※本記事は、三井住建道路株式会社 の有価証券報告書(2025年3月期、2024年4月1日 ~ 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
三井住建道路は、建設事業を主軸に、舗装工事、土木工事、建築工事などを手掛けています。また、建設用資材の製造・販売事業や売電事業、不動産取引も展開しています。
単体従業員数は422名、連結従業員数は428名です。セグメントは建設事業、製造・販売事業、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、三井住友建設(建設事業)、三道工業(同)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
三井住建道路は、建設事業を主軸とする企業であり、その給与水準や働き方には業界の特性が反映されていると考えられます。従業員の平均勤続年数や年齢から、安定した環境でキャリアを築いている社員が多い傾向が見られます。同社グループは、多様な人材が活躍できる企業風土の醸成にも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、長期的なキャリア形成が可能な環境であると推測されます。人材の定着が進んでおり、経験豊富な社員が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,131,200円 |
| 平均勤続年数 | 17.3年 |
| 平均年齢 | 46.3歳 |
| 単体従業員数 | 422人 |
| 連結従業員数 | 428人 |
| 単体のグループ内比率 | 98.6% |
同社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。これらの制度は、同社および連結子会社に適用されています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付制度における退職給付債務の期末残高は12.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、社員一人ひとりの活力の重視を経営理念に掲げ、多様な人材が活躍できる企業風土の実現に取り組んでいます。持続的な成長のための経営戦略としてダイバーシティ推進を位置づけ、特に女性活躍推進を最大の課題と認識しています。
具体的には、チーム内コミュニケーションの質向上や問題解決・課題達成のための思考力向上につながる様々な教育を実施しています。女性の積極的な採用や管理職登用、働きやすい職場づくりにも取り組んでおり、中途採用にも広く門戸を開き、人材基盤の強化を図っています。
また、社員の健康を最重要と考え、健康経営を推進しています。社長を責任者とする「安全・衛生委員会」を設置し、社員の健康状態向上とやりがいを持って働ける環境づくりを目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。管理職は2025年3月31日現在における部下を持つ職務以上の者、または同等の地位にある者で算出されています。賃金制度・体系において性別による差異はなく、主に等級別人数構成の差異によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 58.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規労働者) | 61.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規労働者) | 78.9% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 三道工業㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 56.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規労働者) | 56.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規労働者) | 0.0% |
人材の育成
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 正規労働者の男女の賃金格差の差異 | 61.5% |
従業員の安全及び健康
労働災害率(強度率)は、1,000延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数により算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働災害率(強度率) | 0.00 |
| 健康診断二次健診受診率 | 99.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
三井住建道路は、建設事業を主軸とし、これに付帯する建設用資材の製造・販売事業、およびその他の事業を展開しています。同社グループは、社会インフラの整備と維持に貢献する事業構造となっています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
三井住建道路グループは、建設事業を主要な事業内容としており、道路舗装工事や土木工事などを手掛けています。また、建設用資材の製造・販売も行っており、これらの事業を通じて収益を上げています。同社グループの事業は、主に国内市場に焦点を当てており、海外での売上高や有形固定資産の保有はありません。特定の顧客への収益集中もありません。
建設事業
舗装工事、土木工事、建築工事などの施工を行っています。収益は、これらの工事の完成工事高から得ています。
製造・販売事業
建設用資材の製造・販売を行っています。収益は、アスファルト合材などの製品販売から得ています。
その他の事業セグメント
太陽光発電による売電事業などを含んでいます。収益は、売電事業の売上高から得ています。
| セグメント | 売上高(2024年3月期) | 売上高(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 建設事業 | 252億円 | 246億円 |
| 製造・販売事業 | 56.7億円 | 55.0億円 |
| その他の事業セグメント | 45百万円 | 46百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は直近の2025年3月期にかけて減少傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、2025年3月期には大きく減少しました。これは、建設事業における受注時期の遅延や企業間競争の激化、工事損失の計上、資機材価格や労務費の高騰などが影響しています。製造・販売事業においても、アスファルト合材の製造数量減少や製造コスト上昇分の販売価格への転嫁が困難であったことが利益減少の要因となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 338億円 | 315億円 | 319億円 | 309億円 | 302億円 |
| 経常利益 | 18.3億円 | 9.5億円 | 10.2億円 | 10.3億円 | 2.7億円 |
| 経常利益率 | 5.4% | 3.0% | 3.2% | 3.3% | 0.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 11.9億円 | 6.3億円 | 6.3億円 | 5.9億円 | 1.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 130.31 | 68.73 | 69.00 | 64.07 | 18.28 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しており、従業員1人あたりの営業利益も前期から大きく減少しています。これは、売上高の減少と利益率の低下が影響していると考えられます。特に、当期は工事損失の計上や資機材価格、労務費の高騰が利益を圧迫し、生産性指標に影響を与えています。
| 指標 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 72.1百万円 | 70.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.3百万円 | 0.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動と投資活動の両方で資金の減少が見られます。これは、現在の資金の流れと財務基盤の状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、前期から上昇し、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。一方、ROE(自己資本利益率)は前期から低下し、プライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は減少傾向を示しており、今後の資金管理が注目されます。これらの財務指標は、同社グループの安定性と収益性、そして将来の雇用や給与の安定性に関わる重要な要素です。
| 指標 | 2024年3月期(前期) | 2025年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 137億円 | 136億円 |
| 自己資本比率 | 49.3% | 55.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.4% | 1.2% |
| 現金及び預金 | 112億円 | 70.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、当連結会計年度において大きな変化を示しています。本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、前期の資金増加から当期は資金減少に転じました。これは主に仕入債務の減少によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出により、引き続き資金減少となっていますが、前期と比較すると減少幅は縮小しています。財務活動によるキャッシュフローも、配当金の支払等により資金減少が続いており、前期よりも減少額が増加しました。結果として、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは、前期のプラスから当期はマイナスに転じています。この資金の流れは、同社グループが現在、事業活動と投資活動の両方で資金を外部に流出させている状況を示しており、今後の資金繰りや事業戦略が、雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年3月期(前期) | 2025年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 18.2億円 | △31.5億円 |
| 投資CF | △10億円 | △6.0億円 |
| 財務CF | △3.5億円 | △4.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 8.2億円 | △37.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主要事業である道路舗装事業において公共投資への市場依存度が高いというリスクを抱えています。政府の公共投資政策の急激な変更は、売上高の減少に影響を及ぼす可能性があります。また、アスファルト合材の主要材料であるアスファルトや重油等の価格変動を製品販売価格や請負代金に転嫁できない場合、業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
三井住建道路は、安心・安全で快適な社会インフラの実現を目指し、持続可能な社会の実現に貢献することを重視しています。顧客満足度や社員の活力を大切にしながら、企業価値の増大を図ることを経営の根幹に置いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
三井住建道路グループは、「顧客満足度の追求」「株主価値の増大」「社員活力の重視」「社会性の重視」「地球環境への貢献」を経営理念として掲げています。安心・安全で快適な社会インフラの実現を目指し、事業活動を展開しています。
持続可能な社会の実現に向けて、経済的価値だけでなく環境・社会的価値の追求も重視し、企業価値の増大を図る方針です。ステークホルダーからの期待に応えることを目指し、中期経営計画2025-2027では『経営改革を通じた収益力・企業価値の向上』を基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業市民として安全と品質の確保、コンプライアンスの徹底を実践し、公正妥当な事業活動を重視しています。内部統制システムの充実にも努めています。
経営理念に掲げる「社員活力の重視」に基づき、多様な人材が活躍できる企業風土づくりに取り組んでいます。女性、外国人、シニア、障がい者等の積極的な登用を図っています。
社員一人ひとりが役割を理解し、課題に挑戦して成長できる環境を目指しています。性別などの属性によらず能力を最大限に発揮できるよう、特に女性活躍推進に注力し、働きやすい職場づくりを進めています。社員の健康を最重要と考え、「安全・衛生委員会」を設置し、健康経営を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、道路建設業界における慢性的な人材不足といった厳しい経営環境に直面しています。これに対し、中期経営計画(2025-2027)を次世代の成長への土台整備期間と位置付けています。
安全とコンプライアンスを最優先に、企業価値向上に向けた取り組みを実行しています。品質管理強化による顧客満足度の向上や、社員の処遇改善にも取り組んでいます。
次世代を担う人材の育成に注力し、技術者のスキルアップのための教育を強化しています。環境対策として、環境に配慮した設備投資や代替燃料の導入を進め、温室効果ガス排出量削減目標も設定しています。また、人権デュー・デリジェンスに着手し、サプライチェーン全体の人権侵害リスク特定と是正措置を講じる方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
三井住建道路は、2024年6月27日に監査等委員会設置会社へ移行しました。取締役会は社外取締役を含む9名で構成され、意思決定の迅速化と監督機能の強化を図る体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
三井住建道路は、特定の事業会社が筆頭株主として過半数の株式を保有する資本構成となっています。この筆頭株主は、同社グループの経営に強い影響力を持つ関係にあります。その他、複数の機関投資家や個人株主が上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三井住友建設 | 53.69% |
| 野村絢 (常任代理人 三田証券) | 3.74% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 2.68% |
| MSIP CLIENT SECURITIES (常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券) | 2.10% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC (常任代理人 インタラクティブ・ブローカーズ証券) | 1.71% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
三井住建道路の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役会長は北原和明氏、代表取締役社長執行役員社長は蓮井肇氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 北原 和明 | 代表取締役会長 | 1988年三井建設入社。三井住友建設で管理本部経理部長、常務執行役員等を歴任。2024年4月同社顧問を経て、2024年6月より同社代表取締役会長に現職。 |
| 蓮井 肇 | 代表取締役社長 執行役員社長 | 1989年三井道路入社。同社関東支店営業部長、常務執行役員工事本部長などを経て、2021年4月より同社代表取締役社長執行役員社長に現職。 |
| 鶴 洋人 | 取締役常務執行役員 受注入札審査担当 安全統括 安全環境部担当 | 1982年三井道路入社。同社九州支店長、工事本部長、安全統括などを歴任。2022年6月より同社取締役に就任し、2023年4月より常務執行役員に現職。 |
| 桝内 浩行 | 取締役常務執行役員 工事本部長 | 1984年三井道路入社。同社関東支店工事部長、執行役員開発環境事業部長などを歴任。2025年4月より常務執行役員工事本部長、2025年6月より同社取締役に現職。 |
| 澤木 忠 | 取締役常務執行役員 管理本部長経営企画部担当 | 1988年三井道路入社。同社管理本部経理部長、執行役員管理本部長などを経て、2024年6月より同社取締役に就任。2025年4月より常務執行役員に現職。 |
社外取締役は、星千絵氏(田辺総合法律事務所弁護士・監査等委員)、松林恵子氏(松林恵子税理士事務所開設・監査等委員)、安藤佳道氏(安藤会計事務所所長・監査等委員)です。
三井住建道路は監査等委員会設置会社であり、社外取締役3名を含む9名の取締役で構成される取締役会が経営の重要事項を決定しています。監査等委員会は社外取締役3名を含む4名で構成され、取締役の職務執行の監査・監督機能を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
三井住建道路の役員報酬は、企業価値向上へのインセンティブとして株主利益に連動する体系を基本方針としています。監査等委員である取締役を除く取締役には固定報酬と株式報酬が支給され、監査等委員である取締役および社外取締役には基本報酬のみが支払われます。報酬額は役位や職責、業績などを総合的に考慮し、指名・報酬委員会の協議を経て決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 社外取締役(監査等委員を除く) | 3名 | 5百万円 | 1.7百万円 |
| 社外取締役(監査等委員) | 3名 | 16百万円 | 5.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 4名 | 9百万円 | 2.2百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 3百万円 | 1.5百万円 |
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。また、使用人兼務取締役3名に対する使用人給与相当額19百万円は、上記の報酬総額とは別枠で支給されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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