サイボー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サイボー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する企業です。繊維製品の製造・販売事業を祖業とし、現在は商業施設の不動産賃貸やゴルフ練習場の運営も主力事業として展開しています。直近の決算では、繊維事業における大型案件の剥落や市況の影響等により、売上高、経常利益ともに減少する減収減益となりました。


#記事タイトル:サイボー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、サイボー株式会社 の有価証券報告書(第102期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サイボーってどんな会社?


繊維事業から始まり、現在は大型商業施設の賃貸やゴルフ練習場運営など多角的な事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1948年に埼玉紡績として設立され、1961年に東京証券取引所第2部に上場しました。1967年に現社名へ変更後、2000年には本社敷地内に大型ショッピングセンター「イオンモール川口前川」を建設し賃貸を開始するなど不動産事業を拡大しました。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。

連結従業員数は106名、単体従業員数は51名です。筆頭株主は不動産賃貸業を営む埼栄不動産で、第2位は同社取締役の飯塚元一氏、第3位は不動産会社の大栄不動産となっており、創業家や関連企業が主要株主として名を連ねています。

氏名 持株比率
埼栄不動産 16.95%
飯塚元一 11.08%
大栄不動産 5.15%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名、計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は飯塚榮一氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。

氏名 役職 主な経歴
飯塚 榮 一 代表取締役社長 1974年同社入社。繊維事業本部長、アパレル部長などを歴任し、2020年代表取締役専務を経て、2021年6月より現職。
飯塚   将 専務取締役不動産事業本部統括兼不動産開発事業部長 1999年同社入社。不動産開発事業部長などを経て、2021年6月より現職。
飯塚   豊 常務取締役管理本部統括兼総務部長 1993年同社入社。東京支店長、総務部長などを経て、2021年6月より現職。
飯塚 元 一 取締役経営企画室長 1992年埼栄不動産取締役。同社代表取締役社長などを経て、2023年8月より現職。
伊 藤 素 典 取締役繊維事業本部長 2003年同社入社。繊維事業本部アパレル部長を経て、2024年8月より現職。
白 田 浩 二 取締役管理本部財務部長兼経理部長 1988年埼玉銀行(現埼玉りそな銀行)入行。同社管理本部財務部長を経て、2025年4月より現職。


社外取締役は、西原京子(元日産証券監査役)、嶋田昌美(元富士ヒューマンテック代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「繊維事業」「不動産活用事業」「ゴルフ練習場事業」および「その他の事業」を展開しています。

繊維事業


ユニフォーム、衣料品、レーヨン糸等の各種原糸、刺繍レース、アウトドア関連商品などの製造販売を行っています。また、糸糊付加工やプリント加工品の製造販売も手がけ、法人顧客を中心に製品を提供しています。

収益は、製品や商品の販売代金、加工賃などから得ています。運営は主にサイボーが行うほか、刺繍レースはフロリア、プリント加工品はサイボークリエイト、糸糊付加工は日宇産業が担当しています。

不動産活用事業


埼玉県川口市を中心に、「イオンモール川口前川」や「イオンモール川口」などの大型商業施設や、その他不動産の賃貸を行っています。また、ビルメンテナンスの運営も手がけています。

収益は、商業施設やその他不動産の賃借人からの賃貸収入およびビルメンテナンス料から得ています。不動産賃貸の運営はサイボーおよび埼玉興業が行い、ビルメンテナンスはサイボーが担当しています。

ゴルフ練習場事業


埼玉県内で「川口グリーンゴルフ」など複数のゴルフ練習場を運営し、一般顧客向けにゴルフ練習の場を提供しています。また、ゴルフスクールや個人レッスンなどのサービスも充実させています。

収益は、ゴルフ練習場の利用者からの施設利用料やボール代、スクール受講料などから得ています。運営は、連結子会社である埼玉興業が行っています。

その他の事業


内装工事を請け負うインテリア施工事業のほか、関連会社を通じて自動車板金塗装修理、自動車販売代理店の経営、システム開発、スポーツ用品の卸売・小売などを行っています。

収益は、内装工事の請負代金などから得ています。インテリア施工事業の運営は神根サイボーが行っています。また、自動車関連事業はトヨタ東埼玉グループやネッツトヨタ東埼玉などが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2024年3月期にかけては、売上高、利益ともに拡大傾向にありましたが、2025年3月期は減収減益となりました。利益率は10%前後で推移しており、比較的安定した収益性を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 67億円 90億円 102億円 114億円 103億円
経常利益 9億円 7億円 12億円 14億円 12億円
利益率(%) 13.0% 8.3% 11.7% 12.4% 12.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 3億円 7億円 9億円 3億円

(2) 損益計算書


前期と比較すると、売上高の減少に伴い売上総利益の伸びは限定的となりました。また、販売費及び一般管理費が増加した影響で、営業利益は減少しました。営業利益率は低下しましたが、依然として黒字を確保しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 114億円 103億円
売上総利益 26億円 27億円
売上総利益率(%) 23.2% 26.2%
営業利益 10億円 8億円
営業利益率(%) 8.6% 7.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5億円(構成比25%)、貸倒引当金繰入額が4億円(同21%)を占めています。売上原価については、商品及び製品売上原価や不動産賃貸費用などが主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


繊維事業は大型案件の反動減や消費低迷により大幅な減収となり、貸倒引当金の計上もあって営業損失となりました。一方、不動産活用事業は安定した賃貸収入により増益を確保し、ゴルフ練習場事業も客数増により増益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
繊維事業 68億円 55億円 -0.2億円 -3億円 -5.9%
不動産活用事業 34億円 35億円 9億円 11億円 30.8%
ゴルフ練習場事業 9億円 9億円 0.1億円 0.3億円 3.3%
その他 3億円 4億円 0.6億円 0.5億円 11.2%
調整額 -7億円 -6億円 -0.2億円 -0.3億円 -
連結(合計) 114億円 103億円 10億円 8億円 7.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業で得た資金を借入金の返済や投資に充てており、財務体質の改善と事業基盤の維持・強化を両立させている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 23億円 24億円
投資CF -2億円 -6億円
財務CF -14億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「顧客重視」「株主重視」「社員・地域重視」を経営基本方針として掲げています。豊かな生活に役立つ商品・サービスの提供を通じて地域経済の発展に寄与するとともに、資本効率や収益性を高め、株主への還元と企業価値の向上を目指すことを重要視しています。

(2) 企業文化


経営理念である「お客様によろこばれる商品の提供」を事業の基本としています。また、業容の拡充と環境配慮・地域貢献の両立を目指し、法令遵守や企業倫理を重視する文化があります。従業員一人ひとりの能力発揮や人材育成に注力するウェルビーイング経営にも取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2025年4月より3カ年中期経営計画「サイボー中期ビジョン2025」の最終年度を迎えています。持続的な成長と資本効率の向上を目指し、以下の指標を目標として掲げています。

* ROE(自己資本利益率):継続的に5%超

(4) 成長戦略と重点施策


繊維事業の収益力強化、不動産活用事業の安定収入確保、各事業での新たな挑戦をテーマとしています。繊維事業ではサステナビリティ対応やソリューション提案を強化し、不採算部門の見直しを進めます。不動産活用事業では、大型商業施設の競争優位性維持のため設備改修やイオンモールとの連携を深め、収益基盤を盤石なものにします。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人材」を最も重要な経営資源と位置づけ、社員一人ひとりの成長による活力ある組織づくりを目指しています。能力開発や適材適所の人材活用を推進するとともに、ワークライフバランスの充実、多様性の尊重、健康経営の推進、コンプライアンス遵守を通じて、健全で公平な職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 49.5歳 21.4年 6,271,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は従業員規模が300人以下のため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(63.2%)、社内エンゲージメント率(83.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の取引先の高い依存度について


同社グループは、イオンモールに対する大型商業施設の賃貸取引等が売上高の約3割を占めています。同社の事業戦略変更等により取引状況が変わった場合、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。また、多額の保証金を受領しており、解約時には資金が減少するリスクがあります。

(2) 海外活動にかかわるもの


繊維製品の委託生産を韓国や中国などのアジア諸国で展開しているため、予期せぬ法規制や税制の変更、政治的要因、自然災害、社会的混乱などのリスクがあります。これらの事象が発生した場合、生産体制や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 経済状況


繊維製品などは市況の影響を受けやすく、競合他社との価格競争や原材料価格の変動、為替相場の変動により業績が左右される可能性があります。特に輸入品の比率が高いため、急激な円安などの為替変動は調達コストの上昇を通じて業績に悪影響を与えるおそれがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。