※本記事は、株式会社中村屋 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
中村屋は、和菓子、洋菓子、中華まんなどの菓子類、業務用食材、市販用食品、調理缶詰の製造販売、およびレストラン経営を展開しています。また、商業ビルや土地の賃貸事業も手掛けています。
単体従業員数は780名です。セグメントは菓子事業、食品事業、不動産賃貸事業の3つです。
中村屋は、菓子事業、食品事業、不動産賃貸事業のすべてを本体で運営しています。菓子類、食品、調理缶詰の製造販売からレストラン経営、商業ビルや土地の賃貸まで、多岐にわたる事業を直接手掛けています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社は、食品事業を核とする企業として、従業員の長期的なキャリア形成と働きがいを重視しています。安定した事業基盤のもと、多様な働き方を支援し、個々の成長を促す環境づくりに注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高いことから、長期にわたってキャリアを築く従業員が多い傾向が見られます。これは、安定した環境で腰を据えて働きたいと考える方にとって、魅力的な要素となり得ます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,074,000円 |
| 平均勤続年数 | 19.0年 |
| 平均年齢 | 43.0歳 |
| 単体従業員数 | 780人 |
同社は、従業員向けに確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、国内の従業員を対象としています。
退職一時金制度も設けており、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
退職給付債務は81.6億円、年金資産は116億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
中村屋は「戦略を実行するのは人」という原則のもと、経営戦略と連動した人材戦略を推進しています。従業員が安心して働ける環境と成長する機会を提供し、ものづくり力の強化や多様な人材の活躍を重視しています。
給与体系においては、若手・中堅層を育成・成長期と捉え、成果だけでなく成長を重視する方針です。また、物価上昇や業績を考慮したベースアップも実施し、従業員の生活安定にも配慮しています。
同社は、従業員一人ひとりが仕事に挑戦し、成長することで働く喜びが生まれる職場環境を目指しています。多様な働き方を可能にする制度や仕組みを整え、快適な職場環境の提供に努めています。
さらに、多様性を尊重し、挑戦する人が成長し、能力を最大限に発揮できる風土を醸成しています。一人ひとりの挑戦や成長を支援する制度・仕組みを通じて、真の価値を創造する担い手の育成にも力を入れています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
これらのデータは、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出された、提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 55.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 69.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 82.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
中村屋は、和菓子、洋菓子、中華まんなどの菓子類、業務用食材、市販用食品、調理缶詰などの食品類を製造販売するほか、レストランの経営、さらには商業ビルや土地の賃貸事業も手掛けています。多様な事業を展開することで、幅広い顧客層に価値を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、菓子事業、食品事業、不動産賃貸事業の3つのセグメントで事業を展開しています。このうち菓子事業が最も大きな収益を上げており、次いで食品事業が続きます。不動産賃貸事業は規模としては小さいものの、安定した収益源となっています。海外の外部顧客への売上高はありません。また、特定の取引先への販売実績が全体の売上高に占める割合が高い傾向が見られます。
菓子事業
同社は和菓子類、洋菓子類、中華まん類を製造販売しています。カジュアルギフトや日常使いのデイリー菓子の品揃え強化、中華まんの通年販売やコンビニエンスストア販路での商品力向上、キャラメルスイーツ専門店のブランド展開などに取り組んでいます。収益はこれらの菓子の製造販売から得ています。当事業年度の売上高は前期と比較して減少しましたが、営業利益は増加しました。
食品事業
同社は業務用食材類、市販用食品類、調理缶詰類を製造販売するほか、レストランの経営を行っています。市販食品ではレトルト食品や中華調理用ソースの商品ラインナップ拡充、業務用食品では中食・内食販路への提案強化、直営レストランでの集客力向上に注力しました。収益はこれらの食品の製造販売とレストラン経営から得ています。当事業年度の売上高、営業利益ともに前期と比較して増加しました。
不動産賃貸事業
同社は商業ビル及び土地の賃貸事業を行っています。商業ビル「新宿中村屋ビル」の満室稼働維持や、武蔵工場敷地の一部、旧東京事業所跡地の借地権による地代収入を確保しています。収益は商業ビルや土地の賃貸料から得ています。当事業年度の売上高、営業利益ともに前期と比較して減少しました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 菓子事業 | 268億円 | 262億円 |
| 食品事業 | 95.0億円 | 102億円 |
| 不動産賃貸事業 | 9.2億円 | 9.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
当事業年度の売上高は前期と比較してわずかに増加しました。利益面では、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも前期から増加しており、特に営業利益と経常利益は二桁の増加率を示しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は本業で安定した資金を確保しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている状況です。財務基盤を強化しながら、事業の成長を目指していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
企業の財務基盤の安定性は、長期的な雇用や給与の安定性にも影響を与える重要な要素です。自己資本比率や手元資金の厚みは、事業の継続性や不測の事態への耐性を示す指標となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | - | - |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の営業活動によるキャッシュフローは収入を確保しており、本業で安定的に資金を生み出している状況です。これは主に長期前受収益の増加や減価償却費、税引前当期純利益があったことによるものです。
一方で、投資活動によるキャッシュフローは長期性預金の預入や有形固定資産の取得により支出が増加しました。その結果、フリーキャッシュフローはマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の増加により収入に転じました。同社は本業で得た資金を上回る投資を行っており、将来に向けた積極的な投資フェーズにあることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 51.7億円 | 61.9億円 |
| 投資CF | △6.5億円 | △62.6億円 |
| 財務CF | △30.3億円 | 3.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 45.1億円 | △69百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は特定の販売先が売上高に占める割合が高い状況にあり、販売先の営業方針等により取引が減少した場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、主力商品の原材料について、産地の天候不順や自然災害、輸入規制や価格高騰など想定を超えた状況が発生した場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
中村屋は、創業以来の商業経営哲学を受け継ぎ、「真の価値を追求し、その喜びを分かち合う」ことを経営理念としています。お客様への感動と笑顔の提供、従業員の成長と働く喜び、そして持続可能な社会への貢献を目指す企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、創業者の商業経営哲学を現在に受け継ぎ、理念体系を経営判断や日々の仕事の拠りどころとしています。経営理念は「真の価値を追求し、その喜びを分かち合う」です。お客様が求める不変の価値と時代の変化に応じた新たな価値を、中村屋で働く全員の力で実現し、お客様とともに喜び、ともに成長・発展していくことを目指しています。
ミッションとして、お客様に対しては「独自性を磨き、どこよりもおいしい商品を提供することで、感動と笑顔をお届けする」ことを掲げています。従業員に対しては「ひとりひとりが覚悟と熱意をもって仕事に挑戦し、成長することで働く喜びが生まれる風土をつくる」ことを、社会に対しては「持続可能な社会の実現に貢献し、ステークホルダーとの信頼を築く」ことを使命としています。
ビジョンは「中村屋は、創意工夫と挑戦で、これからのくらしに溶け込む、喜んでもらえる食を提案する」です。ブランドステートメント(中村屋の約束)として「変わらない「おいしい」を、いつもあたらしく。」を掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「真の価値を追求し、その喜びを分かち合う」という経営理念のもと、企業活動を通じて環境・社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。意思決定においては理念を判断軸とする「理念経営の実践」を基本方針としています。
従業員に対しては「ひとりひとりが覚悟と熱意をもって仕事に挑戦し、成長することで働く喜びが生まれる風土をつくる」ことをミッションとしています。多様な働き方ができる制度・仕組みを整え、快適に働ける職場環境を提供することを「社内環境整備方針」としています。
多様性を尊重した上で、挑戦する人が成長し、持てる力を存分に発揮できる風土を醸成するとともに、一人ひとりが働く喜びを実感できるような人財活用・育成を目指しています。一人ひとりの挑戦や成長を支援する制度・仕組みをつくり、真の価値を創造する担い手を育成することを「人財育成方針」としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、原材料価格の高止まりや労働力不足の深刻化、世界経済の不確実性の高まりなど、先行きの不透明な経営環境が続くと認識しています。このような状況の中、2023年に策定した「中期経営計画−中村屋2027ビジョン−」で掲げた戦略をブラッシュアップし、経営目標達成に向けた取組みを加速しています。
具体的には、2025年11月に上市したオフィス常設型の社食サービス「Office Stand By You」においては、展示会への出展など認知拡大に努め、新たなビジネスモデルの構築を進めています。加えて、2025年度に更新した基幹システムなどを活用し、業務の標準化・効率化をさらに進めていく方針です。
これらの取組みを通じて、成長力の高い企業へと変革させ、企業価値の向上を実現していくことを重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役会設置会社制度を採用しており、社外取締役を配置することで取締役会の意思決定の客観性と監督機能の強化を図っています。経営の透明性、適法性、効率性を重視したガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は中村屋取引先持株会であり、取引先との関係性を重視した資本構成となっています。その他、日本マスタートラスト信託銀行やみずほ銀行といった金融機関が上位株主として名を連ねています。関係者による安定的な株主構成が特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中村屋取引先持株会 | 11.40% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.80% |
| みずほ銀行 | 4.90% |
| 三井不動産 | 3.10% |
| ニップン | 2.30% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は島田裕之氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 島田 裕之 | 代表取締役社長 | 1993年同社入社、2014年市販食品部長、2022年代表取締役兼社長執行役員を経て、2024年より現職。 |
| 鍵山 敏彦 | 取締役兼専務執行役員経営全般担当兼品質保証室管掌 | 1977年同社入社、2014年菓子事業改革推進室長、2023年取締役兼常務執行役員経営マネジメント室担当を経て、2026年より現職。 |
| 弘中 雅裕 | 取締役兼執行役員経営推進部門統括部長兼海外事業開発室統括室長 | 1989年同社入社、2013年FF事業マーケティング部長、2023年執行役員経営推進部門統括部長を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、中山弘子氏(元新宿区長)、藤本聡氏(元シャープ取締役常務執行役員)です。
同社は監査役会設置会社制度を採用しています。社外取締役を2名選任し、独立した立場からの助言と監督を通じて、取締役会の意思決定の客観性と有効性を確保する体制を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、持続的成長と企業価値向上に資するよう、業績連動制度を採用しています。報酬は役位に応じた基本報酬(固定報酬、業績連動報酬)と業績連動賞与で構成されています。社外取締役の報酬は固定報酬のみです。基本報酬は固定報酬が約8割、業績連動報酬が約2割の比率で支給され、業績連動報酬の指標は営業利益、業績連動賞与の指標は当期純利益です。報酬の決定プロセスには、過半数を独立社外取締役で構成する報酬委員会が関与し、客観性と透明性を確保しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.1億円 | 26.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 15百万円 | 15.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 21百万円 | 5.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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