サイボー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、サイボーの有価証券報告書(第103期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
0. まとめ
サイボーは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、繊維事業をはじめ、イオンモール等の大型商業施設を賃貸する不動産活用事業やゴルフ練習場事業、インテリア施工事業を展開しています。直近の連結業績では、企業向けユニフォームの堅調な受注やインテリア施工事業の大型案件獲得などにより、増収増益を達成しました。
1. サイボーってどんな会社?
サイボーは繊維製品の製造販売と大型商業施設の不動産賃貸を主力とする企業です。
(1) 会社概要
1948年に埼玉紡績として設立され、1961年に東京証券取引所に上場しました。1967年に現在のサイボーに社名を変更し、1984年には川口市内に大型商業施設を建設して不動産賃貸を開始しました。その後も建替えや増床を行い、現在の主力事業の一つとして安定収益基盤を確立しています。
現在の従業員数は連結で113名、単体で53名です。筆頭株主はその他の関係会社である埼栄不動産で、第2位は同社取締役である飯塚元一氏、第3位は大栄不動産です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 埼栄不動産 | 17.20% |
| 飯塚元一 | 11.24% |
| 大栄不動産 | 5.23% |
(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は飯塚榮一氏が務めており、取締役8名中2名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 飯塚榮一 | 代表取締役社長 | 1974年に同社へ入社し、アパレル事業部長や繊維事業本部長を歴任。2021年より現職。 |
| 飯塚将 | 専務取締役 | 1999年に同社へ入社後、不動産開発事業部長などを経て、2021年より現職。 |
| 飯塚豊 | 常務取締役 | 1993年に入社し、東京支店長や総務部長、ギフト事業部長などを歴任。2021年より現職。 |
| 飯塚元一 | 取締役 | 2007年に同社取締役となり、埼栄不動産やホテルサイボーの代表取締役社長も務め、2023年より現職。 |
| 伊藤素典 | 取締役 | 2003年の入社後、繊維事業本部アパレル部長などを経て、2024年より現職。 |
| 白田浩二 | 取締役 | りそな銀行での支店長などを経て、2020年に同社へ入社し、2025年より現職。 |
社外取締役は、西原京子(元日産証券取締役)、嶋田昌美(元富士ヒューマンテック代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、繊維事業、不動産活用事業、ゴルフ練習場事業、インテリア施工事業、およびその他の事業を展開しています。
繊維事業
同社および日宇産業、サイボークリエイトが、ユニフォームや衣料品、レーヨン糸、合繊生地などの繊維製品やプリント加工品の製造および販売を行っています。取引先となる企業や一般消費者に対し、環境配慮糸や高機能商材、防災用テントなどを提供しています。
収益は、製品の販売代金や加工委託料として顧客から受け取ります。運営は、同社を中心に、プリント加工品の製造販売を行うサイボークリエイト、糸糊付加工を請け負う日宇産業の各社が連携して事業を展開しています。
不動産活用事業
同社および埼玉興業が、埼玉県川口市を中心とした地域において、大型商業施設や病院施設、その他不動産の賃貸、ならびにビルメンテナンスの運営を行っています。近隣住民の生活環境に合わせた利便性の高い地域インフラを提供しています。
収益源は、テナント企業や施設運営者から受け取る不動産賃貸収入や保証金、ビルメンテナンスの請負料などです。運営は同社が主体となり、イオンモールなどに対して大型商業施設を賃貸しています。
ゴルフ練習場事業
埼玉興業が、川口・黒浜・騎西の各地域でゴルフ練習場を運営しています。一般のゴルフ愛好家を顧客とし、施設の利用やゴルフスクール、個人レッスンのサービスを提供しています。
収益は、施設の利用料やスクール受講料として顧客から直接受け取ります。運営は同社の子会社である埼玉興業が担っており、イベントの開催や設備のリニューアルを通じて顧客満足度の向上とリピーター獲得を図っています。
インテリア施工事業
神根サイボーが、法人顧客を対象に不動産に係る内装工事等のインテリア施工サービスを提供しています。長年の信頼関係を基盤に、大型案件から一般施工まで幅広く受注を獲得しています。
収益は、顧客から受け取る内装工事の請負代金です。運営は同社の子会社である神根サイボーが行っており、一般施工件数の増加による事業の安定化を推進しています。
その他の事業
トヨタ東埼玉グループやネッツトヨタ東埼玉、andro Japanなどの関連会社を通じて、自動車の板金塗装修理やトヨタ自動車の販売代理店経営、スポーツ用品の卸売および小売業などを展開しています。
収益は、自動車販売代金や修理代金、スポーツ用品の販売益として受け取ります。各関連会社がそれぞれの事業領域において独立して運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
(1) 業績推移
直近5期間において、売上高は一時的な増減があるものの、おおむね100億円規模で安定して推移しています。経常利益と当期利益についても底堅く推移しており、当期は企業向けユニフォームの受注などが牽引して増収増益を達成し、利益率も改善しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 90億円 | 102億円 | 114億円 | 103億円 | 103億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 12億円 | 14億円 | 12億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 8.3% | 11.7% | 12.4% | 12.1% | 13.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 7億円 | 9億円 | 9億円 | 11億円 |
(2) 損益計算書
売上高は前年と同水準を維持していますが、原材料価格の上昇などの影響で売上原価が増加し、売上総利益は減少しました。一方で、販売費及び一般管理費が大幅に減少した結果、営業利益および営業利益率は前年から改善しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 103億円 | 103億円 |
| 売上総利益 | 27億円 | 25億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.2% | 23.8% |
| 営業利益 | 8億円 | 10億円 |
| 営業利益率(%) | 7.8% | 9.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5億円(構成比33%)、役員報酬が2億円(同14%)を占めています。
(3) セグメント収益
繊維事業は原糸における円安等の影響や棚卸資産の評価損計上により減収で営業損失となりました。一方、不動産活用事業は安定収益を確保して利益全体を牽引し、インテリア施工事業は大型案件の獲得により大幅な増収増益を記録しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 繊維事業 | 55億円 | 50億円 | -3億円 | -1億円 | -2.8% |
| 不動産活用事業 | 35億円 | 35億円 | 11億円 | 10億円 | 28.9% |
| ゴルフ練習場事業 | 9億円 | 9億円 | 0.3億円 | 0.1億円 | 1.3% |
| インテリア施工事業 | 4億円 | 9億円 | 0.5億円 | 1億円 | 14.9% |
| 連結(合計) | 103億円 | 103億円 | 8億円 | 10億円 | 9.6% |
(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 24億円 | 21億円 |
| 投資CF | -6億円 | -12億円 |
| 財務CF | -15億円 | -12億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.4%であり、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
(1) 経営理念
同社グループは、「顧客重視」「株主重視」「社員・地域重視」を経営の基本方針として掲げています。豊かな生活に役立つ商品やサービスを提供して地域経済の発展に寄与するとともに、資本効率ならびに収益性を高め、株主に対して報いることで企業価値の向上を目指しています。
(2) 企業文化
同社は、「お客様によろこばれる商品の提供」を経営理念に掲げ、すべての事業活動の基本としています。また、人材を最も重要な経営資源である「人的資本」と位置づけ、社員一人ひとりのウェルビーイング(心身の健康と幸福)を追求し、主体性と想像力を引き出す健全で公平な職場環境を重視しています。
(3) 経営計画・目標
同社は、資本効率の向上と持続的な成長を目標として、以下の具体的な数値目標を掲げています。また、株主への安定配当と健全な財務体質の維持を目的に「1株当たり当期純利益」を、各事業の収益性向上を目的に「売上高経常利益率」を重視した経営を目指しています。
・ROE(自己資本利益率)の継続的な5%超の達成
(4) 成長戦略と重点施策
同社は、「サイボー中期ビジョン2028」のもと、次なる成長へ向けた事業分野の積み上げとシフトを図ります。繊維事業では高付加価値領域の育成や機能性商材への軸足移行を進め、不動産活用事業では既存施設の優位性維持と介護施設などへの賃貸物件拡充による安定収益基盤の維持・強化に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
(1) 人材戦略・方針
同社グループは、社員一人ひとりが有する能力や経験の蓄積こそが競争力の源泉であると認識し、人的資本への投資を推進しています。個々の強みを最大限に引き出す育成や配置を通じて、役割に応じた価値発揮を実現できる人材の創出と、活力ある組織づくりに取り組んでいます。
(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 48.6歳 | 19.7年 | 6,404,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(70.7%)、女性の育児休業取得率(100.0%)、社内エンゲージメント率(91.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
(1) 特定の取引先の高い依存度について
同社グループは、イオンモールに対して大型商業施設の賃貸等を行っており、当期の取引高は売上高全体の35.2%を占めています。同社が取引状況を変更した場合や、解約により多額の預り保証金の返済が発生した場合には、同社グループの業績や保有資金に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 経済状況および市況変動リスク
同社グループが展開する繊維品の製造販売などは、他社との競合に伴う市場価格の変動や、急激な為替相場の変動による影響を強く受けます。特に海外での委託生産において価格競争が激化した場合、売上高の減少等を通じて業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 投資有価証券および顧客の信用リスク
同社グループが保有する株式等の市場価格が大幅に下落した場合には、評価損が発生するリスクがあります。また、取引先の経営状況が悪化した場合、貸倒引当金の計上や棚卸資産の評価損の発生等により、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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