ソネック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソネック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソネックは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、主に建築・土木工事等の建設事業と、化学品等の運輸事業を展開する企業です。直近の業績は、大型工事の順調な完成引渡等により売上高が前期比49.7%増の228億円、営業利益が同184.8%増の19億円となり、大幅な増収増益を達成して成長を続けています。


※本記事は、ソネックの有価証券報告書(第86期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ソネックってどんな会社?


建築や土木工事を主力とする建設事業と、化学品等を運ぶ運輸事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


ソネックは1944年に企業統合により曽根組として設立され、1948年に建設請負業を開始しました。1992年に現在のソネックへ社名を変更しています。1996年に大阪証券取引所市場第二部へ株式を上場しました。1998年にはケミカル運輸を設立して運輸事業を譲渡するなど、事業体制の強化を図っています。

現在の従業員数は連結で133名、単体で112名です。筆頭株主は富士京不動産で、第2位はソネック取引先持株会、第3位はソネック社員持株会となっています。事業の関連企業や取引先、従業員などが上位株主として名を連ねているのが特徴です。

氏名 持株比率
富士京不動産 35.84%
ソネック取引先持株会 11.35%
ソネック社員持株会 4.15%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は山本貴弘氏が務めており、取締役10名のうち社外取締役が占める割合は20%です。

氏名 役職 主な経歴
山本貴弘 代表取締役社長 1993年同社入社。営業部次長、担当部長、執行役員営業部長、常務取締役営業部長などを経て、2022年6月より現職。
福島孝一 取締役会長 1978年同社入社。営業部長、常務、専務、取締役副社長、代表取締役社長などを歴任し、2022年6月より現職。
香西利計 常務取締役営業部長 1994年同社入社。大阪支店長、営業部次長、執行役員営業部部長、取締役営業部長などを経て、2024年6月より現職。
岡本悦生 常務取締役名古屋支店長 1993年大末建設入社。2012年同社入社。名古屋支店長、執行役員名古屋支店長、取締役名古屋支店長を経て、2025年6月より現職。
大内豊範 取締役施工部長兼経営管理部担当 1995年同社入社。建築部次長、執行役員建築部長、取締役施工部長兼技術部長などを歴任し、2026年4月より現職。


社外取締役は、髙士薫(元神戸新聞社代表取締役社長)、川崎博也(元神戸製鋼所代表取締役会長兼社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設事業」および「運輸事業」を展開しています。

(1) 建設事業


建築部門では会社、工場、病院、福祉施設から個人まで幅広い業種の民間工事を、土木部門では河川、道路などの官公庁向け公共工事を主体に行っています。また、兼業として不動産の販売および賃貸事業も手がけており、地域に根差した多様なサービスを提供しています。

主に発注者からの工事請負代金や不動産販売・賃貸料を収益源としています。事業の運営はソネックおよび子会社のSUKOYAKAが行っており、営業部門と施工部門の連携によって品質の安定化や効率的な現場管理体制を構築しています。

(2) 運輸事業


一般貨物自動車運送事業および貨物運送取扱事業を展開しています。主な積載物として二硫化炭素、液体硫黄、燃料添加剤などの化学品をタンクローリー車で運搬するほか、粉体化成品やドラム缶製品などを一般トラックで輸送するサービスを提供しています。

荷主からの運送料や取扱手数料を主な収益源としています。事業の運営は子会社のケミカル運輸が行っており、専門性の高い輸送技術と徹底した安全対策によって顧客企業からの信頼を獲得しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一時的に落ち込む時期もありましたが、直近の2026年3月期は大型工事の順調な進捗などにより228億円へと大幅に増加しました。経常利益も過去最高の20億円を記録し、利益率も8.7%に改善するなど、強い成長軌道に乗っています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 172億円 180億円 162億円 152億円 228億円
経常利益 12億円 10億円 3億円 7億円 20億円
利益率(%) 6.8% 5.6% 2.0% 4.9% 8.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 7億円 1億円 5億円 14億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期から倍増以上の成長を遂げています。利益率も大きく改善しており、採算性の向上が顕著に表れています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 152億円 228億円
売上総利益 14億円 27億円
売上総利益率(%) 9.2% 12.0%
営業利益 7億円 19億円
営業利益率(%) 4.3% 8.2%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が2億円(構成比24.0%)、役員報酬が1億円(同10.7%)を占めています。また、売上原価の大部分を占める完成工事原価では、外注費が159億円(同82.7%)、経費が18億円(同9.4%)となっています。

(3) セグメント収益


主力である建設事業が売上高・利益ともに大幅に拡大し、全体の成長を牽引しています。運輸事業についても、厳しい事業環境のなかで堅調に売上と利益を確保しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
建設事業 149億円 225億円 6億円 19億円 8.3%
運輸事業 3億円 3億円 0.1億円 0.2億円 5.9%
連結(合計) 152億円 228億円 7億円 19億円 8.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済や配当を行いながら、手元資金で投資を賄う健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -7億円 33億円
投資CF -5億円 -3億円
財務CF -2億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も66.2%で市場平均を上回っており、収益性と財務の健全性を高いレベルで両立しています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社会の役に立ち 喜ばれ 必要とされる企業として 高品質な技術とサービスを提供する成果をもって 社員の幸せを追求します」を経営理念に掲げています。また、「誠実と信頼」「人と和」「創意と前進」を社是とし、事業の発展を通じて株主の期待に応え、社員の幸福を保障し、地域社会に貢献することを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


請負業の基盤である信用を大切にしており、顧客に対する「誠実」な態度と優れた工事の提供を通じた「信頼」を重視する文化があります。社員の能力開発を通じて人材を育て、社内の「和」を確立することで組織の活性化を図っています。また、常に環境の変化へ積極的に対応するため、「創意」をもってたゆみなく「前進」する姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは年度計画および中期経営計画を策定し、売上高や各利益等の目標値を設定して経営管理を行っています。しかしながら、建設業という業種柄、経営環境等の外部要因によって計画値と実績が大きく乖離する可能性があるため、現段階では具体的な数値目標の公表は控えています。内部的には個別の工事案件ごとに目標達成に向けた対応を随時実施しています。

(4) 成長戦略と重点施策


成長期待分野の推進による経営基盤の安定化を図り、中小企業体質からの脱皮を目指しています。市場変化を先取りする積極営業体制を推進し、京阪神・名古屋地区における営業活動を強化して営業エリアの拡大に注力します。さらに、新技術・新工法の研究により施工技術を向上させ、地域における建設技術のトップリーダーとなることを重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


企業活動の中心にある人的資源を最重要視し、ダイバーシティ・マネジメントの推進を人的資本戦略の柱と位置付けています。中途採用や外国人社員の採用を積極的に行い、多様な価値観の醸成に努めています。若手技術社員への資格取得奨励や奨学金返済支援など、安心して業務に取り組める労働環境の整備にも力を入れています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.5歳 13.1年 7,076,196円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員数(19名)、外国籍社員数(11名)、管理職における中途採用社員数(19名中10名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設コストの高騰

建設資材の急激な価格高騰や調達難、労務単価の上昇、建設技能労働者の不足等が生じた場合、工事原価の上昇による利益率の低下や工期の遅延等が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は営業部門と施工部門の連携を通じて施工の効率化に取り組むことで、コスト上昇リスクの最小化に努めています。

(2) 特定地域への事業集中

同社の建設事業は、主に東播磨地域を中心とした兵庫県南部地域における受注への依存度が高い状況にあります。そのため、同地域における民間建設需要や公共事業が大幅に減少した場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。同社は京阪神・名古屋地区での営業活動強化に注力し、事業集中の分散を図っています。

(3) 施工物の品質・技術上の瑕疵

設計・施工段階における品質・技術上に重大な瑕疵があり、人身や施工物に関わる重大な事故や契約不適合責任等が発生した場合、多額の損害賠償義務が生じて企業評価や業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。同社は品質管理や社内検査体制を充実させるとともに、社員教育を通じた施工技術の向上に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。