※本記事は、株式会社ヤマウラ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ヤマウラは、建設事業、エンジニアリング事業、開発事業等を展開する企業グループです。建築・土木工事から自動制御装置、水管理機器の設計・製造、不動産開発や再生エネルギー事業まで多岐にわたる事業を手掛けています。
単体従業員数は458名、連結従業員数も458名です。同社グループの事業セグメントは、建設事業、エンジニアリング事業、開発事業等の3つです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ヤマウラは、地域に根差した「まちづくり」と「ものづくり」を通じて、一世紀以上にわたり発展してきた企業グループです。同社グループは「Live a happy life」をパーパスに掲げ、一人ひとりが役割と生きがいを感じながら安心して働き続けられる環境づくりを目指しています。人材を最重要経営資源と位置づけ、働きがいの向上と公正な処遇を重視する方針がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も高めであることから、長期的なキャリア形成が可能な環境であると考えられます。安定した人材の定着が見られ、経験豊富な従業員が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,243,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.4年 |
| 平均年齢 | 43.1歳 |
| 単体従業員数 | 458人 |
| 連結従業員数 | 458人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
同社は従業員の退職給付に備えるため、確定給付型の制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まるタイプ)を採用しています。この制度は国内の従業員を対象としています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。2026年3月31日時点の退職給付債務は9.7億円、年金資産は11.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「Live a happy life」をパーパスとし、一人ひとりが役割と生きがいを感じて働き続けることを目指しています。人的資本を最重要経営資源と位置づけ、採用・育成・定着・処遇の各施策を総合的に推進しています。成長領域を支える人材の確保と育成、現場力とマネジメント力の強化、働きがい向上と公正な処遇による定着促進を重点戦略としています。
報酬制度においては、職務価値・役割・責任範囲に応じた等級制度を採用し、職務・役割に応じた給与体系を構築しています。業績目標の達成度や職務遂行能力を総合的に評価し、昇給・賞与に反映させることで、成果と能力を適切に評価する仕組みです。評価基準の明確化により公正性・透明性を確保し、従業員の働きがい向上と定着促進につなげています。
人材育成の基本方針は「信頼される人づくり」であり、人間力ある社員、誠実な社員、向上意欲のある社員の育成に注力しています。ヤマウラアカデミーという教育研修体系のもと、専門教育と一般教育を兼ね備えたカリキュラムを提供し、300本以上の自社制作動画による基礎教育システムを導入しています。これにより「入社3年で独り立ち」できることを目標としています。
また、新入社員向けの独身寮「ベルナビオ」では、全寮制に近い体制で1年間学び、自治組織運営を通じて社会参画の重要性や人間力を培う機会を提供しています。BIM研修などの最新IT技術学習も入社時集合研修の一環として行われ、デジタル人材の育成にも力を入れています。健康づくり、資格取得支援、エンゲージメント向上、ダイバーシティ&インクルージョンも重点項目としており、特に技術士と一級建築士の取得は学費支援や報酬加算などトータルサポート体制で支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、賃金制度・体系における性別による差異はなく、主に勤続年数の差による等級別の人数分布の差によって生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.6% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 63.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 93.4% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 2025年度実績 | 2030年度目標 |
|---|---|---|
| 資格取得(技術士) | 19名 | 30名 |
| 資格取得(一級建築士) | 56名 | 80名 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ヤマウラは、建設事業を主軸に、エンジニアリング事業、開発事業等を展開する企業グループです。地域への貢献とお客様からの信頼を重視し、多岐にわたる事業活動を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、建設、エンジニアリング、開発事業等を主な事業内容としています。各事業部でのドメイン強化と部門間連携を推進し、DXを活用してヤマウラブランドの強化を図っています。新規顧客の開拓や新規分野での受注確保にも努めています。
建設事業
建築工事や土木工事、それに付帯する開発事業を手掛けています。工場建築では長野県内で高い施工実績を持ち、グループ全体の売上に貢献しています。収益は、主に製造業や運輸業等の民間建築工事、公共建築、河川改修工事、道路工事などの完成工事から得ています。
エンジニアリング事業
創業以来培ってきた技術と実績を活かし、水力発電設備関連工事、合成床版、大型産業機械などの設計から製作、施工、メンテナンスまでを一貫して提供しています。建設事業との連携も強化し、新製品開発や顧客指向の営業活動を通じて新規取引先の開拓に注力しています。収益は、水力発電設備関連工事やインフラ関連工事の完成工事から得ています。
開発事業等
土地価格や建築価格の高騰など不透明な事業環境を鑑み、新規開発案件には慎重に対応しつつ、完成物件の販売促進、リノベーション、買取再販事業に重点的に取り組んでいます。収益は、主に土地や分譲マンションの販売、および不動産賃貸収入から得ています。
同社グループの売上高は、特定の顧客への集中が見られます。当連結会計年度においては、日本発条株式会社への売上高が建設事業において一定の割合を占めています。また、本邦以外の外部顧客への売上高はなく、国内市場に特化した事業展開となっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 建設事業 | 286億円 | 355億円 |
| エンジニアリング事業 | 40.1億円 | 30.7億円 |
| 開発事業等 | 29.7億円 | 19.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに堅調な増加傾向を示しています。特に直近の連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前年同期を上回る増収増益となりました。これは、民間建築工事や水力発電関連設備の大型工事の受注増加、公共建築や国土強靭化計画を背景とした工事の受注増、およびマンション販売の好調が要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 279億円 | 314億円 | 375億円 | 356億円 | 405億円 |
| 経常利益 | 16.2億円 | 19.7億円 | 41.5億円 | 39.7億円 | 45.7億円 |
| 経常利益率 | 5.8% | 6.3% | 11.1% | 11.1% | 11.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.8億円 | 7.4億円 | 29.8億円 | 30.0億円 | 31.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 40.96 | 39.36 | 157.24 | 158.63 | 167.22 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も同様に増加しており、組織全体の生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループが効率的な事業運営を進めていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 79.3百万円 | 88.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 8.7百万円 | 9.3百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動と投資活動において資金を使用している状況を示しています。これは、将来に向けた成長投資を積極的に行っているフェーズにあることを示唆しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と安定したROEを示しています。自己資本比率はプライム市場平均と比較して高い水準にあり、強固な財務体質を構築していることがうかがえます。ROEもプライム市場平均を上回っており、効率的な資本活用ができている状況です。手元資金も一定規模を確保しており、事業運営の安定性につながっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 233億円 | 262億円 |
| 自己資本比率 | 75.5% | 72.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 13.7% | 12.8% |
| 現金及び預金 | 122億円 | 88.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度におけるキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが前期の資金獲得から一転して資金を使用する状況となりました。これは主に売上債権や販売用不動産の増加、仕入債務や契約負債の増加などが要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは、定期預金の預入や有形固定資産の取得、出資金の支出などにより、前期に比べて資金の使用額が増加しています。
財務活動によるキャッシュフローは、株主への配当による支出が主な要因となり、前期に比べて資金の使用額が増加しました。結果として、フリーキャッシュフローはマイナスとなっています。これは、事業拡大に伴う運転資金の増加や将来に向けた積極的な投資を行っているフェーズにあることを示しており、今後の事業成長への期待が持てる一方で、短期的な資金繰りの動向を注視する必要がある状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.8億円 | △16.1億円 |
| 投資CF | △6.1億円 | △22.9億円 |
| 財務CF | △2.8億円 | △5.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △5.3億円 | △38.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、建設需要の減少や主要資材価格の急激な上昇、不動産市場における需給状況や価格の大幅な変動といった事業環境の変化によるリスクを認識しています。これらの変化が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
建設業界全体で建設技術者や技能労働者が減少傾向にあり、高齢化と労働者のさらなる減少が進むと、工期の遅れや人件費の上昇を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社グループは、この担い手不足リスクを認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ヤマウラは、地域に根差し、サステナビリティを経営の軸として「まちづくり」と「モノづくり」を通じて地域の発展に貢献し続けることを目指しています。安全、品質、お客様満足度を最優先する経営を実践し、企業価値の継続的な向上に努めています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ヤマウラは、地域に根差し、地域の信頼を基盤に「まちづくり」と「モノづくり」を通して地域の発展に貢献し続けることを経営方針としています。サステナビリティを経営の軸とし、「安全第一」「品質第一」「お客様満足度第一」を経営の要諦として実践しています。
中期経営計画「Vision2030」では、MVV展開(ミッション:地域企業として社会に貢献、ビジョン:成長戦略、バリュー:企業価値向上)を掲げています。100年以上にわたり環境との共生を続け、地域と共に歩む企業として、企業価値の継続的向上に努めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「価値共創とサステナ」をパーパス(使命)とし、100年先も「豊かに暮らせる街」「夢を感じる日常」をつくり、社会に貢献することを目指しています。企業活動の持続性と継続性は三方良しの「共生」があってこそであり、コンプライアンスを旨とするガバナンス姿勢で社会に貢献するESG基本方針を掲げています。
人材育成においては「信頼される人づくり」を原点とし、同社のパーパスに共感し、経営理念を体現する人間力ある社員、誠実な社員、向上意欲のある社員の育成に注力しています。社員が幸福感を抱いて充実した生活が営めるよう、健康づくりを積極的にサポートしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、将来にわたる経営基盤となる地域への貢献と、お客様から信頼される誠実施工を念頭に置いています。各事業部でのドメインの強化と部門間連携を一層強め、DXを推進してヤマウラブランドの強化を図っています。
新規顧客の開拓推進や新規分野での受注確保にも努めています。また、グループガバナンスを強化し、内部統制が有効に機能する仕組みづくりを継続的に強化しています。法令遵守とコンプライアンスの徹底のもと、安全第一、技術力・品質第一、お客様満足度第一の精神で企業価値向上と社会貢献に尽力しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ヤマウラは監査等委員会設置会社であり、取締役会と監査等委員会を中心にコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。社外取締役が経営の監査・監督に重要な役割を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ヤマウラの株主構成を見ると、筆頭株主は信州エンタープライズであり、次いでヤマウラ従業員持株会が上位に名を連ねています。日本マスタートラスト信託銀行も主要株主の一つです。代表取締役社長である山浦正貴氏も個人として大株主の一人となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 信州エンタープライズ | 18.90% |
| ヤマウラ従業員持株会 | 9.50% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.70% |
| 八十二長野銀行 | 4.90% |
| 山浦正貴 | 2.30% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は山浦正貴氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山 浦 正 貴 | 代表取締役社長 | 2000年11月同社入社、2019年6月同社代表取締役社長より現職。2022年6月ヤマウラ企画開発㈱代表取締役社長より現職。 |
| 藤 木 公 明 | 専務取締役事業統括本部長兼建設事業部長 | 1977年3月同社入社、2019年6月同社専務取締役執行役員営業本部長、2026年4月同社専務取締役上席執行役員事業統括本部長兼建設事業部長より現職。 |
| 赤 羽 一 成 | 常務取締役経営戦略本部長 | 2003年8月同社入社、2025年6月同社常務取締役執行役員経営戦略室長、2026年4月同社常務取締役上席執行役員コーポレート部門管掌経営戦略本部長より現職。 |
| 保 科 茂 雄 | 取締役 | 1982年3月同社入社、2021年6月同社取締役副社長兼建設事業部長、2026年4月同社取締役より現職。 |
| 中 谷 亘 | 取締役技術本部長兼安全室長 | 1994年4月同社入社、2025年6月同社取締役執行役員技術本部長、2026年4月同社取締役上席執行役員技術本部長兼安全室長より現職。 |
社外取締役は、中坪敬治氏(税理士法人あおば会計社員)、神戸美佳氏(神戸法律事務所所長)、安部正明氏(税理士法人安部会計代表)、中村文雄氏(中村文雄税理士事務所)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員会は1名の常勤監査等委員と4名の社外取締役で構成されています。これにより、取締役会に対する監督機能と経営の透明性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ヤマウラの役員報酬は、優秀な人材の確保と企業価値向上へのインセンティブを目的として設計されています。取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬は、役位や職責に応じた基本報酬(固定金銭報酬)と、連結経常利益を指標とした業績連動金銭報酬(賞与)で構成されています。監査等委員である取締役には基本報酬のみが支給されます。また、2025年6月には、取締役を対象とした株式報酬制度(役員報酬BIP信託)が導入されました。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 18百万円 | 4.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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