※本記事は、株式会社湖池屋 の有価証券報告書(第49期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 湖池屋ってどんな会社?
老舗スナック菓子メーカーとして「ポテトチップス」等のロングセラー商品や高付加価値商品を提供する企業です。
■(1) 会社概要
1958年におつまみ菓子製造を目的に設立され、1962年に「湖池屋ポテトチップス」の製造販売を開始しました。2001年の株式交換を経てフレンテグループとして事業を展開した後、2011年に日清食品ホールディングスと業務・資本提携を締結しました。2016年の組織再編により商号を現在の湖池屋へ変更し、2020年には日清食品ホールディングスの子会社となりました。
連結従業員数は1,110名、単体従業員数は736名です。筆頭株主は事業会社(親会社)である日清食品ホールディングスで、第2位は創業家関連の一般社団法人、第3位は創業者の小池孝氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日清食品ホールディングス | 45.10% |
| 一般社団法人湖池の会 | 15.01% |
| 小池 孝 | 6.98% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長は小池孝氏です。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小池 孝 | 取締役会長(代表取締役) | 1980年入社。社長、フレンテ社長等を経て2016年より現職。日清シスコ非常勤取締役等を兼任。 |
| 佐藤 章 | 取締役社長(代表取締役) | キリンビバレッジ社長等を経て2016年入社。同年9月より現職。日清食品ホールディングス常務執行役員を兼任。 |
| 濱田 豊志 | 常務取締役営業本部長 | 1997年入社。営業本部統括部長、執行役員等を経て2023年より現職。 |
| 大島 広昭 | 取締役経営管理本部長<兼>経理部長 | 日清食品ホールディングス財務経理部次長等を経て2019年入社。2025年より現職。 |
| 山田 道明 | 取締役 | キリンビール、日清食品ホールディングス等を経て2025年より現職。日清シスコ社長を兼任。 |
社外取締役は、松尾隆(元みずほビジネスパートナー常務取締役)、上平徹(上平会計事務所代表)、千崎滋子(千崎滋子公認会計士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内」「海外」の2つの報告セグメントを展開しています。
■国内事業
日本国内において、スナック菓子を中心とした製品の製造販売を行っています。主力製品には「湖池屋ポテトチップス」「カラムーチョ」「スコーン」などのロングセラーブランドに加え、「湖池屋プライドポテト」などの高付加価値商品があります。また、機能性タブレット「Pinky FRESH」も展開しています。
収益は主にスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売業者や卸売業者への製品販売による対価として得ています。製造は自社工場および業務提携工場で行い、運営は主に湖池屋が担当しています。
■海外事業
台湾、ベトナム、タイなどを中心にスナック菓子の製造販売および輸出事業を展開しています。特に台湾では「カラムーチョ」ブランドを集中展開し、ベトナムでは自社工場での製造を行っています。
収益は現地市場および輸出先での製品販売による対価として得ています。運営は、台湾湖池屋股份有限公司、Koikeya Vietnam Co.,Ltd.、KOIKEYA(THAILAND)CO.,LTD.などの現地子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は直近5期間において増加傾向にあります。特に2024年3月期以降は500億円台に達し、利益面でも経常利益や当期純利益が大きく伸長しています。決算期の変更があった期間を含みますが、全体として事業規模の拡大と収益性の向上が続いています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 402億円 | 304億円 | 446億円 | 548億円 | 594億円 |
| 経常利益 | 17億円 | 11億円 | 18億円 | 35億円 | 40億円 |
| 利益率(%) | 4.2% | 3.8% | 4.1% | 6.4% | 6.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 13億円 | -4億円 | 14億円 | 22億円 | 26億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は33%台前半で安定して推移しており、営業利益率も6%台後半へと向上しました。コストコントロールと売上拡大が利益押し上げに寄与しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 548億円 | 594億円 |
| 売上総利益 | 182億円 | 193億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.1% | 32.5% |
| 営業利益 | 36億円 | 40億円 |
| 営業利益率(%) | 6.6% | 6.8% |
販売費及び一般管理費のうち、運送保管料が66億円(構成比43%)、広告宣伝費が28億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
国内事業は高付加価値商品の販売好調により増収増益となりました。海外事業も売上拡大とコストコントロールにより大幅な増益を達成しています。両セグメントともに利益率が改善し、全社的な業績向上を牽引しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国内 | 492億円 | 532億円 | 33億円 | 35億円 | 6.6% |
| 海外 | 56億円 | 62億円 | 4億円 | 6億円 | 9.3% |
| 連結(合計) | 548億円 | 594億円 | 36億円 | 40億円 | 6.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはマイナスですが、将来成長のため借入を含めて投資を継続している「勝負型」といえます。
湖池屋は大幅な増収増益を達成しており、本業自体は非常に好調です。それにもかかわらず営業キャッシュ・フローが一時的にマイナスとなった理由は、事業で得た利益以上に、過去の債務決済や在庫確保のための現金支出が大きかったためです。
具体的には、未払金(約18.8億円)や仕入債務(約13.5億円)の支払いのほか、在庫の積み増し(約10.9億円)などによる多額の資金流出が影響しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 56億円 | -2億円 |
| 投資CF | -24億円 | -68億円 |
| 財務CF | -9億円 | 37億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「常に安心できる商品を提供し、地球環境、人々の健康、社会的貢献を心掛ける」「独創的で心の満足度の高い商品、サービスを提供する」「独自のブランド戦略の元に、ロングセラー商品を育成していく」などを企業理念として掲げています。これに基づき、変革のスピードを上げて新しい経営形態を実現し、世界的視野に立った企業になることを目指しています。
■(2) 企業文化
日本の老舗としての安全・安心感や付加価値を提供し、独創的な商品を生み出し続けることを重視しています。また、従業員の物心両面の満足を追求すると同時に、関係会社や取引先の経営に適正に貢献することを掲げ、購買・生産から販売に至るすべての取引先との適正な取引関係の構築に注力しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、連結売上高と連結経常利益を成長を示す最重要指標と位置づけ、連結当期純利益についても配当可能利益を測る指標として重要視しています。また、連結営業キャッシュ・フローの最大化も経営の念頭に置いています。国内事業においては競争が厳しいことから特定の数値目標は定めず、これらの指標の向上を追求する方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
商品戦略による収益性向上、安定した原材料調達、効率的な生産・物流体制の構築などを重点施策としています。特に、高付加価値戦略の推進や、新機軸商品の開発、海外事業の拡大と展開加速に注力し、盤石な企業基盤の構築を目指しています。また、デジタル技術の活用による事業変革や人的資本強化も推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、個人の成長が企業の成長に繋がると考え、年齢・性別・能力・価値観にとらわれず、個性を活かし主体的に行動する自律的な人財の育成に取り組んでいます。若手にはジョブローテーションで多角的な経験を積ませ、中堅以降はマネジメントや専門職としてのキャリア構築を支援しています。また、役割を担える人財の早期登用も進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.9歳 | 10.3年 | 6,249,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.5% |
| 男性育児休業取得率 | 83.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.3% |
| 男女賃金差異(正規) | 71.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 73.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格の影響
穀物相場や原油などのエネルギー相場の高騰は、食用油、コーンスナック原料、工場の燃料コストや包装資材価格に影響を及ぼします。これらを内部努力で吸収できない場合や、販売価格に転嫁できない場合には、業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。
■(2) 天候不順・災害等による影響
菓子・食品業界は天候不順の影響を受けやすく、異常気象は売上や利益に影響を与える可能性があります。また、巨大な天災地変等の災害が発生した場合、設備の毀損や社会インフラの低下、サプライチェーンの寸断などが生じ、生産・販売活動に支障をきたす恐れがあります。
■(3) 製品供給リスク
労働力人口の減少等による物流環境の変化に対応するため、パレット輸送の促進やパートナー企業との連携強化を進めていますが、輸送費の高騰や施策の遅れが生じた場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動や需要変動に対応した安定供給体制の構築が課題となっています。



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