ソネック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソネック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の建設会社。兵庫県を地盤に建築・土木工事を行う建設事業と、化学製品等の輸送を行う運輸事業を展開しています。第85期の連結業績は、売上高152億円(前期比6.1%減)と減収ながら、工事採算の改善により経常利益7億円(同132.0%増)、当期純利益5億円(同245.5%増)の大幅増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ソネック の有価証券報告書(第85期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ソネックってどんな会社?


兵庫県高砂市に本社を置く建設会社です。地域密着型の建設事業を中核に、特殊化学品の輸送を行う運輸事業も展開しています。

(1) 会社概要


1944年に株式会社曽根組として設立され、建設請負業を開始しました。1992年に現社名であるソネックへ商号変更しています。株式市場へは1996年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、2016年には東京証券取引所市場第一部へ指定替えとなりました。その後、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

同社グループは連結従業員数130名、単体124名の体制で事業を行っています。筆頭株主は富士京不動産株式会社で35.84%を保有し、第2位はソネック取引先持株会(11.63%)、第3位はソネック社員持株会(4.22%)となっています。

氏名 持株比率
富士京不動産 35.84%
ソネック取引先持株会 11.63%
ソネック社員持株会 4.22%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名、計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は山本貴弘氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山本 貴弘 代表取締役社長 1993年同社入社。営業部担当部長、執行役員営業部長、常務取締役などを経て2022年6月より現職。
福島 孝一 取締役会長 1978年同社入社。営業部長、専務取締役、取締役副社長、代表取締役社長などを歴任し、2022年6月より現職。
香西 利計 常務取締役営業部長 1994年同社入社。大阪支店長、執行役員営業部部長、取締役などを経て2024年6月より現職。
岡本 悦生 取締役名古屋支店長 1993年大末建設入社。2012年同社入社。執行役員名古屋支店長を経て2022年6月より現職。
大内 豊範 取締役経営管理部長 1995年同社入社。建築部長、執行役員施工部長兼技術部長などを経て2025年4月より現職。


社外取締役は、髙士薫(元神戸新聞社代表取締役社長)、川崎博也(元神戸製鋼所代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設事業」および「運輸事業」を展開しています。

建設事業

同社および子会社のSUKOYAKAが、建築部門、土木部門、不動産部門を運営しています。建築部門では工場、病院、福祉施設等の新築・増改築を行い、土木部門では官公庁発注の河川、道路、下水道工事等を手掛けています。また、不動産部門では不動産の販売および賃貸を行っています。

収益は主に顧客からの工事請負代金および不動産の販売・賃貸収入から得ています。運営は主にソネックが行っており、子会社のSUKOYAKAも建設事業を営んでいます。民間工事から公共工事まで幅広い顧客基盤を有し、兵庫県および同県下の市町など官公庁との取引窓口が広いことが特徴です。

運輸事業

子会社のケミカル運輸が一般貨物自動車運送事業および貨物運送取扱事業を営んでいます。兵庫県の本社および山口県の営業所を拠点とし、二硫化炭素、液体硫黄、燃料添加剤などの化学製品や、粉体化成品、ドラム缶製品等の輸送を行っています。

収益は荷主からの運送賃収入等から得ています。運営はケミカル運輸が行っており、タンクローリー車や一般トラック車を用いて特殊な積載物の運搬に対応しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は150億円から180億円の間で推移しており、直近の2025年3月期は152億円となっています。一方、利益面では2024年3月期に大きく落ち込みましたが、2025年3月期には経常利益7億円、利益率4.9%まで回復しました。当期利益も同様の傾向で、直近では5億円を確保しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 163億円 172億円 180億円 162億円 152億円
経常利益 13億円 12億円 10億円 3億円 7億円
利益率(%) 7.8% 6.8% 5.6% 2.0% 4.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 8億円 7億円 1億円 5億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は減少したものの、売上総利益は9億円から14億円へと大幅に増加しました。これに伴い売上総利益率も改善し、営業利益は2億円から7億円へと大きく伸長しています。減収ながらも採算性の向上が利益を押し上げる結果となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 162億円 152億円
売上総利益 9億円 14億円
売上総利益率(%) 5.7% 9.2%
営業利益 2億円 7億円
営業利益率(%) 1.5% 4.3%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が2.2億円(構成比28%)、役員報酬が0.6億円(同8%)を占めています。売上原価については、工事原価等の変動費が大半を占めています。

(3) セグメント収益


建設事業は、着工間もない工事が多く減収となりましたが、工事採算の改善により利益は大幅に増加しました。運輸事業は、売上高は微増したものの、燃料価格高騰などの影響で減益となりました。全体としては建設事業の利益率改善が連結業績の回復を牽引しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
建設事業 159億円 149億円 2億円 6億円 4.3%
運輸事業 3億円 3億円 0.3億円 0.1億円 5.1%
連結(合計) 162億円 152億円 2億円 7億円 4.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CF、投資CF、財務CFがいずれもマイナスであり、本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的な「末期型」に該当します。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -27億円 -7億円
投資CF -0.4億円 -5億円
財務CF -2億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「誠実と信頼」「人と和」「創意と前進」を社是として掲げています。社会の役に立ち、喜ばれ、必要とされる企業として、高品質な技術とサービスを提供することを通じて成果を上げ、社員の幸せを追求することを経営理念としています。また、事業の発展を通じて株主の期待に応え、地域社会に貢献することを基本方針としています。

(2) 企業文化


請負業である同社の基盤は信用にあり、顧客に対する「誠実」な態度と優れた工事の提供によって得られる「信頼」を重視しています。社員の能力開発を通じて人材を育て、社内の「和」を確立することで活性化を図り、環境変化に対応するために「創意」を持って「前進」し続ける姿勢を大切にする企業風土を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は年度計画および中期経営計画を策定し、売上高や各利益等の目標値を設定しています。ただし、建設業という業種の特性上、経営環境等の外部要因により計画値と実績が大きく乖離する可能性があるため、現段階では具体的な数値目標の公表は行っておらず、今後の課題としています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「顧客満足度No.1企業」を目指し、施工の品質管理向上と外部環境変化への対応を進めています。特に主力である建設事業においては、受注拡大と収益確保に向け、京阪神・名古屋地区など営業エリアの拡大、既存顧客への深耕営業、成長期待分野への参画強化に取り組んでいます。また、施工現場の効率化による生産性向上や、若手技術社員の早期戦力化、働き方改革の推進にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材採用と育成を重要施策と捉え、若年層社員への資格取得奨励や奨学金返済支援などを行い、安心して働ける環境を整備しています。多様な人材による組織成果の最大化を目指し、中途採用や外国人社員の採用を積極的に実施するとともに、女性の管理職登用推進などダイバーシティ・マネジメントに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.0歳 13.5年 6,102,746円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員(19名)、外国人社員(13名)、中途採用管理職(12名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定地域への事業集中リスク

同社の建設事業は、兵庫県南部(東播磨地域)における受注比率が高くなっています。そのため、国全体の景気動向と比較して当該地域の景気が著しく悪化した場合や、同地域における民間・公共投資が大幅に減少した場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 建設コストの高騰等リスク

建設資材の価格高騰や調達難、労務単価の上昇や技能労働者不足などが生じた場合、工事原価が上昇し利益率が低下する可能性があります。また、これらに起因して工期の遅延が発生した場合にも、同社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。

(3) 施工物の品質・技術上の瑕疵リスク

施工物の設計・施工段階において重大な品質・技術上の瑕疵があり、人身事故や施工物に関わる重大な事故が発生した場合、多額の損害賠償義務が生じる可能性があります。これにより、同社グループの経営成績や社会的信用に影響を及ぼす恐れがあります。

(4) 法的規制等に関するリスク

建設事業および運輸事業は、建設業法や貨物自動車運送事業法など多数の法的規制を受けています。関係法令の改正や規制強化、あるいは事故等による行政処分があった場合、事業活動に支障をきたし、経営成績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。