※本記事は、日本製麻株式会社の有価証券報告書(第98期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日本製麻ってどんな会社?
創業以来、麻袋などの産業資材から食品・自動車用マットまで多角的に事業を展開する老舗メーカーです。
■(1) 会社概要
1947年に中越紡織として設立され、1959年に現在の日本製麻に社名を変更しました。1949年の東京証券取引所上場を経て、黄麻製品からパスタ製造、自動車用マットへと事業領域を拡大。近年では食品工場の増設やM&Aを推進し、さらなる事業基盤の強化と収益力の向上を図っています。
現在の従業員数は単体78名です。筆頭株主は米国法人のLEOMO.Inc.で、第2位株主には同社とレトルトカレーの販売等で取引関係がある事業会社のゴーゴーカレーグループが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| LEOMO.Inc. | 16.80% |
| ゴーゴーカレーグループ | 16.04% |
| 日本証券金融 | 10.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は植杉泰久氏が務めており、社外取締役の比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 植杉 泰久 | 代表取締役社長 | 大和証券を経てship shape合同会社代表社員、チチカカ代表取締役社長などを歴任。2025年8月より現職。 |
| 高橋 賢作 | 常務取締役ボルカノ食品事業部長 | 三井化学ヘルスケア事業本部長などを経て、2020年に同社入社。2024年7月より現職。 |
| 森 欣也 | 取締役 | 東芝や東芝三菱電機産業システム等を経て、アジアゲートホールディングス代表取締役社長。2025年8月より現職。 |
社外取締役は、佐々木健郎(マネージポート会計事務所代表取締役)、滝川好夫(関西外国語大学教授)、牧野大輔(IAAトラベル代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「食品事業」「産業資材事業」「マット事業」および「その他」事業を展開しています。
■食品事業
スパゲッチなどのパスタ製品や、カレー・パスタソース等のレトルト食品の製造・販売を行っています。顧客は一般消費者や外食産業などの業務用需要に幅広く対応しています。
収益は、製品の販売代金から得ています。主力の業務用太麺パスタやPBパスタソース、OEMカレーの展開により安定した収益基盤を構築しており、本事業は日本製麻が運営しています。
■産業資材事業
黄麻(ジュート)製品や米・麦用の紙袋・フレコン袋などの大型包装資材、緑化用・防虫用資材の販売を行っています。顧客は食品メーカーや農業関係者、土木・建設業者などです。
収益は、これらの包装・産業用資材の販売代金から得ています。黄麻製品を中心にインド等から輸入販売を行っており、環境に配慮した素材として需要を開拓しています。本事業は日本製麻が運営しています。
■マット事業
主に自動車用のフロアマットの販売を行っています。主な顧客はスズキなどの国内自動車メーカーです。
収益は、新車のリニューアル時などにコンペを通じて受注する自動車用フロアマットの販売代金から得ています。原材料費や物流費の変動リスクに対応しながら高品質な製品を提供しており、本事業は日本製麻が運営しています。
■その他
報告セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸事業を展開しています。
収益は、保有する賃貸用不動産からの賃貸収入で構成されており、本事業は日本製麻が運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高および経常利益は堅調に推移していましたが、直近の数値は一部未開示となっています。利益率は一桁台半ばで安定していましたが、足元では原材料費や物流費等のコスト上昇が利益を圧迫しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 32億円 | 37億円 | 43億円 | 44億円 | - |
| 経常利益 | 0.7億円 | 2億円 | 3億円 | 3億円 | - |
| 利益率(%) | 2.4% | 4.8% | 7.4% | 5.9% | - |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.4億円 | 0.6億円 | 0.6億円 | 0.6億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
前期の業績から、一定の利益率を確保していることがわかります。当期は売上・営業利益データが未開示のため比較ができませんが、製造コスト等の増加が課題となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 44億円 | - |
| 売上総利益 | 7億円 | 6億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.9% | - |
| 営業利益 | 1億円 | -0.4億円 |
| 営業利益率(%) | 2.2% | - |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1億円(構成比24%)、運賃諸掛が1億円(同16%)、役員報酬が0.6億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントの直近の売上高をまとめました。食品事業が全体の過半を占める主力事業となっており、産業資材とマット事業がそれに続きます。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 食品事業 | - | 13億円 |
| 産業資材事業 | - | 5億円 |
| マット事業 | - | 6億円 |
| その他 | - | 0.0億円 |
| 連結(合計) | - | 24億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
前期のキャッシュ・フローは、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う積極型でした。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2億円 | - |
| 投資CF | -5億円 | - |
| 財務CF | 6億円 | - |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も43.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「法令を遵守し、社会に貢献する」を経営理念に掲げています。企業価値を高めるため、健全で透明性が高く、経営環境の変化に的確に対応できる経営体制の確立を経営課題の1つと位置づけています。
■(2) 企業文化
「ステークホルダーとの関係を重視しながら取引先の基盤を拡大していく」という基本方針のもと、「人間性を尊重し、活力・魅力ある企業をつくる」ことを目指す文化が根付いています。事業を通じて社会課題の解決に寄与し、持続的な社会の発展に貢献することを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
以前は「収益拡大」に重点を置き、売上高営業利益率4.0%以上を経営指標としていましたが、現在は事業体制強化を目的としたM&A等へ経営資源の再配分が必要と判断し、客観的な指標は定めていません。引き続き売上高や営業利益等を総合的に勘案し、企業価値向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
持続的かつ安定した成長と高収益体質への転換を図り、既存事業の継続基盤強化と新事業の開発を推進します。特に食品事業での北陸工場の増設・増強や、成長分野におけるM&Aを実施し、売上の拡大や付加価値の向上を図る戦略です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本を重要視し、年齢、性別、国籍などにこだわることなく均等に雇用の機会を提供しています。就業時間管理の効率化やデジタル化の加速に向けた人材投資、等級制度の導入による職責に応じた給与水準への転換など、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 48.3歳 | 14.2年 | 3,893,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には一部の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格・物流費等の高騰リスク
食品事業の小麦などの原材料価格の高騰や、世界的なエネルギー価格・物流費・人件費の上昇は、価格転嫁が十分に追いつかない場合、同社の収益を圧迫し経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 品質問題・リコールの発生リスク
食品事業での異物混入等の品質問題による製品回収、および産業資材事業やマット事業における品質問題によるリコールが発生した場合、同社のブランドイメージの低下や多額の対応費用が発生し、業績や財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。
■(3) カントリーリスク・国際情勢の影響
産業資材事業では黄麻製品をインドやバングラデシュ等から輸入しており、現地の自然災害やカントリーリスクがあります。また、ウクライナ情勢や中東情勢の不安定化による物流網の混乱は、供給の不安定化やコスト上昇を招くリスクとなります。



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