【平均年収657万円】日本フエルト 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収657万円】日本フエルト 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

日本フエルトは、グループ各社とともに、紙・パルプ用フェルトや工業用フェルトの製造・販売を主軸に、不動産賃貸事業も展開しています。直近期は減収ながら利益は大きく改善しました。


目次

※本記事は、日本フエルト株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


日本フエルトグループは、紙・パルプ用フェルトや工業用フェルトの製造・販売を主軸とする事業を展開しています。また、不動産賃貸事業も手掛けており、多角的な事業構造となっています。

単体従業員数は391名、連結従業員数は541名です。同社グループの事業セグメントは、フェルト事業と不動産賃貸事業の2つです。

主な国内グループ会社は、(連結子会社)東山フエルト(フェルト事業)、ニップ縫整(同)などです。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


日本フエルトは、伝統を継承しつつ新たな挑戦を続ける企業として、持続的な成長のために「人」と「組織」の成長を重視しています。社員一人ひとりの多様性と専門性を活かし、長期的なキャリア形成を支援する環境づくりに力を入れていることがうかがえます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、平均年齢が高く、平均勤続年数も長いため、社員が長期にわたって安定して働き続ける傾向があると考えられます。これは、社員が腰を据えてキャリアを築ける環境が整っていることを示唆しています。

項目 数値
平均年間給与 6,567,481円
平均勤続年数 21年6ヶ月
平均年齢 44歳2ヶ月
単体従業員数 391人
連結従業員数 541人
単体のグループ内比率 72.3%


退職給付制度

同社グループは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の退職給付制度を併用しています。これらの制度は国内グループ会社および海外子会社を含む全グループに適用されています。

退職一時金制度も導入されています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

なお、確定給付制度における退職給付債務は20.8億円、年金資産は27.4億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


日本フエルトは、企業理念に基づき、社員一人ひとりの「多様性」と「専門性」を活かすことを人材戦略の重要な柱としています。この方針のもと、「人材育成」「社内環境の整備」「女性活躍の推進」を強化し、持続的な企業価値向上を目指しています。

従業員の給与は社員給与規則に基づき、定期昇給やベースアップによって待遇改善を図っています。賞与は業績をベースに決定される仕組みです。

人材育成においては、多様なスキルや能力を持つ人材の確保・育成に注力しています。新卒の通年採用や中途採用、非正規社員から正社員への登用、一般職から総合職へのコース転換などを通じて、多様な人材を積極的に採用しています。また、立場や役割に応じた階層別研修、次世代リーダー研修、グローバル人材研修、IT研修などを実施し、個人と組織の成長を支援しています。

社内環境の整備では、社員が安心して「イキイキ」と働き続けられる環境の構築を目指しています。中期経営計画の重点課題である働き方改革の一環として従業員エンゲージメント調査を実施し、その結果に基づいた施策を進めています。キャリア継続の支援として、年次休暇取得の推進、フレックスタイム制度の積極的活用、男性の育児休業取得推進、ジョブリターン制度の導入などを行っています。さらに、社員の健康を企業価値向上の基盤と捉え、「健康経営」を推進し、2年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されています。

女性活躍の推進にも力を入れており、女性管理職候補の増加を目指し、一般職から総合職への登用やキャリアアップ支援を積極的に実施しています。仕事と家庭の両立支援として、時間単位の年次休暇制度や積立年次休暇の取得要件緩和、女性専用ミーティングルームの設置など、女性社員の声を反映した制度整備を進めています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。パート労働者については、正規雇用者の所定労働時間で換算した人数を基に平均年間賃金を算出しています。

指標 数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 4.1%
男性労働者の育児休業取得率 92.3%
労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) 71.1%
労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) 73.3%
労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) 67.4%

多様性・登用


2025年度の実績です。女性管理職比率および女性総合職社員比率は、定年退職者がいたことが影響しています。

指標 数値
女性管理職比率 4.1%
女性役職者比率 13.6%
女性総合職社員比率 10.2%

育児・介護支援


2025年度の実績です。年次休暇取得率は、時間単位の年次休暇制度の浸透が影響しています。男性の育休取得率は目標を達成しました。

指標 数値
年次休暇取得率 70.5%
男性の育休取得率 92.3%

人材育成・エンゲージメント


2025年度の実績です。一人当たり教育研修費は、外部研修だけでなくOJTを含めた社内の教育環境充実が影響しています。

指標 数値
一人当たり教育研修費 10,100円

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


日本フエルトグループは、長年にわたり培ってきた技術を基盤に、主にフェルト製品の製造・販売と不動産賃貸事業を展開しています。これら二つの事業を柱として収益を上げています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、紙・パルプ用フェルトや工業用フェルトなどの製造・販売を主軸とするフェルト事業と、不動産の賃貸を行う不動産賃貸事業を展開しています。これらの事業を通じて、顧客に製品やサービスを提供し、収益を得るモデルを構築しています。

フェルト事業

フェルト事業では、抄紙用および一般工業用フェルト製品と、それらに付随する商品の生産と販売を行っています。収益は、紙・パルプ用フェルトと工業用その他の製品の販売から得ています。国内ではマーケット縮小の影響を受け販売数量が減少しましたが、国外では中国やインドネシアなどで販売が持ち直す動きが見られました。

不動産賃貸事業

不動産賃貸事業では、本社ビルを活用したテナント事業や駐車場賃貸事業のほか、介護施設事業者向けや不動産事業者向けに土地や建物の貸与を行っています。収益は、これらの賃貸収入から得ています。高い入居率を継続しており、堅調に推移しています。

同社グループの売上高は、フェルト事業が大部分を占めており、不動産賃貸事業がこれに次ぐ規模となっています。地域別の売上高を見ると、日本国内が約8割を占め、アジア地域が約2割を占めています。主要な顧客としては、日本製紙株式会社への売上高が全体の1割強を占める状況です。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
フェルト事業 90.8億円 87.7億円
不動産賃貸事業 6.1億円 6.3億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は直近で減少傾向にあります。しかし、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも当期に増加に転じ、前期から大きく改善しています。生産体制の見直しや効率化が利益改善に寄与したことが示されています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 98.4億円 104億円 101億円 97.0億円 94.0億円
経常利益 8.3億円 10.6億円 6.6億円 4.7億円 7.5億円
経常利益率 8.4% 10.2% 6.6% 4.8% 8.0%
親会社株主に帰属する当期純利益 5.0億円 7.5億円 4.9億円 4.3億円 5.6億円
1株当たり当期純利益(円) 26.38 39.89 26.39 23.84 31.78

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から横ばいとなっています。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から増加しており、生産性の改善が見られます。これは、売上高が減少する中でも、生産体制の効率化や諸費用の見直しを進めた結果、利益創出能力が向上したことを示しています。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 17.4百万円 17.4百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 0.4百万円 0.8百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


日本フエルトは、安定した財務基盤を背景に事業活動を行っています。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も継続している状況です。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


日本フエルトの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあり、盤石な財務体質を示しています。当期のROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、前期からは改善傾向にあります。手元資金である現金及び預金は当期に減少しましたが、依然として一定の厚みを維持しており、事業運営における安定性の一助となっています。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 207億円 229億円
自己資本比率 80.1% 79.9%
ROE(自己資本利益率) 2.1% 2.6%
現金及び預金 33.0億円 27.2億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の営業活動によるキャッシュフローは当期に6.9億円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上、売上債権の減少があった一方で、退職給付に係る負債の減少や棚卸資産の増加があったことによるものです。前期と比較すると減少しています。

投資活動によるキャッシュフローは、当期に△5.2億円の支出となりました。これは有形固定資産の取得による支出があった一方で、有価証券の償還による収入があったことによるものです。前期と比較すると支出額は減少しています。

財務活動によるキャッシュフローは、当期に△6.8億円の支出となりました。これは主に自己株式の取得や配当金の支払いに伴う支出によるものです。結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは1.7億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、余剰資金を生み出している状況を示しています。この資金の流れは、安定した事業運営と将来への投資余力を示唆しています。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 10.6億円 6.9億円
投資CF △7.5億円 △5.2億円
財務CF △6.2億円 △6.8億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 3.1億円 1.7億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、紙・パルプ業界向けの売上高が全体の約8割を占めており、同業界の景気後退や競争激化が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料の多くが石油由来であるため、中東情勢の影響による価格高騰もリスクとして認識されています。

③ 人材・組織に関するリスク

少子高齢化による労働人口の減少が進む中、従業員の高齢化や離職、労働市場の競争激化等により必要な人材を確保できない可能性があります。これにより、事業活動が停滞し、同社グループの業績に影響を及ぼすことがリスクとして挙げられています。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


日本フエルトは、「伝統の継承」と「新たな挑戦」の融合を通じて豊かな未来を創造することを企業理念として掲げています。同社グループは、この理念に基づき事業活動を展開しています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


日本フエルトグループは、「『伝統の継承』と『新たな挑戦』の融合で豊かな未来を創造します」を企業理念として掲げています。この理念のもと、事業活動を展開しています。

同社グループは、10年長期ビジョンとして「業界の先駆者として磨き上げた独自の価値・技術を活かし、永く広く社会の発展に寄与し続ける企業へ」を目指しています。

また、中期経営計画(2026年度~2028年度)では、「現状を乗り越え、長期にわたって持続可能な収益モデルの構築へ挑戦する」ことを中期経営方針として設定しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


日本フエルトは、企業理念に基づき「経営指針」と「企業行動指針」を制定し、役員及び従業員が遵守すべきガイドラインとしています。また、品質に関する指針と環境に関する指針を定め、社会的責任の達成に努めています。

同社は、持続的な企業の成長のため、「人」と「組織」が互いに成長し、力強いプロフェッショナル集団であり続けられる人的資本経営を推進しています。

人材戦略では、社員一人ひとりの「多様性」と「専門性」を活かすことを重要な柱としています。「人材育成」、「社内環境の整備」、「女性活躍の推進」の強化を通じて、企業価値の向上を目指しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、主要取引先である紙・パルプ業界の国内需要減少が続く厳しい経営環境に対応するため、強靭な収益構造の構築を最重要課題としています。

中期経営計画(2026年度~2028年度)では、環境負荷の低減と省エネルギーの推進を重点課題としています。具体的には、抄紙工程の電力負荷を低減するワイヤーの開発や、エネルギー消費原単位の低減、原料リサイクルの推進に取り組んでいます。

また、人的資本戦略として「人材育成」、「社内環境の整備」、「女性活躍の推進」を強化しています。働き方改革の一環として従業員エンゲージメント調査を実施し、キャリア継続の実現に向けた多様な働き方や、健康経営の推進にも力を入れています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


日本フエルトは監査役会設置会社であり、取締役会と常務会で重要な業務執行を決定しています。
経営の透明性・健全性を高めるため、社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会を設置し、執行役員制度も導入しています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


日本フエルトの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社である王子ホールディングスです。
その他、日本製紙などの事業会社や日本証券金融、みずほ銀行といった金融機関が上位に名を連ねています。
また、従業員持株会も大株主の一つとして、同社の資本を支える特徴的な構成となっています。

株主名 持株比率
王子ホールディングス 9.66%
日本証券金融 4.64%
日本製紙 4.40%
みずほ銀行 2.96%
日本フエルト従業員持株会 2.76%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。
代表取締役社長は矢崎荘太郎氏が務めています。
社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
矢崎 荘太郎 代表取締役 取締役社長 社長執行役員 管理部門管掌 1980年同社入社後、経営企画室長、総務人事部長などを歴任。2013年取締役就任、2023年6月より代表取締役社長 社長執行役員 管理部門管掌より現職。
芝原 誠一 代表取締役 取締役会長 1976年同社入社後、営業部門で要職を歴任。2011年取締役就任、2015年代表取締役社長就任。2023年6月より代表取締役 取締役会長より現職。
富田 協一 取締役 常務執行役員 生産部門・技術部門・研究開発部門管掌 1984年同社入社後、研究開発部部長、技術開発部長などを歴任。2018年執行役員就任、2020年取締役就任。2023年6月より取締役 常務執行役員 生産部門・技術部門・研究開発部門管掌より現職。
宮坂 隆志 取締役 常務執行役員 営業部門管掌 兼 海外営業部長 1984年同社入社後、紙パ営業第2部長などを歴任。2018年執行役員就任、2020年取締役就任。2025年5月より取締役 常務執行役員 営業部門管掌 兼 海外営業部長より現職。


社外取締役は、緒方孝則氏(リバティ法律事務所所長・アイビー化粧品社外取締役)、河津司氏(日本貿易会専務理事)、小野田春佳氏(Bytedance HR Legal)です。

同社は監査役会設置会社です。
社外取締役3名と社外監査役2名を含む体制により、取締役会と監査役会が連携し、経営の監督機能強化を図っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


日本フエルトの役員報酬は、固定金銭報酬と業績連動報酬で構成されています。
業績連動報酬には役員賞与と譲渡制限付株式報酬があり、役員賞与は経常利益の動向、譲渡制限付株式報酬は連結1株当たり当期純利益の動向に連動して決定されます。
報酬の種類ごとの比率の目安は、固定金銭報酬:業績連動金銭報酬:業績連動非金銭報酬=4:1:1とされています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 4名 1.9億円 48.4百万円
監査役(社外除く) 1名 17百万円 17.4百万円
社外役員 5名 33百万円 6.6百万円


※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。