※本記事は、株式会社ナカボーテック の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ナカボーテックは、1951年創業の防食技術のリーディングカンパニーです。インフラ施設の長寿命化に貢献するため、構造物の腐食・劣化調査から対策工事、維持管理まで総合的な防食システムを提供しています。防食関連材料や装置の製造・販売も手掛けています。
同社の単体従業員数は282名です。事業セグメントは港湾、地中、陸上、その他の4つに区分されています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社ナカボーテックは、社会インフラを支える防食事業を専門とする企業です。同社では、専門性の高い技術を要する事業特性から、人材の育成と定着を重視する傾向が見られます。従業員が長期的にキャリアを築き、専門性を高められる環境が整えられています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い水準にあることから、長期的なキャリア形成と安定した就労が期待できる環境であると考えられます。専門性の高い事業領域において、経験豊富な人材が長く活躍している様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,389,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.9年 |
| 平均年齢 | 41.9歳 |
| 単体従業員数 | 282人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
同社は、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型年金制度と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型年金制度を採用しています。これらの制度は国内の従業員に適用されます。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は16.8億円、年金資産は18.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、防食施工に関する専門的な知識や技能、関連資格を持つ人材、そして現場全体の品質を統括するマネジメント人材の育成・確保を重点課題としています。技術者の高齢化や中堅層の不足といった課題に対応するため、新卒およびキャリア採用の強化、マネジメント機能の強化、技能承継の推進といった施策を実施しています。人材を重要な資本と捉え、その価値を最大限に引き出す人的資本経営を実践し、働き方改革を通じて従業員のエンゲージメント向上に努めています。
従業員の給与およびその他の給付については、職位、役割、能力、成果に応じた適切な水準と構成を基本方針としています。給与体系は役割等級制度に基づき、マネジメント職、エキスパート職、スタッフ職等の区分を設け、役割と責任の大きさに応じた水準を設定しています。基礎給や役職手当に加え、評価に応じた加算要素を組み合わせることで、役割と成果に応じた処遇を実現しています。人材確保と処遇改善のため、基礎給や役職手当の水準見直し、初任給の引き上げも実施されています。
また、資格手当の支給による専門資格保有の促進や、住宅手当、家族手当等の諸手当を短時間勤務者にも支給することで、多様な働き方と生活の安定を支援しています。自己都合退職者の再雇用を可能とするジョブリターン制度や、経験豊富な人材の継続活用を目的としたエルダー社員制度の見直しも行われています。人材育成においては、パーパス「いまある“価値”を次代へ!」を基軸とし、基盤技術の養成を体系の基本に据えた各種プログラムを展開しています。従業員の階層別教育・研修制度の充実、資格取得支援制度、Webラーニング等による自己啓発の推奨を通じてキャリアアップを支援しています。
働き方改革としては、DX推進チームによる社内業務の効率化や超過労働時間の削減に取り組んでいます。スライド勤務制度の導入や月額賃金のアップ等により、ワークライフバランスの向上を図っています。従業員間の繋がりや協働の風土を培うため、本社オフィスのワンフロア化や談話スペースの設置、各支店の事務所拡張・リフォームも実施されています。さらに、従業員の心身のコンディションを把握するため、2か月ごとにパルスサーベイを実施し、離職防止とエンゲージメント向上に努めています。安全衛生面では「安全第一」を最重要項目に掲げ、安全環境室が中心となり年間推進事項を設定し、ヒヤリ・ハット運動、安全パトロール、健康管理施策などを通じて安全で働きやすい職場環境作りに取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業等取得率 | 50.0% |
| 男女の賃金の格差(全労働者) | 71.9% |
| 男女の賃金の格差(うち正規雇用労働者) | 69.9% |
| 男女の賃金の格差(うちパート・有期労働者) | 90.7% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性基幹職社員採用比率(2026年度実績) | 20.0% |
| 全管理職に占めるキャリア採用者の比率(2026年度末実績) | 14.3% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| キャリア採用実績(2026年度) | 5名 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ナカボーテックは、防食技術を専門とする企業です。社会基盤の長寿命化に貢献し、安全安心な日常を次代につなぐことを使命としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は1951年の創業以来、防食のリーディングカンパニーとして活動しています。パーパスは「ひたむきに防食技術を追求し、社会基盤の価値をまもり続けることにより、安全安心な日常を次代につなげます」であり、「いまある“価値”を次代へ!」をスローガンに掲げています。インフラ施設の長寿命化を図るための防食技術を提供し、持続可能な社会の実現に貢献することを使命としています。
主たる業務は、各種環境に曝されている構造物の腐食・劣化調査と解析・評価、その結果に基づいた腐食対策の提案、防食設計、対策工事、そして維持管理という総合的な防食システムの提供です。防食関連材料や装置の製造・販売も行っています。事業は対象施設別に港湾事業、地中事業、陸上事業、その他に区分されており、これらの区分はセグメント情報と同一です。同社の売上高は、特定の相手先に集中することなく、多岐にわたる顧客から得られています。
港湾
港湾施設(岸壁、桟橋等)の電気防食工事が主力であり、アルミニウム合金陽極の取付工事が大部分を占めます。収益は、港湾施設の腐食対策工事や関連製品の販売から得ています。当事業年度の売上高は前期に比べて減少しました。
地中
ガス、石油、水道等の埋設管に対する電気防食工事や維持管理が中心です。収益は、埋設管の防食工事やメンテナンスサービスから得ています。当事業年度の売上高は前期に比べて増加しました。
陸上
石油タンクの外板、橋梁等に使用されている鋼材の塗装による防食や、鉄筋コンクリート構造物の電気防食などを手掛けています。収益は、陸上施設の防食工事や塗装工事から得ています。当事業年度の売上高は前期に比べて減少しました。
その他
鉄筋コンクリート構造物の電気防食(RC)において大型案件が継続して出件されています。収益は、RC構造物の防食工事や電解鉄イオン供給、防汚技術の提供などから得ています。当事業年度の売上高は前期に比べて大きく増加しました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 港湾 | 92.7億円 | 87.7億円 |
| 地中 | 28.6億円 | 31.2億円 |
| 陸上 | 10.8億円 | 10.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の売上高は、直近4年間で緩やかな増加傾向にあります。経常利益は変動が見られますが、概ね安定した水準で推移しています。当事業年度は売上高が増加した一方で、経常利益は前期から減少しました。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務状況は、事業を継続していく上での基盤の安定性を示しています。手元資金の状況や自己資本の厚みは、不測の事態への耐性や将来への投資余力を測る上で重要な要素となります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
企業の財務基盤の安定性は、長期的な雇用や給与の安定性にも影響を与える重要な指標です。自己資本比率は企業の健全性を示し、ROE(自己資本利益率)は資本をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかを表します。また、手元資金の厚みは、経済環境の変化や予期せぬ事態に対する企業の耐性を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | - | - |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
キャッシュフローは、企業が事業活動、投資活動、財務活動を通じてどのように資金を調達し、使用しているかを示すものです。本業で安定的に資金を生み出せているか、将来の成長に向けた投資を積極的に行っているか、あるいは資金繰りに課題がないかといった、企業の資金の流れを把握することができます。これらの資金の流れは、企業の安定性や成長性、ひいては雇用や給与の安定性にも関わる重要な情報となっています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | - |
| 投資CF | - | - |
| 財務CF | - | - |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | - |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の基幹事業である港湾関連施設の防食事業は、主に官公庁を対象としており、公共投資の動向に大きく左右される傾向があります。また、主要原材料であるアルミニウム地金等の価格が上昇し、それを製品価格に転嫁できなかった場合に売上利益が減少するリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ナカボーテックは、社会基盤の価値を守り、安全安心な日常を次代へつなぐことを使命とする企業です。防食技術の追求を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「ひたむきに防食技術を追求し、社会基盤の価値をまもり続けることにより、安全安心な日常を次代につなげます」というパーパスを掲げています。このパーパスを一言で表現するスローガンは「いまある“価値”を次代へ!」です。
2051年の創業100周年に向けた長期成長軌道を描き、パーパスの実現を目指しています。従来の工事売り切り型中心のビジネスモデルから、75年にわたり蓄積した防食データを活用した知識集約型中心のビジネスモデルへの転換を図っています。パーパスを基軸としたインフラの主治医として、構造物の長寿命化に貢献する企業を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ナカボーテックは、インフラ施設の長寿命化を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを事業の根幹としています。サステナビリティを安全・品質と同等の重要な経営課題と位置付け、全社横断的な推進体制のもとで取り組みを強化しています。
人材を重要な資本と捉え、その価値を最大限に引き出す人的資本経営を実践し、働き方改革を推進することで従業員のエンゲージメント向上に努めています。経営方針の最重要項目に「安全第一」を掲げ、常に収益や納期・工期よりも安全を優先する基本姿勢を徹底しています。社内に働く全ての人々の安全と健康を重視し、安心して働ける職場環境作りに全員参加で取り組む企業風土です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ナカボーテックは、新規事業の基盤形成、DX推進による業務効率化、ESGへの取り組み開始を重点施策として推進してきました。定性面では、DX推進による業務効率化や従業員エンゲージメント向上、CDP「B-」評価取得など、サステナビリティ経営の基盤構築に取り組んでいます。
今後は、従来の工事売り切り型ビジネスモデルから、防食データを活用した知識集約型ビジネスモデルへの転換を図ることを目指しています。また、サステナビリティを重要な経営課題として、社長直下の「サステナビリティ推進室」を設置し、全社的な推進体制を強化しています。人的資本経営の実践として働き方改革を推進し、従業員のエンゲージメント向上に努めるとともに、GHG削減にも取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役設置会社形態を採用しており、経営に対する責任の明確化と外部からの牽制が働く体制を構築しています。取締役会機能を強化するため、経営と執行を分離し、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は三井金属であり、事業会社が主要な株主として経営を支えています。その他、取引先持株会や株式会社麻生といった事業会社も上位株主として名を連ねています。これらの株主構成は、同社の事業活動と密接な関係を持つ企業や組織によって支えられていることを示しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三井金属 | 31.85% |
| ナカボーテック取引先持株会 | 8.38% |
| 麻生 | 6.26% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性11名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は宮地誠氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮地 誠 | 代表取締役社長社長執行役員 | 三井金属株式会社で機能材料事業や経営企画部門の要職を歴任し、2025年6月より同社代表取締役社長兼社長執行役員より現職。 |
| 南 正信 | 代表取締役専務取締役専務執行役員管理本部長技術本部長 | 同社入社後、技術部長、事業統括本部技術統括部長、経営企画部長などを経て、2025年6月より同社代表取締役専務取締役兼専務執行役員管理本部長兼技術本部長より現職。 |
| 濱田 昌宏 | 取締役常務執行役員事業本部長東北支店長 | 同社入社後、東北支店長、名古屋支店長などを歴任し、2026年6月より同社取締役兼常務執行役員兼事業本部長兼東北支店長より現職。 |
社外取締役は、中川哲央氏(三井物産株式会社在籍・指名・報酬委員会委員)、若井健太郎氏(三井金属株式会社執行役員)、柴田幸一郎氏(弁護士・指名・報酬委員会委員長)、岸利治氏(東京大学生産技術研究所教授・指名・報酬委員会委員)です。
同社は監査役設置会社形態を採用しており、取締役7名中4名が社外取締役、監査役4名中3名が社外監査役の体制です。これにより、外部からの牽制機能を強化し、迅速で合理的な意思決定を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、指名・報酬委員会において公正かつ透明性をもって審議され決定されています。報酬は基礎報酬(固定報酬)、業績報酬、非金銭報酬(譲渡制限付株式)から構成されており、社外取締役には基礎報酬のみが支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.3億円 | 26.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 21百万円 | 20.8百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 30百万円 | 3.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
💬キャリコネで会社の実態を確認する
決算資料で業績や財務の状況を把握することは、転職の準備として非常に有効です。数字は会社の今の実力と方向性を正直に示しています。
ただ、数字だけでは見えてこないこともあります。職場の雰囲気、上司との関係、実際の残業の実態、昇給のリアル——こうした情報は、現役社員やOB・OGの声から得られます。
企業口コミサイト「キャリコネ」では、社員のリアルな口コミや給与明細、求人情報をまとめて確認できます。決算データと合わせてチェックすることで、応募判断の精度が上がります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。