 連結従業員数 | 1,354人 |
| 単体のグループ内比率 | 85.2% |
北陸電気工事では、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は、同社および連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も設けられています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付型の退職給付債務は29.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
北陸電気工事は、中期経営計画において「人財への積極投資」を掲げ、人財・組織力の向上を通じて適正な収益を獲得し、さらなる人財投資へと繋げる好循環の実現を目指しています。給与は等級に応じた基本給と役割手当を基本とし、単身赴任や勤務地、特別作業に応じた手当が支給されます。賞与は、前事業年度の会社業績に応じた業績連動型を採用しており、人事評価結果に基づいて支給される仕組みです。
年齢に関係なく実績に基づいて昇格できる人事制度への改定を2026年度より施行し、人事評価制度も刷新して組織への貢献を適切に評価する仕組みへと移行を図っています。多様な人材の確保にも注力しており、女性、外国人、中途採用を積極的に進め、優秀な人材は勤続年数に関わらず管理職へ登用する方針です。
人材育成では、教育施設である能力開発センターにおいて、新入社員教育から専門技術教育、マネジメント研修まで多岐にわたるプログラムを提供し、社員のスキルアップを支援しています。社内環境整備としては、柔軟な働き方を推進し、育児・介護休業制度の拡充、スーパーフレックスタイムや在宅勤務制度、ジョブリターン制度などを導入することで、ワーク・ライフ・バランスの充実を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は正規雇用の従業員について算出されており、前事業年度以前に配偶者が出産した従業員が当事業年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。男女賃金差異は、パート従業員については正社員の所定労働時間で換算した従業員数を基に算出されており、近年の女性採用強化により女性の平均勤続年数が男性と比べて相対的に短いことなどが要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 102.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 60.9% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
北陸電気工事は、設備工事業を主軸に多岐にわたる事業を展開しています。電力供給設備に関わる電気工事から、一般の建築物における電気・通信・管工事まで、幅広いインフラを支えるビジネスモデルを構築しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、設備工事業を主要な事業としています。具体的には、電気工事、電気通信工事、管工事、水道施設工事、消防施設工事、土木工事などを請負施工しています。特に、配電設備等の電力供給設備に関わる電気工事は、北陸電力グループからの請負施工が中心となっています。
また、その他の事業として、不動産賃貸、クライミング施設の運営、リース事業、PFI事業なども手掛けています。収益は主に工事請負契約に基づき、工事が完了し目的物の引渡し後に受領するモデルとなっています。
売上高の大部分は国内の顧客から得ており、海外顧客からの売上高は確認できません。主要な顧客として北陸電力送配電が売上高の3割以上を占めており、特定の顧客への収益集中が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。特に直近の連結会計年度では、売上高の増加に加え、工程管理・原価管理の徹底や継続的なコスト削減により、利益も大きく伸びています。経常利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 459億円 | 448億円 | 534億円 | 556億円 | 610億円 |
| 経常利益 | 33.3億円 | 25.3億円 | 36.5億円 | 46.1億円 | 54.5億円 |
| 経常利益率 | 7.2% | 5.6% | 6.8% | 8.3% | 8.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 22.5億円 | 16.3億円 | 22.1億円 | 31.9億円 | 38.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 80.25 | 58.17 | 78.92 | 113.89 | 139.72 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。従業員1人あたりの営業利益も同様に増加しており、収益性の改善がうかがえます。これらの指標の改善は、組織全体の効率化が進んでいることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 41.7百万円 | 45.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.3百万円 | 3.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で得た資金を将来への投資に充てる成長投資フェーズにあることを示しています。これにより、入社後の安定性や成長性を判断する上での重要な視点が得られます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均を大きく上回る水準で推移しています。これは、強固な財務体質を維持していることを示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回るものの、前期から改善傾向にあります。手元資金である現金及び預金も潤沢に確保されており、事業環境の変化に対する耐性があると言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 439億円 | 461億円 |
| 自己資本比率 | 72.3% | 74.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.4% | 8.6% |
| 現金及び預金 | 228億円 | 200億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、売上債権の増加があったものの、税金等調整前当期純利益の計上により資金が増加しています。しかし、前期と比較すると資金増加額は減少しています。投資活動によるキャッシュフローは、定期預金の預入による支出などにより資金が減少しており、将来に向けた投資を継続している状況です。その結果、フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、本業で得た資金を投資に充てる成長投資フェーズにあることを示しています。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いなどにより資金が減少しています。これらの資金の流れから、同社グループは事業の成長に向けた投資を積極的に行っていることがうかがえ、将来的な事業拡大とそれに伴う雇用の安定性・給与水準の維持が期待されます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 76.0億円 | 5.5億円 |
| 投資CF | △34.2億円 | △33.0億円 |
| 財務CF | △13.9億円 | △21.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 41.9億円 | △27.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、官公庁の公共投資の動向や、北陸電力グループからの受注工事量に売上高が大きく左右されるリスクを認識しています。そのため、北陸地域でのシェア底上げや大都市圏での受注・施工体制強化に努めています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
北陸電気工事は、総合設備企業として地域社会の発展に貢献し、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。安全と高い技術力を基盤に、変化に強い企業集団への変革を進めることを重視している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「①複雑なことはしない。正しい取引を貫き、シンプルに生きる。」「②明るく公平な職場で、一生懸命働き、お客さまから信用を得る。」「③仕事を通して社会の発展に貢献し、健康で幸せな人生を目指す。」を経営理念に掲げています。総合設備企業として社会的使命を果たし、安全と高い技術力で地域に貢献していくことを目指しています。
また、中期経営計画「アクションプラン2027」では、『一段高い成長路線を進み、変化に強い企業集団へ』をテーマとしています。SDGs最終年となる2030年度および創立100周年を迎える2044年度に向けて描いた「目指すべき姿」の実現に取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念において「明るく公平な職場で、一生懸命働き、お客さまから信用を得る。」ことを重視しています。仕事を通して社会の発展に貢献し、健康で幸せな人生を目指すという価値観を大切にしています。
サステナビリティに関する方針として、「電気の安定供給」や「安心・安全な設備の提供」といった社会的使命を果たすことを掲げています。お客さまや地域社会の皆さまとともに発展し続ける企業となることを目指しており、SDGs達成を重要な経営課題の一つとして取り組んでいます。気候変動を含む環境課題への対応を重要な経営課題と位置づけ、環境対策推進委員会を設置し、持続可能な経営を支える戦略的な取り組みを強化しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、建設業界における労務費・資材価格の上昇傾向や建設業就業者数の減少傾向を課題として認識しています。また、地盤である北陸地域では少子高齢化や人口減少のペースが速く、経済規模縮小と労働力減少が加速していくと見ています。
このような状況に対応するため、安定した工事量と利益を確保するための施策を確実に遂行していく方針です。具体的には、北陸地域シェアの底上げや大都市圏における受注・施工体制強化に取り組んでいます。M&Aや海外進出をはじめとする新たな事業領域の拡大、人財への積極投資も重点テーマとしています。
AIの利活用を含めたDXのさらなる推進により、業務の省力化・効率化・高度化を実現し、労働負荷軽減と付加価値向上を両立する経営を目指しています。建設業の原点である安全と品質の確保を徹底し、環境負荷軽減など企業の社会的責任の遂行と価値向上を目指すとともに、法令・社会規範を遵守し、地域に貢献していくことを掲げています。ライフラインを守る企業集団として、防災・減災に向けた強化などの社会的優先度の高い需要にも対応していく方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
北陸電気工事は監査役会設置会社であり、経営の意思決定、監査・監督機能、業務執行機能を分離した体制を採用しています。取締役会の監督機能強化のため、独立社外取締役の比率を高めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
北陸電気工事の筆頭株主は北陸電力です。同社は事業会社であり、発行済株式の約半数を保有しています。その他、信託銀行や投資事業有限責任組合、従業員持株会などが上位株主として名を連ねています。特定の事業会社が大きな影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 北陸電力 | 49.38% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.95% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 3.65% |
| 北陸電気工事従業員持株会 | 3.22% |
| 日本カストディ銀行(信託E口) | 3.17% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長社長執行役員は山崎勇志氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山崎 勇志 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1985年4月同社入社、2023年6月より同社代表取締役社長社長執行役員に就任し現職。 |
| 水谷 和久 | 代表取締役会長 | 2013年6月北陸電力総務部長、2023年6月より同社代表取締役会長に就任し現職。 |
| 北 克彦 | 専務取締役専務執行役員 | 1984年4月同社入社、2023年6月より同社専務取締役専務執行役員に就任し現職。 |
| 早瀬 庄一郎 | 常務取締役常務執行役員 | 1986年4月同社入社、2023年6月より同社常務取締役常務執行役員に就任し現職。 |
| 村田 良昭 | 取締役 | 2014年6月株式会社パワー・アンド・IT代表取締役社長、2024年6月より同社取締役に就任し現職。 |
社外取締役は、佐野みゆき氏(株式会社クレスコ社外取締役・DNホールディングス社外取締役)、多賀満氏(北陸コンピュータ・サービス代表取締役社長)、南果氏(弁護士・田中精密工業社外監査役)です。
同社は監査役会設置会社です。取締役会の監督機能を強化するため、独立社外取締役の比率を3分の1以上としています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
北陸電気工事の役員報酬は、基本報酬、賞与(業績連動報酬)、株式報酬(非金銭報酬)で構成されています。基本報酬は役位や職責、在任年数などを考慮した固定報酬です。賞与は単年度の業績向上に対する意識を高めるため、業績指標に連動して支給されます。株式報酬は中長期的な企業価値向上への貢献を目的とし、業績を考慮したポイントが付与され、退任時に株式と金銭が支給される仕組みです。監査役の報酬は基本報酬と株式報酬で構成され、監査役会の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.5億円 | 29.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 16.0百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 13百万円 | 1.9百万円 |
なお、役員報酬の総額は1.75億円で、報酬の支給対象となった人数は13名です。この人数には、事業年度中に退任した取締役2名が含まれています。
個人別報酬が開示されている役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
💬キャリコネで会社の実態を確認する
決算資料で業績や財務の状況を把握することは、転職の準備として非常に有効です。数字は会社の今の実力と方向性を正直に示しています。
ただ、数字だけでは見えてこないこともあります。職場の雰囲気、上司との関係、実際の残業の実態、昇給のリアル——こうした情報は、現役社員やOB・OGの声から得られます。
企業口コミサイト「キャリコネ」では、社員のリアルな口コミや給与明細、求人情報をまとめて確認できます。決算データと合わせてチェックすることで、応募判断の精度が上がります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。