※本記事は、滝沢ハム株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
滝沢ハムは、食肉及び食肉加工品の製造販売を主な事業内容としています。同社グループは、ハム・ソーセージ等の食肉加工品、レトルト食品や惣菜などの加工品、食肉の仕入れ・加工・販売を手掛けています。
単体従業員数は301名、連結従業員数は303名です。同社グループの事業部門は、食肉加工品、惣菜その他加工品、食肉、その他の4つです。
主な国内グループ会社は、当社、ワールドフードサービスなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
滝沢ハムは、社員を企業価値向上の源泉と位置づけ、多様な人材が能力を最大限に発揮できる組織づくりと、専門性・挑戦意欲を備えた人材の育成を重視しています。社員満足度の高い食品企業を目指し、働きがいのある職場環境づくりや処遇改善にも取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的長く勤める傾向が見られます。平均年齢も40歳を超えており、経験豊富な人材が安定して活躍している様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,919,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.5年 |
| 平均年齢 | 41.6歳 |
| 単体従業員数 | 301人 |
| 連結従業員数 | 303人 |
| 単体のグループ内比率 | 99.3% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。これらの制度は同社および連結子会社を対象としています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は664百万円、年金資産は586百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「消費者に感動を与え続ける商品をお届けし、地元愛と共に社員満足の高い食品企業への成長を続ける」というビジョンの実現に向け、人材を重要な経営資本と位置付けています。商品力強化や収益力向上、社員満足度向上、地域社会への貢献を推進するため、多様な人材が能力を最大限に発揮できる組織づくりと、専門性・挑戦意欲を備えた人材の育成が重要であると認識しています。
人事制度においては、社員一人ひとりの役割、能力、成果を適切に評価する人事評価制度の見直しを進めています。社員の賃金や賞与は、会社業績、職務遂行能力、経験、勤務成績等を総合的に勘案して決定される仕組みです。
人材育成では、商品カテゴリーごとの専門性を有する商品開発人材の育成や、原料調達・製造・製品化に関する知識・ノウハウの蓄積を通じた人材育成に取り組んでいます。また、チャレンジ精神、コミュニケーション力、リーダーシップを重視し、自己啓発や挑戦を尊重する企業風土の醸成に努めています。国籍、性別、人種、障害の有無等にかかわらず、多様な人材が能力を発揮できる職場環境整備を推進し、新卒採用に加え、専門性や経験を有する中途採用も積極的に実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。パート・有期労働者の男女賃金差異については、正社員の所定労働時間で換算した人数を基に平均年間賃金を算出しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 12.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 78.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 80.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 88.1% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
滝沢ハムは、食肉加工品、惣菜その他加工品、食肉の製造販売を主な事業内容としています。同社グループは、これらの製品の提供を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、食肉及び食肉加工品の製造販売を主軸として事業を展開しています。消費者に感動を与える商品を提供し続けることをビジョンに掲げ、新商品の開発や販売促進の強化に取り組んでいます。収益は、主に食肉加工品、惣菜その他加工品、食肉の各部門における製品の販売から得られています。
同社グループの事業は、主に以下の部門で構成されています。
食肉加工品
ハム・ソーセージなどの食肉加工品の製造と販売を行っています。収益は、これらの製品の販売から得ています。前期と比較して販売数量が減少し、売上高は減少傾向にあります。
惣菜その他加工品
惣菜やその他の加工品の製造と販売を行っています。新商品の導入などもあり、売上高は前期からわずかに増加しています。収益は、これらの製品の販売から得ています。
食肉
食肉の加工と販売を行っています。輸入ポークの取り扱いが減少したことにより、売上高は前期から減少しています。収益は、食肉の販売から得ています。
その他
外食部門などが含まれます。売上高は前期から増加しています。収益は、外食サービス等の提供から得ています。
同社グループは、本邦以外の外部顧客への売上高がなく、海外事業は展開していません。また、特定の顧客への売上高が連結損益計算書の10%以上を占める相手先はないため、特定の顧客に収益が集中している状況ではありません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 食肉 | 11兆8,696億円 | 11兆1,056億円 |
| 食肉加工品 | 10兆9,814億円 | 10兆2,104億円 |
| 惣菜その他加工品 | 5兆1,416億円 | 5兆1,506億円 |
| その他 | 962億円 | 986億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で減少傾向にあります。特に当連結会計年度においては、物価上昇に伴う個人消費の減退により販売数量が減少しました。
損益面では、直近2期連続で経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。しかし、当連結会計年度の営業損失および経常損失は、前期と比較して損失幅が縮小しました。主な要因としては、輸入牛肉をはじめとする原材料価格の高止まり、エネルギーコストの上昇、人件費の増加などのコストアップが挙げられています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローはプラスであり、本業でのキャッシュ創出は継続している状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 295億円 | 295億円 | 282億円 | 281億円 | 266億円 |
| 経常利益 | 1.7億円 | △1.7億円 | 1.7億円 | △4.1億円 | △3.6億円 |
| 経常利益率 | 0.6% | △0.6% | 0.6% | △1.4% | △1.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.7億円 | △1.9億円 | 1.2億円 | △5.0億円 | △2.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 85.11 | △93.03 | 60.29 | △241.16 | △112.20 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期からわずかに減少しています。これは、売上高の減少と従業員数の変動が影響していると考えられます。
従業員1人あたり営業利益は、前期に引き続き損失となっていますが、損失幅は縮小する傾向にあります。これらの指標は、同社グループの生産性や収益体質を示すものとして、入社を検討する上で注目される点となります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 88.1百万円 | 87.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △1.4百万円 | △1.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
滝沢ハムの財務状況は、営業損失が継続しているものの、キャッシュフローには改善が見られます。現在の財務状況と資金の流れから、同社グループの安定性を確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
滝沢ハムの財務基盤を見ると、自己資本比率は当期で27.7%となっています。これはプライム市場の製造業平均と比較すると低い水準ですが、非製造業平均よりは高い水準です。ROE(自己資本利益率)は当期で-6.8%とマイナスであり、プライム市場平均を下回っています。
手元資金である現金及び預金は、前期の14.1億円から当期は19.7億円に増加しています。これらの財務状況は、同社グループの安定性や将来の成長投資余力に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 34.8億円 | 33.4億円 |
| 自己資本比率 | 27.9% | 27.7% |
| ROE(自己資本利益率) | -13.2% | -6.8% |
| 現金及び預金 | 14.1億円 | 19.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
滝沢ハムのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に4.8億円のプラスとなりました。これは前期の0.0億円から大きく増加しています。主な要因としては、減価償却費や棚卸資産の減少、売上債権の減少があった一方で、税金等調整前当期純損失が計上されています。
投資活動によるキャッシュフローは、当期に3.0億円のプラスとなりました。前期は4.9億円のマイナスでしたが、投資有価証券の売却による収入が有形・無形固定資産の取得による支出を上回ったことが主な要因です。この結果、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、当期に7.7億円のプラスとなり、前期の△4.9億円から改善しています。
財務活動によるキャッシュフローは、当期に△2.1億円のマイナスとなりました。長期借入れによる収入や短期借入金の純増があったものの、長期借入金の返済やリース債務の返済による支出が上回ったためです。当期のキャッシュフローは全体として改善傾向にあり、資金の流動性確保に努めている状況がうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.0億円 | 4.8億円 |
| 投資CF | △4.9億円 | 3.0億円 |
| 財務CF | △1.9億円 | △2.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △4.9億円 | 7.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
滝沢ハムは、前連結会計年度より継続して営業損失が発生していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しています。しかし、同社グループは商品開発力の強化や生産性向上、コスト構造改革、調達リスクの低減、人材確保と働きやすい職場環境の整備に努め、業績回復を図る方針です。当連結会計年度には営業活動によるキャッシュフローがプラスとなり、資金繰りに重要な懸念はないと判断しています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、原材料等の調達において世界的な需給関係の変化や為替相場の動向、家畜疾病の発生などにより、仕入価格が上昇する市況変動リスクを認識しています。また、製造工程での異物混入やアレルゲン問題等で製品事故が発生する可能性があり、大規模な事故が発生した場合には、製品回収等のコスト発生や売上高の減少により業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、継続企業の前提に関する重要事象の解消策として、人材確保と働きやすい職場環境の整備に努める方針を示しています。これは、人材の獲得や維持が経営上の重要な課題であると認識していることを示しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
滝沢ハムは、食文化の向上と健康増進への貢献を経営の基本理念として掲げ、安全・安心な食品提供を通じて社会から信頼される企業を目指しています。お客様、株主、取引先、地域社会、そして従業員を含むすべてのステークホルダーとの共生を重視する企業風土があります。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
滝沢ハムグループは、「より良い食品を通じて食文化の向上と健康増進に貢献する」ことを経営の基本理念としています。この理念に基づき、安全・安心な商品をお客様に提供し、お客様に必要とされる企業となることを目指しています。また、安定した配当の継続と地域社会との共生を図ることを経営方針としています。同社グループは、すべてのステークホルダーから信頼される企業を目指し、事業活動に取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
滝沢ハムグループは、お客様、株主、取引先、地域社会、そして従業員を含むすべてのステークホルダーから信頼される企業を目指しています。企業価値を最大化させる人材の育成と、自己啓発やチャレンジが尊重される社風を重視しています。社員を無限の可能性を秘めた財産と位置づけ、チャレンジ精神、コミュニケーション、リーダーシップに基づいた人材育成を行っています。また、国籍、性別、人種、障がいなどの有無に関わらず、多様な人材が個性を活かして能力を発揮できる働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
滝沢ハムグループは、優先的に取り組むべき課題として「人材確保と働きやすい職場環境の整備」を挙げています。具体的には、働き方改革の推進、生産現場の省力化・自動化、教育・研修の充実による人材育成、社員満足度向上に向けた職場環境整備に取り組んでいます。中長期的経営戦略としては、「新基盤構築」の一環として人事制度の改革を推進しています。また、「連携推進」として提携企業先や栃木県内企業、自治体との関係強化を図り、「同社グループの強みへの集中と新たな強みの育成」も重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
滝沢ハムは、監査等委員会設置会社として、取締役会と監査等委員会が経営の意思決定と職務執行の監視・監督を行っています。取締役会は社外取締役を含む多様な構成となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
滝沢ハムの株主構成を見ると、筆頭株主は有限会社滝沢興産であり、同社グループの創業家またはその関連会社が主要な位置を占めていることがうかがえます。また、大手事業会社である伊藤忠商事や、同社グループの取引先持株会も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社滝沢興産 | 22.45% |
| 伊藤忠商事 | 15.34% |
| 滝沢ハム取引先持株会 | 7.51% |
| 足利銀行 | 3.68% |
| 瀧澤太郎 | 2.92% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長は瀧澤太郎氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 瀧澤太郎 | 取締役社長(代表取締役) | 1999年1月同社入社、2002年6月取締役就任、2003年4月代表取締役社長就任。2021年6月代表取締役会長を経て、2023年4月より同社代表取締役社長に現職。 |
| 山口輝 | 常務取締役管理本部長 | 2007年7月株式会社足利銀行退職後、2007年8月同社入社。監査部長、管理本部長兼総務部長を経て、2018年6月より常務取締役管理本部長に現職。 |
| 浜村恭弘 | 取締役 | 1987年9月浜村浩安税理士事務所入所、2007年2月税理士法人浜村会計設立社員税理士(現任)。2013年6月同社監査役就任、2016年6月より同社取締役に現職。 |
社外取締役は、浜村恭弘氏(税理士法人浜村会計社員税理士)、鎌形俊之氏(税理士法人鎌形会計代表社員)、新田裕子氏(慶應義塾大学院法務研究科非常勤講師・シンガポール国際調停センター日本代表)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能強化とコーポレートガバナンスの充実を図っています。社外取締役3名はいずれも独立役員として、客観的な視点から経営の監視・助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
滝沢ハムの役員報酬は、固定金銭報酬と業績連動金銭報酬で構成されています。監査等委員の報酬は、経営からの独立性と客観性を重視し、固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 53百万円 | 17.8百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 5.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 2百万円 | 1.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 7百万円 | 1.8百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。当期において業績連動報酬等は支給されていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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