ビーアールホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビーアールホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のビーアールホールディングスは、PC橋梁工事を中心とする建設事業やコンクリート製品の製造販売を行う企業グループです。直近の業績は、大型受注の獲得等により売上高は408億円と増収しましたが、資材高騰などの影響で経常利益は19億円となり、全体として増収減益で着地しました。


※本記事は、株式会社ビーアールホールディングス の有価証券報告書(第23期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ビーアールホールディングスってどんな会社?


PC(プレストレストコンクリート)技術を核に、橋梁の新設・補修やコンクリート製品製造を展開する企業です。

(1) 会社概要


1948年に鉄道砂利工業として創業し、1955年にPC橋梁工事へ進出しました。2002年に株式移転により同社を設立して東証へ上場し、2016年には東証一部へ市場変更を果たしました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証プライム市場に移行しています。

連結従業員数は637名、単体では12名の持株会社体制をとっています。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位も資産管理・投資を行う企業です。第3位は同社代表取締役社長が保有しており、経営陣による安定的な株式保有も見られます。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 11.69%
トウショウアセットマネジメント株式会社 8.99%
藤田 公康 3.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は藤田 公康氏で、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
藤田 公康 代表取締役社長 1981年極東工業(現極東興和)入社。同社社長、会長を経て、2005年より現職。
石井 一生 取締役技術本部長 1983年建設省入省。2015年同社入社。常務取締役技術本部長などを経て、2022年より現職。
山根 隆志 取締役営業本部長 1980年極東工業入社。営業本部長、キョクトウ高宮社長、極東興和社長などを経て、2022年より現職。
末竹 一春 取締役 1980年極東工業入社。東京支店長、東日本コンクリート社長などを経て、2023年より現職。
卜部 穣 取締役管理本部長 1994年極東工業入社。同社社長室長、極東興和管理本部長などを経て、2025年より現職。
天津 武史 取締役(監査等委員) 1981年極東工業入社。同社取締役管理本部長、極東興和取締役などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、佐上 芳春(公認会計士)、三浦 房紀(山口大学大学研究推進機構特命教授)、野曽原 悦子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設事業」、「製品販売事業」、「情報システム事業」、「不動産賃貸事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 建設事業


PC(プレストレストコンクリート)技術を応用した橋梁の新設事業や、既存構造物の補修・補強事業を行っています。官公庁や高速道路会社などが主な顧客であり、社会インフラの整備・維持に貢献しています。

収益は、請負工事による工事代金から得ています。運営は主に極東興和、東日本コンクリート、豊工業が行っています。

(2) 製品販売事業


土木・建築用のプレキャスト部材やコンクリート二次製品(PCマクラギ、橋梁製品など)の製造・販売を行っています。高速道路の大規模修繕やスタジアム建設などの需要に対応しています。

収益は、製品の販売代金から得ています。運営は主に極東興和、東日本コンクリート、豊工業、キョクトウ高宮が行っています。

(3) 情報システム事業


グループ内の情報システムの提案・開発・保守に加え、グループ外企業への情報システム開発も行っています。IoTやAI等の先端技術への取り組みも進めています。

収益は、システム開発や保守サービスの対価として受領します。運営は主にケイ・エヌ情報システムが行っています。

(4) 不動産賃貸事業


同社グループが保有する不動産(極東ビルディング等)の賃貸管理を行っています。広島駅周辺開発に伴う需要の高まりを受けた不動産活用も視野に入れています。

収益は、テナントからの賃料収入から得ています。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は概ね横ばいから増加傾向にあり、直近では400億円台で推移しています。一方、利益面では資材価格高騰等の影響を受け、経常利益率は低下傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 388億円 359億円 360億円 403億円 408億円
経常利益 30億円 23億円 16億円 20億円 19億円
利益率(%) 7.6% 6.4% 4.5% 5.1% 4.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 19億円 15億円 10億円 14億円 13億円

(2) 損益計算書


売上高は微増となりましたが、売上総利益率は横ばいで推移しています。営業利益は若干減少し、利益率も低下しました。コスト増を増収でカバーしきれていない状況が見て取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 403億円 408億円
売上総利益 50億円 50億円
売上総利益率(%) 12.3% 12.2%
営業利益 21億円 20億円
営業利益率(%) 5.1% 4.8%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が9億円(構成比31%)、事務費が3億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の建設事業は増収ながらも利益は横ばいとなりました。製品販売事業は増収ですが、コスト増により大幅な減益となっています。一方、情報システム事業は増収増益と好調です。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
建設事業 344億円 343億円 34億円 34億円 10.0%
製品販売事業 54億円 60億円 1億円 0.7億円 1.2%
情報システム事業 4億円 5億円 0.4億円 0.4億円 8.7%
不動産賃貸事業 0.4億円 0.2億円 1億円 1億円 431.8%
調整額 -4億円 -3億円 -17億円 -17億円 -
連結(合計) 403億円 408億円 21億円 20億円 4.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


『「人と人」「技術と技術」の橋渡し』を経営理念に掲げています。「人」と「技術」を事業の中核として位置づけ、より豊かで快適な未来の暮らしの実現に挑戦し続けることを基本方針としています。

(2) 企業文化


「世代を超えて、語り継がれてゆくものを」「人々が行き交い、人々に愛されるものづくり」をCSRコンセプトとして掲げ、社会インフラの提供を通じて社会に貢献する姿勢を重視しています。また、「優秀な人材の獲得・定着・育成」を方針とし、人を大切にする風土があります。

(3) 経営計画・目標


「第1次中期経営計画(2024~2027年度)」を策定し、最終年度である2027年度の目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:500億円
* 営業利益:30億円
* 営業利益率:6.0%

(4) 成長戦略と重点施策


新設橋梁事業の再成長と補修・補強事業の強化、製品販売の領域拡大を軸に、一般土木・建築・防災等の新規領域へ挑戦します。最重要課題である人材確保と育成強化に加え、DX推進による生産性向上や高付加価値技術(床版取替工事等)の展開に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人材確保の推進と育成の強化」を経営上の最重要課題と位置付けています。大学等との共同研究を通じた採用強化や、シニア技術者の活躍推進、フレックスタイム制度導入による定着率向上に加え、企業内アカデミーによる教育体制の充実を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 53.5歳 9.6年 7,550,344円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 66.3%
男女賃金差異(正規) 69.1%
男女賃金差異(非正規) 57.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇の取得日数(極東興和㈱11日)、年次有給休暇の取得日数(東日本コンクリート㈱11日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 公共事業の削減による影響


売上高の約8割を官公庁等が占めているため、公共投資の方針変更や発注量の削減が行われた場合、同社グループの受注高および経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) 資材価格・労務単価の変動


建設事業において、鋼材等の資材価格や外注労務費が高騰し、契約条件のスライド条項等による請負金額への反映が困難な場合、工事利益率が低下し経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 有利子負債への依存


長期・大規模工事の増加に伴う立替金の増加により、運転資金を金融機関からの借入金に依存しています。金利水準が大幅に上昇した場合、支払利息の増加により経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。